薬害事件を起こし、新社長のもと結束を高めるために登山レクリエーションに来ていた新入社員の早乙女をはじめとする藤谷製薬の社員たち40名。
しかし初日の夜からナタを持った大猿の襲撃により次々と社員が殺されていく。
山の険しさと共に増していく疲労と、追い詰められる精神。
社内に裏切り者がいる可能性が浮き彫りになり、徐々に分裂していく生存者たち。
安斎が独裁しようとし、早乙女の親友である宮田らが反発。
他方、自分が助かることだけを考えている飯塚は藤柴と佐藤を言いなりにして同盟を結ぶ。
猿とは別で個人的な恨みから辻を殺した氷室は追放され、貴重な飲料を盗もうとした田中も非難を浴びた。
登山家の八木兄妹と偶然の出会いを果たすが、八木妹も魔猿の襲撃で命を落としてしまった。
復讐に燃える八木兄に先導され生存者たちは山小屋にたどり着くが、3匹の魔猿と日本刀の男の徹底包囲により全滅の危機に追い込まれてしまう。
遠野の決死の自爆攻撃で窮地を乗り切り朝を迎えるが、魔猿たちによって救助ヘリは撃墜され、また救助隊も次々と襲われていた。
救助を待つよりも強行突破による下山を選択した早乙女たちは、追放したはずの氷室と再び再会する。
途中で激しい雷雨に襲われ、服が濡れたことで体温も奪われていく。
満身創痍のなか難所を越えて下山ルートに入るが、その後ろには魔猿たちの影が近づいているのだった。
8巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
下山する気のなかった八木兄
魔猿に追いつかれまいとペースを上げる一行。
下山ルートの分岐点までたどり着き、八木は魔猿を撒くためにあえて正規のルートからはずれることを宣言する。
〈ルートをはずれる八木兄 [モンキーピーク 8巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
唯一、林だけが八木の言動のおかしさに警鐘を鳴らすが、みな八木を信用して聞く耳を持たない。
それでも下山ではなくあえてまた山を登ることとなり、飯塚をはじめ徐々に八木が何か隠しているのではという疑念が広がっていく。
目的地のロープウェイの駅までたどり着くまでは八木の言うことを信じて辛抱する一行だったが、ふと宮田が後ろを振り返ると遥か別の方向にロープウェイの鉄塔が見えた。
全員、八木に騙されてまったく別の方角へ進んでいたのである。
ここで八木は岩砕山を登るという本当の目的地を宣言。
「無関係の争いに巻き込まれて命を落とした妹の仇を取るため、猿を殺すまでは絶対に下山しない」というのである。
〈八木兄の真の目的 [モンキーピーク 8巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
ルートを外れたせいで八木を含め誰にも現在地がわからず、背後からはいずれ魔猿が追ってくる。
遭難を回避するためには岩砕山を登るしかない状況。
早乙女にとって岩砕山は高校生の頃父と一緒に登山し、落石から自分をかばって父が亡くなった忌むべき場所だった。
飯塚が離脱
八木が1人先行し、一行は遅れてほぼ垂直の崖を登っていく。
その背後には魔猿たちが迫ってきた。
そうこうしているうちに陽が落ちてしまい、断崖絶壁にできた窪みで一夜を過ごすこととなる。
人1人がやっと立てるような幅しかなく、眠りに落ちれば落下死は免れない。
〈断崖絶壁で夜を明かすことに [モンキーピーク 8巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
風も吹きさらしで体温を奪われるなか、藤柴は飯塚を頼ってウェアの交換を求めた。
すると飯塚はこっそりトイレに行くといって滑落したように信じ込ませ、自分1人だけ別行動で生き残ろうとするのだった。
〈飯塚が滑落したふりをして離脱 [モンキーピーク 8巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
魔猿たちの襲撃、撃退して明らかになった正体
夜を迎え、雲が晴れ月灯りが差す。
断崖絶壁のすぐ傍まで魔猿2匹が近づいており、火炎瓶で攻撃してきた。
〈魔猿らの襲撃 [モンキーピーク 8巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
逃げ場もなくピンチを迎えるが、ここで魔猿の頭上から八木がピッケルで襲い掛かる。
八木のピッケルは魔猿の頭に刺さり、早乙女たちも投石で八木を援護。
1匹を崖下へ落下させ、八木はもう1匹と一緒に転落。
八木は魔猿をうまくクッションにし、見事退治に成功した。
〈八木兄が魔猿2匹を退治 [モンキーピーク 8巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
魔猿の正体を暴く八木。
仕留めた1匹の正体は女子大生登山家として名実ともに有名な水口さなえだった。
〈魔猿の正体は人間 [モンキーピーク 8巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
八木兄の死
崖下に落下したもう1匹のほうに目をやると、さらに別の魔猿がこちらを睨みつけている。
〈さらに別の魔猿が現れる [モンキーピーク 8巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
魔猿は人間とは思えない驚くべき身体能力で崖を駆け上ると、八木の足を掴んで投げ捨てる。
過去に妹と魔猿を目撃しその姿を追っていた八木は、本物の魔猿との再会を果たしながらも為すすべなく転落死を迎えた。
〈八木兄が殺される [モンキーピーク 8巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
八木の死を目の当たりにし絶望する一行は何とか自らを奮い立たせる。
月が雲に隠れたり出たりしているうちに魔猿も姿を消したが、まだ近くにいるかもしれない。
不安な時間を過ごすなか、今度はいつの間にか藤柴が事切れていることに気付くのだった。
〈藤柴も事切れている [モンキーピーク 8巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
【8巻のまとめ】
妹の仇を取るために魔猿を殺すという八木の策略により、一行は下山ではなく岩砕山の登頂を目指すことを余儀なくされる。
道中で2匹の猿に襲われ八木兄がこれを撃退すると、猿の正体が人間であることを暴いた。
しかし、突如として現れた本物の魔猿が牙をむき、八木兄を殺害。
更なる襲撃に備える間に、衰弱していた藤柴もまた息を引き取ってしまうのだった。
次巻へ続きます。
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