国内有数の家電メーカーであるENOKIグループの令嬢・榎加世子を拉致監禁していた男が逮捕されてから7年、榎は高校教師の尾藤と出会い、「朝食会」という遺族の復讐支援団体に新たな入会者としてスカウトされる。
自分の家に一家乗っ取りを企む犯罪集団である榊一家から2人の刺客の魔の手が迫っていることを知った榎は、尾藤が朝食会としてその2人を始末したことを機に朝食会への入会を決意した。
そんなある日、榎の友人の沙映が交際相手に弄ばれ、集団暴行事件にも巻き込まれて自ら命を絶ってしまった。
復讐依頼はないが、個人的にその無念を晴らすために動き出した尾藤。
だが2人の刺客を消されたことで榊一家が朝食会に目を付け、尾藤は復讐を完遂する前に榊一家に拉致されてしまう。
尾藤は榊一家によって集団リンチを受け、命は取り留めたものの無惨な姿で意識不明の重体となってしまい、榎がその意思を引き継いで沙映の無念を晴らした。
榎一家とも付き合いのある間宮パールのお家騒動で家の乗っ取りを生業とする榊一家と不破一家が潰し合った一方、意識を回復した尾藤はかつて妻とお腹の子を殺されたことがきっかけで朝食会に入ったことを明かし、その犯人である溝口への復讐が悲願であることを明かす。
その溝口は出所を迎え、鈴江と行動を共にしながら朝食会への復讐を狙う悪徳弁護士の阿久津が溝口に接触。
反省の色なく新たな罪を犯していく溝口を利用して阿久津が朝食会に次々と攻撃を仕掛けるなか、榎は溝口の確保に成功した。
溝口への復讐を遂げた尾藤は、自分が逆に阿久津から復讐を受けることを覚悟のうえで阿久津と対峙し、榎の手によって尾藤は阿久津を道連れにして命を落とした。
尾藤との出会いを通じて正義の在りかたなど様々なことを学んだ榎は、自分の信条に従って鶴巻を護衛としながら、朝食会の新たな一歩を歩み始めるのだった。
8巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
榊ヨシ江の幼少期
榊ヨシ江は幼いころ、シベリア帰りで足が悪く働けない父と、売春で生計を立てながらも病を患ってしまった母のもとで貧しい暮らしをしていた。
自らもスリに手を染めていたが、ある日養育院に引き取られることとなり、愛する両親と離れ離れに。
それがヨシ江にとって家族に対する強い愛情の原動力となっていた。
社会の闇とホストクラブ
榎がブレックファストクラブとして独立した現在。
尾藤の墓参りに行った榎は、そこで偶然にも三上と再会を果たす。
三上の父は国家公務員だったが、上長の女性がホストに入れ込み資金を不正利用していることを糾弾した。
だが結果として職場で孤立させられて不審な死を遂げた挙句、その事件性すらももみ消されたという。
相手の女性は今や女性活躍特命大臣にまで上り詰めた、国木八重子。
そしてホストクラブでは客の女性同士の嫉妬心を利用して洗脳し、エグい取り立てすらも行わせる闇がはびこっており、国木もその裏で糸を引いている。
美人な上客に嫉妬した中間層の女性は、身体を売ってでもホストに大金を使うようになり、ホストはわざと売り掛けとして借金を背負った状態にする。
そこまで稼げない女性たちに対しては、ガス抜きも兼ねて中間層の女性に対する売掛金の取り立てを担わせ、苛烈な行為になることもしばしば。
そして生活に困った女性たちは、表向きは女性たちの味方である政治家・国木のもとへと集まり、支持者が増えるという仕組み。
ちょうど榎のもとに、ホストに入れ込む中間層の女性・岡崎ジュンが相談に来る。
榎は単なるホスト狂いの借金の相談には乗らないとしながらも、怪我をしているジュンの裏に闇を感じることとなる。
他方、ヨシ江が次に狙いを定めたのは、区役所で生活福祉課に所属する村井という冴えない男。
村井がホスト狂いの少女・ののを相手にパパ活していたところをきっかけに弱みをにぎって洗脳をはじめる。
一方、ののとジュンは国木のセミナーで出会い、同じホス狂いとして仲良くなった。
ホストへの売掛金の取り立てで生活が苦しく、けがも負わされているジュンは、国木の補佐である清水という女性を頼り、生活保護を申請して立て直するつもりであることを明かす。
時を同じくしてヨシ江も村井を脅し、榊家のメンバーそれぞれで生活保護を不正受給することを企む。
榎と鶴巻は別の復讐代行の依頼のターゲットとしてヨシ江に狙いを定めていたが、ちょうどカモメ古書店のカモとトラがヨシ江を襲撃して天誅を食らわせるのであった。
復讐の始まり
三上は父の無念を晴らすため、朝食会ですら手出しできない国木への復讐代行を榎に依頼し、榎もブレックファストクラブとして受諾した。
ただし、条件として三上がホストとなってホストクラブに潜入し、協力するのが条件。
さっそく三上はホストとして国木が足しげく通うホストクラブに潜入し、国木のお気に入りであるNo.1の悠雅と接触。
悠雅も三上の素質を見抜いて自分のヘルプに抜擢する一方、他のホストを使ってあることを依頼するのであった。
生活保護の闇
清水に付き添われて生活保護を申請したジュンだが、清水に振込口座の通帳とキャッシュカードを取り上げられ、シェルターと称したタコ部屋に住まわされることとなる。
そこには7人のルームメイトがいたが、そこでの生活はひどく荒んだものだった。
唯一、ナギという女性が正気を保ってジュンに親切にしてくれたが、ナギによれば生活保護費は全て取り上げられ、住人たちが逃げられないよう部屋には脱走防止のために盗聴器が仕掛けられているのだという。
ナギもまた、家出少女だった際に清水を頼ってここに入り、脱出するために同じ家出少女の友人だった栞に助けを求めたものの、その栞も苛烈な取り立てを担う女性3人組にリンチされ、倒れていたところをこの家に連れ込まれてしまった。
治療と称して渡された鎮痛薬などには重い依存性などの副作用があり、栞は廃人のようになってしまい、ナギからすれば栞を人質に取られているような状況。
そして栞をリンチした3人も数年前まではこの部屋の住人であり、もとはナギたちと同じ立場なのであった。
【8巻のまとめ】
榎はターゲットである榊ヨシ江への復讐をカモとトラによって横取りされたが、時を同じくしてホストクラブを巡る暗い社会の闇に関わることとなる。
三上から父の仇である大物女性政治家・国木への復讐代行依頼を受けた榎は、国木が足しげく通うホストクラブに三上を潜入させる。
国木はホストに入れ込む女性たちの嫉妬心を煽り、最下層の女性たちにホストの売掛金の苛烈な取り立てをさせつつ、生活に困った女性たちを支持者として取り込んでいる。
国木の補佐の清水という女性は困窮した女性たちに生活保護を受給させつつも、実質はその生活保護費を全て取り上げて女性たちをタコ部屋に監禁させていた。
そして榎のもとを訪れたジュンという女性もまた、ホストへの売掛金の取り立てで生活に困窮してタコ部屋に軟禁されてしまい、そこで出会ったナギという女性と共に脱出を図るのであった。
次巻へ続きます。
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