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前巻はこちら在宅医療の現場で問われる「踏み込む覚悟」、小野塚の成長を描く『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』12巻【ネタバレ注意】
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第13巻では、みどりの恋心の自覚と告白、発達障害の中学生とその家族が向き合う葛藤、そして後輩・くるみの成長と自己発見まで、登場人物たちの内面に深く踏み込んだエピソードが続きます。
薬剤師としての仕事だけでなく、人としての悩みや成長が丁寧に描かれた、シリーズの中でも特に感情移入しやすい一冊です。
目次
浮き足立つみどりと、薬物療法を選んだ中学生
小野塚への気持ちを自覚したみどりは、脈がなさそうだと感じながらも感情を持て余し、槙本に相談します。
恋愛の先にある女性としてのキャリアの積み方まで話が広がるあたりに、本作らしいリアリティがあります。
翌日、冷静さを取り戻したつもりで出勤したみどりでしたが、患者に「今日は機嫌がいいですね」と指摘されるほど顔に出てしまっていました。
その患者はADHDの診断を受けた中学生・南奏汰で、自分自身の困りごとを自覚した上で薬物治療を希望していました。
みどりが処方した薬は効果が出るまで時間がかかるタイプでしたが、高校受験を控えた母親は即効性のある別の薬を求めます。
家族は将来の選択肢を広げてあげたいという思いから焦りますが、奏汰本人には本人なりの考えがありました。
焦る母と、言えない本音を抱える子ども
奏汰の母は幼い頃からの育てにくさを感じており、検査を経て発達障害が判明したという経緯を持っています。
その過程で自身にも似た特徴があることに気づき、遺伝ではないかという罪悪感も焦りを強めていました。
薬を飲み始めても目立った変化がなく、副作用の眠気ばかりが強くなることに母は不安を募らせます。
みどりが気づいたのは、奏汰の慢性的な寝不足でした。
絵を描く衝動が抑えられず、朝まで起きてしまうこともあるという奏汰でしたが、大学進学を望む母を傷つけたくないと言い出せずにいたのです。
脳に作用する薬が睡眠不足によって本来の効果を発揮できなくなるという専門的な知見が、家族の対話を促す鍵となっていきます。
父と母が改めて奏汰の「楽しく生きること」を中心に話し合う姿は、発達障害を抱える家族のあるべき関わり方を温かく示しています。
勢いで告白、そして抜け殻のみどり
資格応募をギリギリで間に合わせた勢いのまま、みどりは小野塚を飲みに誘い、ふとした瞬間に告白してしまいます。
「今は仕事のことで頭がいっぱい」という返答に慌てて席を立つみどりの姿は、思わず笑いを誘いながらも切なさが漂います。
翌日抜け殻のような状態で昼食を取っていると、今度は疲弊しきったくるみが現れます。
難しい内科を担当しているくるみは、薬に詳しい医師たちの前で後れを取っていることに強い焦りを感じており、残業が増えて上長から指導が入るほど追い詰められていました。
みどりとくるみ、ふたりが抱えるそれぞれの「しんどさ」が重なり合う場面です。
羽倉とくるみ、補い合うことで見えてくるもの
優秀な同期・羽倉に大きな差をつけられていると感じ、自信を失っていたくるみは、薬物情報室で羽倉と鉢合わせになり逃げ出してしまいます。
しかし羽倉もまた、患者との関わり方においてくるみに劣等感を抱いており、薬物情報業務に注力することで自分の立ち位置を確認していたのです。
互いが互いの強みを必要としているという事実に気づいた羽倉は、オーバードーズ患者への新たな治療の可能性をくるみに伝えます。
薬の副作用を逆手に取るという画期的な提案は主治医にも認められ、患者は快方に向かいます。
やれることをやり切った先に見えた自分
勢いに乗ったくるみは、抗がん剤の副作用で治療継続が難しくなり激高していたがん患者・城島にも向き合います。
穏やかで前向きだった城島の突然の変貌に驚きながらも、くるみは薬剤師としての視点から丁寧に城島の心情に寄り添い、気持ちを整理する手助けをしました。
やれることをやり切った達成感の中で、くるみはようやく気づきます。
自分の自信のなさが、周囲の評価を必要以上に気にさせていたのだと。
穏やかな表情で仕事を終えるくるみの姿は、本巻で最も心に残るシーンのひとつです。
【13巻のまとめ】
『アンサングシンデレラ』第13巻は、恋愛、発達障害、劣等感、自己肯定感など、医療の枠を超えた人間としての普遍的なテーマが丁寧に描かれた一冊です。

シリーズを追ってきた読者には特に響く内容ですので、ぜひ手に取ってみてください。
次巻へ続きます。
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