薬害事件を起こし、新社長のもと結束を高めるために登山レクリエーションに来ていた新入社員の早乙女をはじめとする藤谷製薬の社員たち40名。
しかし初日の夜からナタを持った大猿の襲撃により次々と社員が殺されていく。
山の険しさと共に増していく疲労と、追い詰められる精神。
社内に裏切り者がいる可能性が浮き彫りになり、徐々に分裂していく生存者たち。
度重なる激闘の末に猿の正体が人間であることが暴かれるが、突如として本物の魔猿も姿を現し牙をむく。
他方、早乙女たちは猿の仲間と告白した林によって毒を盛られてしまい、解毒のカギとなる毒の名前を教えることを条件に安斎・氷室の殺害に協力することに。
一連の事件は藤谷製薬が起こした薬害事件への怨嗟と復讐であることが明らかになり、薬害を隠蔽した主犯格である安斎と氷室を追う早乙女たち。
しかし圧倒的有利な位置で待ち伏せされ、氷室の投石を受けた宮田が崖下に転落してしまった。
山頂間近での攻防の末、氷室が魔猿に殺害され、その魔猿を操っていた日本刀の男も安斎によって殺された。
命からがら魔猿を退けた早乙女たちは、途中で出会った田畑という若者と合流しながら安斎を追って山頂にたどり着く。
そこでは最初に社員たちを襲ったとみられるナタを持った猿が待ち伏せしていたのだった。
12巻(完)のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
本物の魔猿と対峙
初日に社員を殺しまわった犯人を前に怒りを露わにする早乙女。
しかし林が「安斎と本物の魔猿が死んだ後なら好きにしていい」と仲裁に入り、それまでは共闘することとなった。
岩砕山の山頂が最後の戦場となる。
ふと早乙女が頭上に目をやると、そこには既に本物の魔猿が忍び寄っていた。
魔猿は猿に扮した犯人を軽々と担ぎ上げて山頂の標識に串刺しにする。
〈本物の魔猿が最初の猿を殺す [モンキーピーク 12巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
すかさず林が火縄銃を手に取り、早乙女が魔猿を引き付けている間に狙いを定める。
しかし田畑がナイフで林の腹を刺して妨害。
田畑はトオルに呼ばれてきた仲間だったのである。
〈田畑はトオルの仲間だった [モンキーピーク 12巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
本物の魔猿を退治
万事休すかと思われたところに安斎が到着した。
安斎が銃で魔猿を威嚇し、今度こそ林が火縄銃で魔猿を撃つ。
安斎はそのまま田畑を日本刀で刺して崖下へ落とし、林や早乙女たちに殺意を向けるのだった。
〈安斎が田畑を蹴り落とす [モンキーピーク 12巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
火縄銃を食らっても魔猿はまだ死んでおらず、再び安斎と早乙女に襲い掛かる。
早乙女が捨て身で鎖を縛り付け動きを止めるが、安斎は気絶。
と、そこに転落したはずの宮田が現れ、早乙女を援護して魔猿の動きを封じる。
〈宮田が復活 [モンキーピーク 12巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
止めを担ったのは佐藤。
火縄銃用の火薬袋を持ったまま魔猿に突撃し、爆発させた。
〈佐藤が火薬袋を手に自爆特攻 [モンキーピーク 12巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
佐藤は自爆特攻により右腕を失う重傷を負うが、魔猿は頭の一部を吹き飛ばされて力尽きた。
林が服毒自殺
宮田は崖から落ちたものの、警官の死体がクッションとなって奇跡的に無事だった。
林は生き残った早乙女に「もともと事件の語り部としてできるだけ生き残らせるつもりだった」と告げ、飲ませた毒の種類を明かす。
林が早乙女らに飲ませたのは強くはない毒であり、逆に自分が食べたチョコに致死性の毒があったことを明かす。
〈毒を明かして自殺する林 [モンキーピーク 12巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
林は事件の真相を世間に語る役目を早乙女に託し、そのまま息絶えるのだった。
安斎と田畑の死
佐藤の持っていたトランシーバーで救助を呼ぶだけというとき、安斎が最後の障害として立ちはだかる。
安斎は早乙女・宮田・佐藤を全員殺して自分が語り部として生き残るシナリオを高らかに宣言するが、その会話は宮田がトランシーバーのスイッチを押したままにしていたことで警察に筒抜け。
〈安斎のシナリオが警察に筒抜け [モンキーピーク 12巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
勝ち目が無くなり暴れる安斎と早乙女のタイマンとなる。
宮田がナタを投げて援護し、早乙女が安斎に捨て身のタックルで共に転落。
〈瀕死の重傷を負った安斎 [モンキーピーク 12巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
瓦礫が脇腹に刺さり重傷を負った安斎は、転落したはずの田畑が逃げようとしているのを見つけると最後の力を振り絞って岩を投げる。
岩は見事田畑の頭に命中して命を奪い、安斎もそのまま息絶えるのだった。
ほどなくして救助隊が到着し、早乙女・宮田・佐藤の3人が生き残った。
〈救助隊が到着 [モンキーピーク 12巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
エピローグ
数か月後、傷もある程度云えた3人が再会を果たす。
〈生還した3人 [モンキーピーク 12巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
早乙女と佐藤は付き合い始めており、また薬害被害者の会が作った「岩砕山 猿伝説」というHPには多額の寄付が集まっている。
藤谷製薬の社員を襲った連続殺人事件はこれで幕を閉じるが、HPはこうも警告している。
「猿を怖れよ。猿はまだいる。猿はまた現れる。悪は必ず裁かれる。」
〈魔猿からの警告 [モンキーピーク 12巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
悪事を働くとそれを裁くために猿がまた現れる、というメッセージを世の中に伝えるため、早乙女たちは事件の記録を本にして出版することにする。
二度と猿が現れない世の中を願って、「猿山」というタイトルをつけるのだった。
【12巻(完)のまとめ】
山頂で本物の魔猿を退治したが、林・安斎・田畑が死亡。
結局生き残ったのは早乙女・宮田・佐藤の3人だが、早乙女は凍傷で足の指を数本失い、佐藤も右腕を失う結果となった。
生き残った3人は悪事を働く者たちへの戒めとして今回の事件を書籍化し、二度と同じような事件が起きないことを願って世の中に警鐘を鳴らすのだった。
次巻へ続きます。
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