ゴールデンカップスに移籍した凡田だが、パ・リーグの打者の洗礼を浴びて苦戦を強いられることとなる。
生え抜きで似たような年齢・成績の投手である印西とライバルとなり、凡田が地元開幕投手の座を射止めるが、味方打線の援護で勝利したものの凡田自身はピリッとしない内容だった。
印西もまたシーズン最初の先発では黒星を喫し、共に不甲斐ない出来の2人に地元TV局の老山アナとその娘の恵が鋭く切り込んでいく。
ハングリー精神が足りないと指摘された凡田は程なくして2軍に落とされることとなるが、ギリギリで引退を免れた。
仕切り直しとなった翌シーズンからはトクの愛弟子である布川、本木、薬丸の3人によるアマがき隊がブレイク。
最終戦までもつれこんだ大接戦の結果、ゴールデンカップスが優勝を果たした。
チームからは坪内がホームラン王、扇田と凡田が並んで最多勝、薬丸が最多セーブ、本木が最優秀中継ぎと5人の個人タイトル獲得者が出る結果に。
パープルシャドウズとのCSを制したゴールデンカップスが日本シリーズ進出を決めるが、ピリッとしない凡田には「短期決戦の先発には不向き」という烙印が押されてしまう。
そんな折、ボストン・ブルーソックスのマイナーのコーチとなったボビーと再会を果たした凡田は、遊びで取り入れたナックルに刺激を受けてオリジナルのナックルカーブを秘かに練習し始めた。
日本シリーズの舞台でも新たな変化球を試す凡田。
打席に立つのはスパイダースの主軸で同郷の後輩でもある大野、果たして凡田のナックルカーブは通用するのか―。
11巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
勝負は最終戦へ
大野の大打球はギリギリでファール。
命拾いした凡田は再びナックルカーブで攻めるが、外れて四球となった。
その後丸金がチャンスを潰し、2試合とも同じ展開でゴールデンカップスが連勝した。
第3戦でも1点リードの場面で凡田対大野となり、凡田が四球、丸金が凡退して逆転できず、不思議とゴールデンカップスが3連勝で日本一に王手をかける。
後がないスパイダースは川崎監督が気合いを注入し、精神論で盛り返したスパイダースが3連勝と逆王手。
勝負は最終戦にもつれこむのだった。
偶然投げられた完璧なナックル
最終戦、両チームとも得点を重ね、7回表を終えて8-7とゴールデンカップスがリード。
7回裏のスパイダースは2アウト1塁で大野が打席に立ち、ここでゴールデンカップスは凡田をマウンドへ送り込む。
大野に良い当たりを連発されながらもファールで追い込んだ凡田は、ここで投げる際に足を滑らせてしまった。
無理やり投げた結果、完璧な無回転のナックルが放たれる。
大きく不規則に揺れるボールに大野のバットは空を切ったが、キャッチャーも後逸して振り逃げに。
その後凡田の後を引き受けた布川が丸金を抑え、またもゴールデンカップスが逃げきって日本一を手にするのだった。
日本シリーズMVPは布川に
日本シリーズのMVPは凡田の後でことごとくピンチを凌いだ布川が選ばれ、珍しく中継ぎ投手の受賞となる。
そして迎えたオフの契約更改。
アマがき隊や坪内、扇田、そしてコーチのトクらはみな大満足の結果となるなか、凡田は複数年契約のため変わらず。
契約最終年となる来季にまた頑張るしかないが、ちょうど新型コロナウイルスの世界的な蔓延でプロ野球も大きく停滞することになるのであった。
コロナ禍で調整に大失敗?
2月のキャンプは実施されたものの、オープン戦は無観客であり、ペナントレース開幕もいつになるかわからない状況。
ステイホーム生活を強いられモチベーションの維持に苦しむ上に、興行収入が見込めないとなると選手たちの給料に影響が出てくるのは必至。
そんななか、ようやく6月中旬に開幕することが決まり、急ピッチでオープン戦が組まれる。
凡田は数少ないオープン戦の登板機会で打たれたが、そのまま先発ローテーション6番手として開幕を迎えることに。
しかし動きのキレを取り戻そうと身体を追い込めば疲れが試合に残り、十分に身体を休ませれば肩が軽すぎてボールに抑えが効かない。
結果として調整に大失敗した凡田に対し、向井監督は最後のチャンスとしてリリーフへの配置転換を決めるのだった。
良いところなく2軍降格
もともとリリーフだった凡田は結果を出そうと気合いが入るが、右打者にヒットを打たれ、さらに打撃不振の左打者には一番打たれてはいけないホームランを許してしまう。
翌日からはブルペンでの投球練習をしながら出番を待つだけとなり、たまに出番が来れば投球練習のし過ぎで肩が重く打たれるという悪循環。
間もなくして凡田には昇格の見込みのないまま2軍行きが言い渡され、引退へのレールを意識せざるを得なくなるのであった。
バディを組むのは異色の外国人捕手
2軍で根本からやり直さなければならなくなった凡田には、専属のキャッチャーとしてパーシー・ホットポッパーとバディを組むことになる。
パーシーは日本語がそれなりに上手く、わずかながらにメジャー在籍もしていた育成契約のキャッチャーという異色の存在。
キャッチングやフレーミングといった技術に優れているが、打撃が課題なために育成契約に甘んじているようだ。
果たして凡田はパーシーと共に再び日の目を見ることはできるのか…。
【11巻のまとめ】
日本シリーズではナックルカーブは全て四球となってしまったが、間接的にチームの日本一に貢献した凡田。
しかし翌シーズンからはコロナ禍の影響で開幕が延期となり、調整に大失敗した凡田は全く良いところを見せられずに無期限の2軍降格となってしまう。
引退もチラつくなか、2軍でバディを組むことになったのは異色の外国人捕手パーシー。
メジャー経験者で確かな技術を持ちながらも育成契約に甘んじているパーシーと共に凡田は再び昇格することはできるのか―。
次巻へ続きます。
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