多重債務者の冴えない青年・梶隆臣はひょんなことから凄腕のギャンブラー・斑目貘と出会い、行動を共にするようになる。
さらに梶は命すら対価にするギャンブルや、それを成立させるために立会人を派遣する中立の秘密組織「賭郎」の存在を知り、廃ビルでの命懸けの脱出勝負に勝った貘は、全てを凌駕する暴力を持つ別人格の怪物・ロデムを宿すマルコを仲間に加え、賭郎の会員権や大金を得た。
賭郎の会員権を梶に譲った貘はさらに賭郎の能輪立会人の手配で新たな賭郎勝負の場を設定してもらうこととなり、貘と顔なじみである立会人の夜行妃古壱が梶の専属につくなか、富士山中のトンネルでテロリストの佐田国との賭郎勝負に勝ち、お屋形様との取引で再び賭郎会員に復帰。
しかしその裏ではお屋形様の思惑通り警察以上の力を持つ新組織成立へと動き始めており、さらに賭郎の乗っ取りを企む米国の犯罪組織「アイデアル」も実行部隊リーダーである暗殺者カラカルが暗躍する。
貘は警察とグルになって未解決事件の犯人をでっち上げるための迷宮ギャンブルを利用して自分が屋形越えに失敗した事実を無かったことにし、さらにこの迷宮ギャンブルに関与していた警察関係者の天真とその部下である密葬課の箕輪とのギャンブルにも勝利してLファイルを獲得する。
他方、自らの力で無実を証明すべく立ち上がった梶は、貘から得た情報で殺人事件の真犯人である羽山邸へと潜入、羽山家に取り入るヤクザの鞍馬と滑骨の代理戦争に巻き込まれる形で「ファラリスの雄牛」の勝負に臨んだ。
焼かれたカールが瀕死の重傷を負うが、カールとの協力もあり梶が最終的に勝利して事件の証拠を獲得、負けを認めようとしなかった滑骨は屋敷の外で伽羅によって葬られるが、伽羅は滑骨が契約していた伝説的ボディーガードのキョンホ・ジョンリョに狙われることとなり、姿を消した。
貘は梶が獲得した証拠と犯罪者が載るLファイルを使い、テレビ局を乗っ取って生放送での暴露番組を企画し、貘はゲストの中に潜ませていた梶と共謀して500億もの大金をゲストから巻き上げることに成功する。
放送市場類を見ない番組を終えた貘はさらに電波ジャックを継続し、Lファイルを利用して賭郎が用意した搦手の人員を各所に受け入れさせ、500億と合わせて屋形越えの権利に手をかけた。
そのまま貘は搦手が成立するまでの時間稼ぎとして旧電波塔である帝国タワーで賭郎勝負を始めたが、相手として現れたのは零號立会人の切間撻器を連れた謎の男・捨隈。
2人の戦いはアイデアルのカラカルとマーティンや鞍馬組も割り込み混沌とした戦いとなるが、アイデアルの工作員だった捨隈の思考をも看破した貘が勝負を制した。
他方、タワーの外では賭郎と警察が互いの代表による激しいバトルが繰り広げ、搦手の成立と笹岡副総監の死によって決着し、密葬課は解体、真鍋と三鷹の2人は賭郎に吸収されることとなる。
零號の称号を賭けた號奪戦でも死力を尽くした妃古壱が撻器から勝利を挙げ、貘が賭けに勝ったものの、その勝負の裏で貘の500億がアイデアルに横取りされてしまう。
さらに持病の記憶喪失を起こしたお屋形様がかつてお守役だった栄羽と合流すべく、賭郎の追っ手を振り切って行方をくらませた。
お屋形様の表の顔である内閣調査室の蜂名直器と面識のあった防衛省の大船額人が逃走を助け、額人が追う武器密輸事件の捜査に協力することとなった蜂名は、密輸の受渡場所であるジャルード号に額人と共に潜入。
船に拘束されていた新聞記者の横井と偶然巻き込まれた梶と共に額人がレーシィ船長と賭郎勝負「バトルシップ」を繰り広げ、額人は勝負に敗れたものの、梶や賭郎たちが脱出した後に蜂名の工作によって船は沈没した。
その蜂名とアイデアルのボスであるラロが接触し、貘と3人で直接対峙、屋形越えの挑戦権を賭けて勝負することが決まる。
限られた空間・時間・協力者の人数のなかで好きに勝負ができる卍勝負となり、オンラインゲーム「プロトポロス」の世界を現実に再現した絶海の孤島で勝負が始まった。
勝敗は期日までにゲーム内の3つの国を統一し、最高位の皇帝となること。
各所でラロ側との戦いが勃発し、伽羅がロバートKを、梶がフロイド・リーを撃破して島から追放。
しかしアウトローの支配を賭けて伽羅とジョンリョが死闘を繰り広げ、伽羅がジョンリョを破ったもののここで力尽き命を落としてしまった。
伽羅の死という大きな代償と引き換えにアウトローを手中に収めた貘はついにテイパー国王となったが、統一戦争はラロが勝利し皇帝の座を勝ち取った。
しかしそれこそが貘の罠、あえてこのタイミングで皇帝の座を掴ませることによって最終日の直前にゲームがリセットされるように仕向けていたのである。
勝利が遠のくなか、力尽くでゲームをひっくり返そうとするラロは外部の協力者を呼び込んで運営の支配と賭郎の殲滅を、運営は賭郎に牙を剥きつつ不法入島者のBANを、賭郎は不法入卍者の粛清を狙い、三つ巴の争いが始まった。
なかでも伝説の殺し屋である百龍は運営や立会人をも凌駕する暴力により、貘たちのインナーの位置情報から的確に迫ってくる。
そして百龍が貘を捕捉、専属である妃古壱との戦闘が勃発するのだった。
39巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
妃古壱vs百龍
妃古壱と百龍が互角の攻防を繰り広げる。
百龍が指弾で貘を狙うが、妃古壱がすんでのところで百龍を蹴り飛ばし、百龍の指弾をこめかみに受けてダブルノックダウン。
妃古壱のおかげで指弾が逸れた貘は先に小屋から脱出、そこにトルベが差し向けた追手たちが乗り込んでくるが、妃古壱は意識が朦朧としながらも立ち上がった。
先に意識を取り戻した百龍が攻めるものの、妃古壱は百龍の片耳をちぎり、小屋の外から聞こえた破裂音とともに意識を取り戻すのだった。
小屋の外では銃が暴発
先に小屋から脱出した貘は、外に落ちていた銃でまだ倒れたままの百龍にトドメを刺そうとするが、銃は弾が詰まっていて暴発必至。
そこにカメオと錯乱したプレイヤーが姿を現した。
プレイヤーは貘の身柄とインナーの捕獲で食糧や武器をもらえると吹き込まれている様子。
貘はプレイヤーが銃を手に取るように誘導するが、貘を守ろうとしたカメオと、カメオを庇おうとした貘の至近距離で銃が暴発。
その破裂音が妃古壱の意識を覚醒させたのであった。
百龍と三鷹の過去
妃古壱は右腕を折られながらも左手で百龍の顎にパンチを当て、百龍はギリギリのところで指弾を放つあがきを見せながらも少しの間意識を失う。
百龍の脳内ではかつて殺しのライバルでもあり恋人だった鷹(イン)という女性との思い出がフラッシュバックした。
暴力を磨いて生きてきた証として殺しの稼業を続けるつもりの百龍に対し、鷹はある日「人間として生きてみたくなった」と殺しの稼業を止めて百龍に別れを告げる。
鷹はこのとき百龍との子供を身籠っていた。
あれから長い年月が経ち、鷹との再会を願う百龍はアイデアルから鷹の居場所の情報を得て、ラロに協力を決める。
その場所はオフプロの島、そしてこの鷹こそ、警視庁密葬課を経て賭郎に入った三鷹立会人なのであった。
ラロ達によるかく乱が続く
百龍が放った指弾が天井を崩落させ、それが時間稼ぎとなった間に再び百龍が意識を取り戻し、やや混乱しながらも鷹を探して森へと移動を開始。
妃古壱もすぐさま百龍の後を追う。
戦いの中で火の手が回った小屋に貘は充電されたインナーを回収するが、燃えている身元不明の遺体の傍に妃古壱のハンカチがあったのを発見し、妃古壱が殺されたものと察した。
貘にドス黒い感情が沸き起こる一方、梶やマルコたちが貘を助けるために近くまで到着。
しかしちょうど貘を狙う大量の暴徒たちも接近し、貘と梶たちは合流できずに逃亡。
トルベに扇動され集団と化した暴徒により貘は少しずつ追い詰められ、立会人たちも思うように身動きが取れなくなっていく。
他方、ラロは亜面立会人に暴徒をあてがい続け、亜面に限界が近づいていく。
場を制御する立会人の数が足りない状況、だが賭郎も立会人も自らの死より卍勝負のルールを守ることが優先される。
ここで賭郎は間紙立会人と銅寺立会人がサポートに駆けつけるのだった。
弥鱈がトルベを制圧
運営は暴徒を扇動するトルベを捕らえるべく追うが、トルベは顔や衣服を変えて逃げつつ、爆弾の罠で翻弄。
誤魔化しようのない背骨の特徴から弥鱈立会人がトルベの追跡に成功し、仕掛けりていた地雷の罠も回避してトルベを制圧した。
百龍の最期
折れた腕の手当てを受けた妃古壱は再び百龍を追うが、既にボロボロの状態だった百龍は暴徒たちに襲われ虫の息に。
他方、三鷹は妊娠も告げずに一人で産んだ百龍との子が先天性の心疾患により一晩で死んでしまったことを百龍に伝えることを願っていたが、ちょうどそこにボロボロになった百龍と遭遇する。
三鷹は朦朧としたまま襲いかかってくる百龍を返り討ちにし、それが百龍だと認識することもないまま2人の再会は叶わずじまいとなるのであった。
システムの書き換えを狙う梟
決着まで残り2日。
失うもののないラロが狙うのは台場とアラタのパスワードでシステムを書き換えること。
新たな国でのプロトポロス実現に向けてシステムデータを抜き出すため、アラタは梟ともう1人の工作員を運営に送り込み、台場のパスワードを抽出しようとしていたが、もう1人がPCを触っているところを円堂に見つかってしまう。
工作員の男は円堂をナイフで刺すが逃げられてしまい、アラタの狙いが円堂にバレた。
梟はそれに便乗してラロのために台場のパスワードを盗もうとしていたが、失敗したことで台場がより警戒することを悟り、工作員の男を殺害して作戦を練り直すのだった。
暴動を鎮めたのは額人
そしてちょうど運営のアジトに200人を超える暴徒が接近しているとの警報が鳴った。
シングルタスクらでも暴徒の集団は止めることができず、死を覚悟しながら襲撃に備える運営たち。
ここでハルは台場に賭けを申し出、暴徒を止めることができたら台場の持つパスワードをリセットして誰にも操作できないようにすることを依頼。
ハルはこんなときのための切り札として額人を島に呼び寄せていた。
近づいている200人のうち、半数ほどにはインナーの反応がある。
インナーを着ているのは暴徒ではなく、正義を振りかざしながら矢面にたった額人に導かれた一般プレイヤーたちだった。
額人は堂々とした態度で暴徒たちの不安や恐れを鎮め、武装を解除させつつ皆を1つにまとめあげた。
当面のプレイヤーの安全の保障と食糧を運営に要求する額人の交渉が実り、プレイヤーたちは運営の中にあるパノプティコン監獄の中に匿われ、鉄格子のなかで安堵を得るのであった。
ハルと梟が対峙
その頃、藤壺らが立て籠もる運営のメインコンピュータールームの中には円堂だけが通され、裏切り者が台場ではなくアラタだったことが明かされる。
しかし円堂はそのまま力尽きてしまい、台場のPCからパスワードらしきデータを全て抜き取った梟がメインコンピュータールームを力尽くで占拠しにかかる。
ここでハルが再び梟の前に立ちはだかり、勝負を申し入れるのであった。
貘とラロが直接対決へ
暴徒は額人によって鎮圧され、生き延びていた妃古壱が貘と合流する。
妃古壱が生きていたことを素直に喜ぶ余裕すらもない様子の貘だが、そこにラロから直接賭郎勝負の打診が入った。
勝負の舞台は、ラロがいるパノプティコン監獄。
梶やマルコ、チャンプらもパノプティコンに避難してきていたものの、貘の計画のキーマンであるりゅうせいはラロと同じ房に入ってしまい、ラロに身柄を確保されてしまっている。
立会人たちも集結するなか、貘も姿を現してラロと再び対峙。
貘にとっては勝負を無理に受けずともラロが賭郎に粛清されることとなるが、ラロの要求を飲んで勝負を受けることに。
ラロはりゅうせいの身柄・インナーとアラタから奪ったレベル100のインナー、貘は自身とチャンプのインナーを賭け、勝った方がリセット後に1日で皇帝になる筋書き。
能輪立会人が2人の勝負は「エア・ポーカー」というデスマッチにすることを決定。
貘とラロは水中でエア(空気)という名のビオスを賭けながら奪い合うことになるのであった。
【39巻のまとめ】
ラロ達によるかく乱に苦戦を強いられながらも、賭郎が何とか制圧。
混沌とした戦いにも終わりが近づき、貘とラロは互いに全てを賭けたデスマッチ「エア・ポーカー」で雌雄を決することとなるのであった。
次巻へ続きます。
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