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日本とアメリカの会社の違い、日本の新卒の大量一括採用方式にメリットはあるのか『エンゼルバンク』7巻【ネタバレ注意】

~前巻までのあらすじ~

桜木が経営再建を果たした龍山高校、しかし井野は教師の仕事に飽きて転職を考え、桜木が主宰するビジネス塾の講師にして転職代理人の海老沢を紹介される。

海老沢にスカウトされた井野は思い切って自分も海老沢のもとで働くことを決心し転職するが、海老沢は社内でも変人扱いされており、日本の転職者市場を牛耳ることで日本を陰で操る「日本支配計画」という野望を持っていた。

その計画の一部に巻き込まれた井野はまず転職代理人としての仕事を任され、手探りながらも求職者とのカウンセリングをして場数を踏んでいくこととなる。

海老沢から要所でアドバイスを受けながらもがく井野だが、海老沢からすればまだまだヒヨッ子。

商社OLの北川のカウンセリングでは早々に行き詰ってしまうが、海老沢の知恵を借りたベンチャー企業の社長秘書という突飛な提案が刺さり、海老沢を慕うベンチャー企業の社長・岡本の秘書に転職することとなった。

その後も成功と失敗を繰り返しながら順調に仕事をこなしていく井野。

井野自身も友人の結婚式を機に自分のこれからについて悩みを抱くようになり、桜木にアドバイスを求めて「100人転職させたら自分も転職する」という目標を持つこととなる。

次の求職者は東大卒のエリート商社マン・桂木。

切れ者で優秀な桂木なら転職は余裕かと思いきや、人を小ばかにしたような態度が反感を買ってか面接で不採用となってしまう。

海老沢が直々に採用を決める基準は「感情」ということを気づかせると、桂木はむしろ海老沢に強い興味を持つようになり、海老沢に思い切り言いたいことを言える井野を見て、心の底では職場の温かい空気や心が和む職場という感情に飢えていた桂木も海老沢と井野のもとに転職することを決意し、仲間が1人増えることとなった。

新たなチームでの仕事も自分で考えることとなり、井野と桂木は「社会を変えるためにまず日本の会社のルールを検証する」という仕事に取り組むことに。

日本独自の文化である人事異動には職場での化学反応と社員の成長促進という2つの狙いがあることを解き明かし、アメリカ企業との比較が進む。

他方、金持ちになるという野望を持って外資系金融への就職を志す水野だが、憧れの本田(矢島の元家庭教師)は外資系金融を退職してしまったことを明かすのだった。

 

7巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

日本とアメリカの会社の違い

日本の会社は例えるならひとつの家族。

上司や先輩たちが子育てのように新卒を成長させるが、その素晴らしさは家族のメンバーにしか味わえず、また大量一括採用の就活時期を逃すと特にフリーターや女性は家族に入れてもらえなくなるのが現実。

一方、アメリカの会社は例えるならプロが集まる野球のチーム。

活躍できなかったり故障したりすれば放出され、別のチームからすぐに補強されるため、常にベストを尽くすことが求められる。

そして成果が目に見えにくい仕事では上司が監督のような権限を持つため、気に入られるためにホームパーティに呼んだり贈り物をしたりと必死になる。

平時にはアメリカの会社の方が効率がよく生産性も高いが、日本企業の底力は世界同時不況のときこそ発揮される。

世界同時不況のようなときには皆が本気で取り組み困難を乗り越えなければ死が待っているが、そんなときに助けになるのはこれまでの貯金である資産。

アメリカの会社は業績が悪化すると採算の悪い部門は切り捨てられ、社員はその道のプロにしかなれないため転用が利かない。

一方日本のサラリーマンは人事異動のおかげで様々な仕事に対応できるため、会社の資産である人の能力を活かして難題を解決できる。

日本では不況のときでも社員をクビにせず社員の本気を引き出す企業が山のようにあるため、守りと同時に次の産業を作り出すために攻めている。

これが不況時に日本が世界をリードする理由だと海老沢は考えていた。

他方、同じように日本とアメリカの企業の違いを肌で体幹した本田は「日本の会社も社会の仕組みもすべて男性が作ったものであり、女性にとって使いやすいわけがない。対して外資の制度は男も女も区別せず、結果さえ出せば誰でも認められる」と水野に語り、女性と男性が一緒に働きやすいルールを持つ会社を起業しようとしていたのだった。

新卒採用の面接官の心得

井野が田口と共に新卒採用の面接官を担当することとなる。

面接官側の心得としてまず大事なのは、面接官は会社の宣伝マンでもあるということ。

将来の客となる可能性もあるため、不愉快な思いをさせて帰してはいけない。

学生が一生懸命調べて来たことに対して上から目線で説教するなどもっての他であり、不採用と決めたら気持ちよく色々なことを話させてあげ、逆に遠そうと思う学生には厳しい質問をして緊張した状態での反応を見ること。

落とすか通すかは個人の判断でよいが、転職者と学生は見方を変える必要がある。

学生は自分が何をして来て、何ができるかの自己分析ができていない状態。

従って学生への面接ではコミュニケーション能力、論理力、主体性の3つがポイントとなる。

井野は面接官としての心構えを聞きながら「なぜ日本企業は新卒一括大量採用をするのか」という疑問が沸いてくるのだった。

水野と矢島の進路志望

キャンパスで再会した水野と矢島。

本田が退職したことを共有しながらも、水野はまだ外資系金融を志望している様子。

一方、1学年下になった矢島は官僚を目指していることを明かすのだった。

10分の面接で相手を見極めることなど不可能

1日の間に何回も面接を繰り返す井野たち。

事前に用意してきたような受け答えが続く学生はまるで仮面を被っているかのよう。

そこで井野は高校時代の話を質問するなど、意表を突いてその人の素が出るように工夫しながら面接を終えた。

面接官たちの協議の結果としてほとんどの学生は不採用という結論に。

そもそも10分程度の面接で相手を見極めることなど不可能であり、お見合いパーティのようなものと割り切って直感で決めるしかないのである。

面接を通じて井野は相手を見極めることもできない採用方式を日本企業が続けている理由がますます気になるのであった。

日本の新卒大量一括採用の背景

図書館で日本企業の採用の歴史を調べてみることにした井野は、新卒の大量一括採用は世界中でもほとんど日本だけであることを知る。

一括採用は大正時代から始まったもので、大卒者が増えてきたのと財閥系の大企業でピラミッド組織が確立して毎年新人を必要とするようになった時期が重なったことが背景。

他方、海外では就職するためのルートは時期も含めてバラバラであり、インターンを通じて就職することが多い。

仕事の空きがあるときにだけ採用が行われる海外とは異なり、日本では優秀な人材を早い時期に囲い込むために新卒一括採用をしている面もある。

そして終身雇用の観念が浸透しているがゆえに優秀な人ほど外に出にくく、新卒採用が過熱。

企業から見ても採用コストを削減することが可能であり、井野は日本企業の採用は「鯨が魚を食べて栄養補給するのと同じ」という結論に至る。

報告を受けた海老原は否定はしないながらも、その先にある井野独自の主張が何なのかを問いかける。

機嫌を損ねた井野は桂木と、たまたま訪問してきた水野と3人で焼肉ランチに行くことにするのであった。

新卒大量一括採用の謎

水野からOB訪問の相談を受けた桂木は、OBと会話が噛み合うようになるためのやり方として「会社の採用エージをプリントアウトして持っていく」という手法を紹介する。

実際、OBは現場目線や自分の考えを放すことはできても会社としてどう答えるかはわからないものであり、採用ページに同期や知り合いが載っていればそこから会社についての話題を広げることができるというのである。

さらに桂木は新卒の大量一括採用は「網の上で焼肉を食べるのと同じ」と表現。

腹ペコの人(=企業)が網を囲いながらお肉(=学生)を待ち構えており、争うように口に肉を流し込むようなものであり、エスカレートすれば半焼けや生で肉を食べる人もいる。

不況なら不況で各企業とも優秀な人材を採ろうとするが、採用担当は結局「何を以て優秀か、どの人が優秀か」などわかるはずもなく、結局は採用方法はほとんど変わらない。

企業も学生も新卒大量採用に疑問を持っているのに、なぜどこも同じやり方を続けるのか―。

気になりだした井野は独自の採用をする企業がないか調べ始め、中小企業では先着順や焼き魚定食の食べ方などユニークな方式を採用しているところもあることを知る。

独自の採用方式を実施するのはいずれも中小企業であるが、自社にとってどんな人材が優秀かを理解しているのが共通点。

話を聞いた井野は「大企業でどうすれば優秀な学生を効率よく採用できるか」を考えてみることにするのであった。

採用の在り方ではなく採ってからの教育法の方が大事

中途採用の方が社会人としての初期教育をしなくていい分教育コストを下げることができるというメリットもあり、海老沢をあっと言わせたい井野は「日本支配計画の第一弾として自分の会社の新卒大量一括採用を止める」というアイディアを出す。

新卒に拘らずに中途採用に力を入れることで採用者の質が上がると同時に、他者にもこの流れが広まれば就職活動時期を逃した学生にとっても人材の流動を活性化させることができる。

こうして「日本企業が活性化するきっかけとなる採用システムを私たちが始める」と提案する井野。

しかし海老沢は「全然ダメ。まるでなってない」と一刀両断。

海老原の考えでは新卒の大量一括採用は「現役の社員が新戦力に教えると同時に現役の社員も成長する」という意味でメリットが大きいシステムだという。

短期的に見れば中途採用の方が戦力になるが、長期的には白紙の学生を採ってこそ組織は強化される。

面接での精度は努力してもたかが知れている、つまりまずは採っておき、それから教育法を工夫する方が合理的だというのが海老原の考えだった。

井野が自分の主張を出したことを評価しつつ、海老沢は採用についてさらに知見を深めるため、社内の人事部に話を聞いてみるように井野へ促すのだった。

新入社員なんて誰でもいい?

社内の人事部長の前田から話を聞く井野。

採用担当は元営業で華があるエースに任せていると話す前田。

多くの会社では採用担当は社長や役員と話す機会が多く、会社の長期ビジョンを直接聞けて関係も深くなる出世コース。

続けて前田は「実際のところ誰が採用しても大差ない。新入社員なんて誰でもいい」と本音をこぼす。

記憶力がスバ抜けていい前田は、これまでの経験をもとに「会社を変えるような仕事をしちゃう奴は1~2年はパッとしない。誰が化けるかなんて初めはわからないから採る奴は誰でもいい」と話す。

人事部の本当の仕事は、採った社員をどう化けさせるか―。

前田の話に井野は引き込まれていくのだった。

【7巻のまとめ】

日本とアメリカの会社の違いを学んだ井野たちは、今度は日本の新卒大量一括採用方式の謎について検証することに。

井野は自分で考えた結果として「新卒採用ではなく中途採用に力を入れるべき」と発案するが、海老沢は新卒の大量一括採用には現役社員の成長を促すメリットがあるとしながら、「採用してからの教育の方が大事」と説く。

採用に関する知見を深めるために社内の人事部長の前田から話を聞くこととなった井野。

前田は井野に「新入社員なんて誰でもいい。人事部の本当の仕事は採った社員をどう化けさせるか」と語るのであった。

次巻へ続きます。

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