生きる義務を放棄し、自殺を繰り返す「常習指定者」たちが送られる島、通称「自殺島」。
主人公のセイは自殺未遂の末、病院のベッドからこの島へと送り込まれた。
そこに待っていたのはセイと同じ自殺未遂者達。
死ねなければ生きるしかないサバイバルが始まり、グループで協力して生活のサイクルができるなか、冬に備えてセイは自分の力で生きるため、1人で山に入り鹿を追うことに。
弓を作り、思考錯誤で挑戦した狩りで鹿を仕留めたセイは、命への感謝の気持ちが内側から湧き上がり、数多の命の上に立ってこの島で生き抜く強い意志を固めた。
さらにこの島に先住している男に出会ったセイは、鹿の肉と引き換えに肉の保存の仕方など生活の知恵と共に1匹の子犬を譲り受け、その子犬「イキル」を猟犬として共に狩りを続ける。
そして結束を深めだしたセイたちの前にナオという売春婦が現れる。
サワダという暴君が支配する別のグループから逃げてきたというナオを迎え入れたことでサワダに目をつけられることとなり、争いの火種が生まれてしまった。
この島に嵐が近づいているのであった。
6巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
自殺に見せかけられた遺体
川辺で自分に心酔する女性を自殺へとへと誘うカイ。
女性が直前で思いとどまる気配を見せると、カイはロープで首を絞めて殺し、首吊りに見せかけて遺体を木に吊るした。
遺体を降ろす際に自身も首吊りを試みて失敗していたスギは、ロープの跡の付きかたから自殺ではなく他殺であることを見抜き、信頼できるリョウとセイだけにそのことを明かす。
いったい誰が、なんのために殺したのか。
あえて自殺に見せかけようとしたことから犯人はグループの中にいる可能性が高く、疑いの目は最後まで一緒にいたカイに向けられていく。
セイだけはこれまで冷静に皆を引っ張ってきたカイを信じようとするのであった。
死へと誘惑していた犯人はカイ
トモもまたかつてカイに自殺へと誘われかけたことがあり、2人で相談するうちに精神的に依存したところでカイが死という終わりと解放を提示されたという。
どうしてもカイがそんなことをするとは信じられないセイだったが、学校の屋上でカイと彼女がいることに気付くと血相を変えた。
カイは生きることへの不安と絶望を煽りながら飛び降り自殺へと誘っていたが、彼女は生きる答えを求めて必死に変わろうとするセイへの憧れを希望に、心を強く持つ。
カイと入れ違いで屋上に着いたセイは彼女が死を選ばなかったことに安堵しつつ、彼女から話を聞きカイが周りを死に至らしめている犯人であることを確信するのだった。
カイの説得は困難
それ以来、セイはカイのことを監視しながら2人きりで話すことにし、カイに「死の誘惑をやめて欲しい」と切り出す。
しかしカイは「死にたい人にそれでいいと言うのは罪か?全ての命が大切なら地球上で邪魔なのは間違いなく人間だ」と開き直り、逆にセイを丸め込もうとしてきた。
皆もう死にたい人ではない、明らかに生きようとしている―。
そう言いかけた際、学校の方から悲鳴と怒号が聞こえてきた。
異変を察知したセイはカイの説得を諦め、学校へと急ぐのだった。
ナオが拉致されかける
セイが駆けつけると、そこではサワダのグループがナオの代わりとして女性陣を拉致しようとしていた。
ミノルやボウシは怪我を負い、丸腰だったセイも鉄パイプで足を殴打されてしまう。
ここでリョウたち駆けつけたが、リョウはその場での戦闘は選ばず、サワダたちをそのまま追い払う。
その場は事なきを得たが、またサワダたちが来るのは確実。
リョウたちはどう対応するか悩むことになるのだった。
対話の可能性を信じるリョウ
ナオを差し出して助かろうと言い出す者に対し、ナオに入れ込んでいるケンは強く反発する。
そんななか、カイはナオを差し出したところでサワダはまた略奪に来るだろうと冷静に指摘する。
リョウは少数精鋭の男たちでサワダの集落へと行き、話し合うことを決意。
サワダたちも自分たち同じ自殺未遂者であり、わかりあえるはず。
かすかな希望を捨てず、リョウはセイ、ケン、スギと共にサワダの集落へと出発するのだった。
騙し討ちを企む卑劣なサワダ
サワダの集落には山羊や鶏の飼育も行っており、生活は安定しているように見える。
しかしリョウたちの姿を見た女性たちは逃げ、さらに復讐しに来たと思い込んで男たちが武器を持って取り囲んできた。
そんななか姿を見せたサワダはリョウと1対1で話すことにし、少し距離を離したところへと案内する。
嫌な予感がしたセイがこっそり抜け出して山道へと潜むなか、サワダとリョウの話し合いがもたれた。
しかし両者はどちらも折れることなく、話し合いは平行線。
と、サワダは隠し持っていたナイフで突然リョウに襲いかかった。
話が折り合わなければ消すのが手っ取り早いと考えたサワダは部下にも命じてリョウを殺そうとしてくる。
スギとケンだけでは助けに入ることもできない。
ここで山道に身を潜めていたセイが弓で威嚇。
歩みを止めずリョウに近づこうとする敵に対し、セイはリョウを守る一心で矢を放った。
その矢は敵の太ももを貫き、サワダのグループは退却。
セイのおかげでリョウは助けられ帰路につくが、セイの脅しがサワダにどこまで効いたのか、まだ不安が残るのであった。
セイと彼女、初めての2人きりの夜
仲間たちのもとに戻り、再び山へ狩りに出たセイは、神聖な山での静かな時間に心地よさを感じる。
仕留めた鹿をケンと共に小屋へと運ぶと、そこにはトモと彼女が待っていた。
トモは気を利かせて小屋にセイと彼女だけを残し、セイは彼女と2人きりでその夜を過ごすこととなる。
黙々と作業を済ませながらも、徐々に距離が近づいていく。
セイはおもわず彼女を押し倒し、彼女も抵抗は見せなかったが、「いいよ。我慢…できるから」という彼女の言葉と諦めたような表情を見たセイは、彼女の傷に触れてしまったことを強く反省。
それでもセイに心を開こうとする彼女は、自分の過去について明かし始めるのだった。
マリアの過去と新たな名前
彼女の本名はマリア。
ロシア人の母を持ち、10歳のときに母がロシアへ帰郷、父も生活に困窮したために父の親戚の家庭に預けられたが、そこで養父から約10年もの間、性的虐待を受けていた。
逆らうこともできないままマリアは人形のように心が死んでいき、義務教育が終わってその家から独り立ちした後も、好きな人との行為の際にトラウマが蘇ってしまい、それ以上親しくなれずに皆去っていったという。
話を聞いたセイは慣れない山に疲れてしまったマリアを寝かせた後、マリアに同情し、また自分も同じように迫ってしまったことを悔いて涙を流す。
翌朝、マリアは初めて自分の心に寄り添ってくれたセイに好意を寄せるようになった。
そしてセイも自分の名前が好きではないというマリアに対し、前向きに生きられるように「リヴ」という名前で呼ぶことに。
リヴも嬉し涙と共にその名前を受け入れるのであった。
【6巻のまとめ】
皆を引っ張ってきたカイが裏では弱った者に寄り添いながら死へと誘惑していることが明らかとなり、セイはカイを警戒するようになる。
さらにナオを奪い返すべくサワダ派が強硬手段に出始め、話し合いでの解決を図ったリョウも騙し討ちされかけた。
セイの援護と威嚇のおかげでリョウは難を逃れたが、サワダ派との衝突は避けられそうもない。
そんななか、惹かれていた彼女と山で2人きりの夜を過ごすこととなったセイ。
彼女の抱えるトラウマを知り涙する一方、彼女もセイに惹かれ始め、セイからもらった新たな「リヴ」という名前で前向きに生きることを決意するのであった。
次巻へ続きます。
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