関東某県にある彩珠学院高校野球部は、甲子園初出場で初優勝を果たした過去がある。
しかし現在は毎年1、2回戦での敗退続き。元野球部監督の狭山校長は13年前の部員で、現在は悪徳商法で留置所に入っている鳩ヶ谷を訪ね、新監督に就くよう依頼するが…。
汗と涙ぁ…そんなモンいらねぇ!
かつて名門、今は弱小の私立彩珠学院高校野球部にやってきた問題児監督・鳩ヶ谷圭輔が、硬直しきった高校球界の常識を変える!!
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
転落人生を歩む元捕手の営業マン
巧みな話術と鋭い洞察力で怪しい商品を訪問販売する凄腕のセールスマン・鳩ヶ谷圭輔。
しかし会社が家宅捜索を受けた際にスケープゴートにされ、留置場に入れられてしまう。
鳩ヶ谷の人生が狂いだしたのは13年前、彩珠学院の野球部で夏の県大会の準々決勝で捕手としてチームを引っ張っていた時。
2対2で迎えた9回裏、ツーアウト満塁でサヨナラ負けのピンチでピッチャーから最高のボールを引き出した鳩ヶ谷は、バッターの見送りと共に三振で延長戦突入を確信する。
ところが審判はボールを宣告、押し出しでのサヨナラ負けとなってしまった。
納得のいかなかった鳩ヶ谷は試合後審判室へ乗り込み、主審に詰め寄る。
主審は微妙な判定だったことを認めたうえで、「鳩ヶ谷には高校生らしいひたむきさが欠けていたから勉強させるためにボールにした」と発言。
曖昧過ぎる基準にキレた鳩ヶ谷はその場で主審を殴ってしまい、その日から転落し始めたのだった。
廃部寸前の野球部再建を任される
留置場にいた鳩ヶ谷をある人物が面会に訪れる。
それは13年前、彩珠学院の野球部で鳩ヶ谷を指導していた狭山元監督だった。
狭山はあの事件で監督を辞職したが現在は彩珠学院の校長を務めており、「鳩ケ谷の身柄を引き受ける代わりに野球部監督として甲子園に連れていってほしい」と交換条件を出す。
彩珠学院野球部は古豪ながらも最近は初戦敗退を繰り返す弱小であり、経営上の観点から今年の夏が最後の大会と宣告されている様子。
起訴は免れたものの、会社の破綻と逮捕によって財産も行くアテも失った鳩ヶ谷は、やむなく狭山の提案を受け高校野球の世界に戻ることにするのだった。
目標は甲子園出場
彩珠学院の夏の大会が始まる。
今の野球部の実力を知るために観戦に訪れた鳩ヶ谷だが、彩珠学院は良いところなしで初戦をコールド負け。
経営監査室マネージャーの美里ゆり子は試合後、野球部の廃部を通告。
しかし狭山は直接理事長にかけあい、1年間の猶予をもらったうえで「来年の夏に甲子園出場を成し遂げれば野球部の存続を認める」という約束を取り付けていた。
そのために新監督として連れてこられたのが鳩ヶ谷。
渋々ながら鳩ヶ谷は「自分のやり方に一切の口出しをしない」ことを条件に、高校野球に挑むこととなった。
D・C・Mの性格分類
練習初日、鳩ヶ谷は部員の性格の把握から着手する。
前監督の毛呂山は純朴だが頼りなく、部員たちも高校野球に「爽やかさ」「ひたむき」「正々堂々」といったイメージで臨んでいた。
鳩ヶ谷はこれら3つの言葉を禁句とし、勝つための練習を開始しながら部員たちを分類していく。
キャプテンの滑川をはじめ多くの部員は素直で「D」、中学時代に強豪からスカウトされたこともありながら自我が強いエースの日高は「C」、1年生ながら捕手として気を利かせる八潮は「M」。
補佐に就いた毛呂山はわけがわからぬまま、野球部はすぐさま2週間の合宿に入ることとなるのだった。
鳩ヶ谷独自の練習法
鳩ヶ谷による分類は、人間を「D」「C」「M」の種類に分け、性格別に操るためのものだった。
DはDog(犬)、命令に忠実で褒められると喜ぶタイプ。
CはCat(猫)、能力は高いが自分勝手で自由気まま、自分のペースでしか動かないタイプ。
MはMonkey(猿)、物事に動じず、何をやるにしても工夫するタイプ。
早速鳩ヶ谷はバレーボールやテニスなどを使った常識破りな練習をやらせ、忠実なDの部員たちは鳩ヶ谷を信じてついていく一方で、日高にはあえて左投げに挑戦、そして八潮には通行人の調査をさせる。
合宿の様子を見ていた大宮を始めとするOB会の面々は鳩ケ谷への不信感を募らせていくが、鳩ヶ谷の練習にはそれぞれ意味があった。
日高の練習は体軸の矯正のため、八潮の通行人の調査は人を観察力を高めて行動を予測する脳を鍛えるため―。
「強いチームが必ずしも甲子園に行けるとは限らない。県大会の優勝まで8連勝すれば他は全敗でも甲子園には行ける。」
鳩ヶ谷の言葉は果たして信用に足るのか。
練習の効果に半信半疑な日高は八潮を連れ出し、独断で右投げの投球練習で確かめることにするのだった。
【1巻のまとめ】
インチキセールスマンとして生計を立てていた元高校球児の鳩ヶ谷圭輔は、勤めていた会社摘発された際にスケープゴートにされて留置所で勾留されてしまう。
思えば13年前の甲子園県大会予選準々決勝にて、「大切なのは勝ち負けよりも高校生らしいひたむきさ」を持論とする審判・鶴ヶ島の判定に激高して全力で殴りつけてからが転落人生の始まりだった。
そんなとき鳩ヶ谷の出身校である彩珠学院の野球部元監督で今は校長を務める狭山が鳩ヶ谷への面会に訪れ、弱小と化した野球部の再建を託されることに。
彩珠学院の経営監査を任せられている美里ゆり子が不良債権である野球部の廃部を主張するなか、狭山は理事長に掛け合って「来年の夏までに甲子園に出場できれば野球部の存続を認める」という約束を取り付け、鳩ヶ谷は監督としてチームを指揮することに。
独自のやり方で練習させる鳩ヶ谷の手腕に早速OB会や父母が不振感を抱くなか、チームが始動したのだった。
次巻へ続きます。
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