宮城県仙台市に住む高校生・宮本大は友人の勧めで初めて訪れたライブハウスでジャズの演奏に心を打たれ、サックスプレーヤーを目指すことを決意。
「世界一のジャズプレーヤーになる」という夢に向かい、兄・雅之がローンを組んでプレゼントしてくれたサックスで毎日学校帰りに河原でサックスを練習し続けた大は、楽器屋の店主からライブ出演の誘いを受け、小さなジャズバーの出演バンドにゲストとして参加する。
初めてのライブで全力を出そうと頑張る大だったが、常連客から音が大きいだけでうるさいと罵声を浴びせられ、呆然としたままステージを降り帰路につく。
それでもこの悔しさをバネに練習に励む大、その背中を押すかのように犬を飼うおじさんが初めてのファンとなった。
その後も毎日練習を欠かさない大は、初ライブで大失敗したジャズバーのマスターから音楽教室の講師:由井を紹介され、いろいろ落第点をつけられるもサックスの個人レッスンをしてもらえることとなった。
教室に通うことで大の演奏はパワフルさを増し、ストリートジャズフェスティバルでは即興の短いソロ演奏ながらも居合わせた観衆の心を掴む。
音楽で人を圧倒する、大の才能が開花しようとしているのだった。
3巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
大に夢を託す由井
CMの作詞作曲や初心者相手のレッスンなど、相手のレベルに合わせて指導する傍ら、大にはスパルタで全力の指導をする由井。
若いころ同じ夢を追って共にアメリカのジャズの音大であるバークリーの門をたたいた親友・片山と旧交を温める由井は、未だにジャズプレイヤーとしての夢を諦めきれない片山に「面白い奴がレッスンに来ている。ブルージャイアントが現れてお前の耳に届く日が来る」と予言する。
〈片山と語らう由井 [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
その片山のライブチケットを大に渡し、見学させる由井。
片山のピアノの腕は相当のものだったが、ライブを見た大の感想は「超良かったけど、一流という感じじゃなかった」。
〈片山を見た大の感想は… [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
一流になれずくすぶり続けている片山の様子をズバッと切り捨てられ、由井は腹を抱えて笑う一方、自分たちの叶わなかった夢を大に託す気持ちを固めるのだった。
文化祭でのライブで会場を沸かす
2年半前、まだ大が1人で練習を始めて間もないころ。
音の出し方もわからなかった大は、高校の音楽教師である黒木先生に教えを請い、サックスの運指表をもらってサックスの第一歩を踏み出した。
〈音楽の黒木先生 [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
あれから練習を積み、大の高校最後の文化祭を迎える。
文化祭の目玉であるバンドにただ一人、ソロ演奏で臨むことを決めていた大は、憧れのプレイヤーであるソニー・ロリンズと同じ奇抜な髪形にし、宮本”ソニー”大と名乗って気合を入れる。
〈文化祭ライブで気合いの入る大 [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
演奏の前は大の後にトリを飾るロックバンドの入江たちは大のことを嘲笑していたが、蓋を開けてみればたった1人での演奏でどのバンドよりも力強く演奏する大に観客は心を奪われ、会場が湧いていく。
さらに大は黒木先生のピアノとコラボし、誰もが知る校歌をジャズ風にアレンジして演奏。
〈黒木先生とのデュオ [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
この日最高の盛り上がりを見せ、大は生徒たちの心を一気に掴んだ。
由井はそんな大にジャズの世界で生きていくことの厳しさを説き、「時には調子に乗ってもいい。だが自分に酔うな」と伝える。
〈由井からのアドバイス [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
大には自分が若かりし頃踏んだものと同じ轍を踏ませたくなかったのだった。
18歳記念のオリジナル曲「バーナムラブ」
卒業が近づき、三輪は博物館の学芸員を目指して仙台で大学を受験することを決めた。
一方の大は、ジャズの世界を本気で進むために仙台を離れることを決意。
〈仙台を離れる決意 [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
その目に迷いはなく、高校卒業までの間をどう過ごすかを考えていく。
ある日、バーナムを数日間預かることとなった大は、バーナムが自分の演奏に合わせて鳴いた際、18歳の記念に作曲することを思いつく。
〈作曲に挑戦 [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
なかなかメロディが浮かばない大は由井にアドバイスを求めるが、由井は「まだ早い」と言って何も教えてくれない。
思い悩む大は数日後、バーナムが交通事故にあって死んでしまったことを知る。
〈バーナムの死 [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
バーナムの死を悼む大は1週間後、初めてのオリジナル曲「バーナムラブ」を完成させる。
バーナムへの想いを真っすぐに乗せたその曲に、飼い主のオジサンは涙を浮かべるのだった。
〈最初の曲、バーナムラブ [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
ブルージャイアントを信じて
親子だんらんの時間を過ごす宮本家の夜、父は大がサックスのレッスン代を全く払っていないことに気が付く。
スーパーの店長をする父はレッスンの相場を予想し、金を払わない息子の謝罪と月謝の支払いのために由井のもとを訪ねた。
しかし由井は「面白いから月謝は取りません」と固辞し、父は由井から大の演奏が持つ可能性と期待を知る。
〈大に託した夢を語る由井 [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
世界一輝くジャズプレーヤー、通称「ブルージャイアント」に大がなってくれたらと本気で願う由井の言葉に、父は大の背中を押すことを決めた。
そして月謝について考えた由井は、「10年後、ポルシェ」と大に要求するのだった。
〈レッスン代は出世払いで [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
リベンジのライブが決まる
自分の決めた道を突き進むために真っすぐ前を向き、大みそかの大雪の日も川原で練習に明け暮れる大。
サックスの腕も順調の上がり、由井は大を他のプレイヤーとセッションさせることを考え始める。
由井はバードの川西店長を頼り、再び大にライブの機会を与えることを決めた。
〈リベンジのライブが決まる [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
それを聞いた大は「どうしても聴いてほしい人がいる」と言って、初ライブで激怒させてしまった常連客を指名。
2度目のライブの日、初ライブでピアノをしていた三上も演者として偶然居合わせる。
店に来たあの常連客は大の顔を見るや帰ろうとするが、大はその常連客に頭を下げ、「一曲聴いてってください。オジさんのド肝を抜きますから」と決意と共に宣言するのだった。
〈あのオジサンにもう一度聴かせてやる [BLUE GIANT 3巻](c)集英社/古舘春一〉
ボーナストラック
入江:大が会場を湧かせた文化祭でのライブの思い出を語る。
黒木先生:今でも大から「またいつか一緒にプレーしましょう」という年賀メールが来ること、そしてあの文化祭の日に大の最初のサインをもらったことを嬉しそうに語る。
【3巻のまとめ】
大が世界一のジャズプレーヤー「ブルージャイアント」になれると信じる由井の指導のもと、メキメキと上達していく大。
文化祭のライブでは会場を沸かし、本気でジャズの世界に進むために卒業後は仙台を離れることを決意する。
そして由井も大に他人と合わせる演奏を教えるため、ライブでのセッションの機会を提供。
大は初ライブで激怒させてしまったあのオジサンを呼び、「一曲聴いてってください。オジさんのド肝を抜きますから」と決意と共に宣言するのだった。
次巻へ続きます。
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