青年漫画

希望などなかった『ミスミソウ』3巻(完)【ネタバレ】

投稿日:2018年2月3日 更新日:

~前巻までのあらすじ~

クラスメイトからの壮絶なイジメを受けていた春花。

ついに放火までされ春花の両親が亡くなり、妹は意識不明の重体で入院、春花は祖父に引き取られることになった。

「卒業したら東京に連れて帰りたい」と春花のことを心配する祖父をよそに、憎悪に駆られる春花は復讐をはじめ、放火の実行犯だったクラスメイトたちを次々に殺害する。

担任の南先生は自身のトラウマから異常な思考を見せ始める一方、放火の首謀者の流美は復讐の恐怖に怯え、元々イジメをはじめた妙子を恨みだす。

復讐に手を染める春花の瞳からは光が失われていたが、支えてくれる晄のおかげで感情と声を取り戻すことができた。

距離の近づく2人だったが、そんな晄にも隠された闇が…?

 

晄の歪んだ愛情

晄の父親はDV癖があり、毎日の様に晄の母親に暴力を奮っていました。母もまた、支配されることで愛を感じており、血を流しても必死に笑顔を作っています。「お父さんとお母さんは仲良くしているんだよ」という父の教えを自分に言い聞かせる晄でしたが、それでも日に日に傷が増えていく母。ある日晄は母への暴力を見かねて、父をカッターで切りつけます。その表情は暴力を奮う父親に似ていました。

結果、父は他に愛人を作って出ていき、晄は母と二人で暮らすことになります。「自分が母を支えないと」と心に誓う晄でしたが、母に元気はなく。それどころか

母「アンタがお父さんにあんなことしなければ、お父さんは他の女と一緒にならなかった。アンタのせいで台無しだ」

などと責められる始末。

晄は咄嗟に母を全力でブン殴っていました。そのとき、母には父に殴られていた時の笑顔が戻るのを見た晄は、「母さんは殴られるのを待ってたんだ」と解釈。母を喜ばせるため、父に代わって躊躇なく暴力を奮うようになっていきます。

〈母親への歪んだ愛から暴力をふるう晄 [ミスミソウ3巻]©ぶんか社/押切蓮介〉

そして母も出ていった現在。春花の祖父から東京に帰ることを聞いていた晄は、二人で暮らしている祖母に「東京に行ってふたりで暮らしたい人がいる」と打ち明けます。

一方その頃、晄の支えのおかげで少しだけかつての自分を取り戻せた春花。祖父に心配をかけさせまいと、祖父の勧めに賛同し、卒業後には東京に帰って前向きに生きることを決意します。祖父はその言葉を聞いて静かに涙を流すのでした。

そんな春花の決意を知らず、「あいつには俺しかいないから」と春花を愛することを決めた晄。しかしなぜか晄のベッドには燃え盛る火に囲まれた春花の父と妹の写真が…

〈焼かれる春花の父と妹の写真を晄が持っている…? [ミスミソウ3巻]©ぶんか社/押切蓮介〉

妙子の懺悔

はじめは流美を軽く焚き付けただけなのに、まさか本当に放火して殺すなんて。

どんどん事態が悪化することで、妙子は自責の念に駆られはじめていました。フラフラと外へ出て歩き出す妙子は、誰もいないバス停で春花に出会います。

最初は憎まれ口を叩きますが、次第に懺悔の言葉を口にする妙子。春花は妙子の懺悔を静かに受け止めます。

春花が転校してきたとき、最初に話しかけてくれたのは妙子でした。妙子はまた、美容師になるという夢を春花に打ち明けてもくれました。しかし、いつの間にか晄と一緒にいることで妙子を傷つけてしまっていた…。

一方の妙子も、晄を春花に取られたことに嫉妬していたのではなく、春花を晄に取られたことが許せなかったのです。

二人のわだかまりは解け、「胸を張って生きて」という春花の言葉に、妙子は

妙子「私を…許して…」

と崩れ落ちるように膝をつくのでした。

〈和解する春花と妙子[ミスミソウ3巻]©ぶんか社/押切蓮介〉

妙子の最期

春花と別れ帰路につく妙子ですが、後ろから突然、ナイフを持った流美に襲われます。流美は妙子に気に入られようと放火までしたのに、全く自分を助けようとしてくれないことで恨みを募らせていたのです。

妙子もナイフを取り出して応戦し、互いに切りつけ合う妙子と流美。

流美の顔を切った妙子でしたが、完全に吹っ切れている流美が妙子の胸にナイフを突き刺し、流美に軍配があがりました。

〈妙子を襲う流美[ミスミソウ3巻]©ぶんか社/押切蓮介〉

あの怖いもの知らずで憧れの存在だった妙子が、いまではボロ雑巾のように転がっている。流美は下剋上を果たしたことで自信をつけ、自分を脅かす春花を次のターゲットに決めます

車通りも少ない道に倒れた妙子は、薄れいく意識の中で美容師になる夢が散ったことを想い、そのまま息絶えました。

晄の暴走

反対する祖母を”説得”し、春花と2人で東京で暮らす決意を春花に語る晄。しかし春花の答えは「気持ちは嬉しいけど、祖父と妹と3人で支え合って生きていくから」と断ります。

晄「俺が守るって…約束したじゃないか…」

〈春花への愛が暴走する晄[ミスミソウ3巻]©ぶんか社/押切蓮介〉

晄の言葉に胸を痛める春花でしたが、春花の決意は変わらず。

互いに支え合う春花と祖父をよそに、ついに晄の愛情が暴走し始めます。晄の傍らには、何度も殴られてアザだらけの祖母

春花を手に入れるため、晄は春花の祖父に会って”直訴”することに決めるのでした。

錯乱する南先生

翌日。道に倒れた妙子の死体が発見され、子供が帰ってこない親たちは担任の南先生に激しく詰め寄ります。

親たち「ホントはアンタが殺したんじゃないのか」

責め立てられ、イジメられていたトラウマが蘇った南先生。嘔吐しながら親たちに危害を加え始めます。錯乱状態に陥った南先生はその場から逃走しようとしますが、雪に足をとられて転倒。そこにちょうど除雪車が通りかかり、南先生は巻き込まれてグシャグシャな最期を迎えました

〈転倒した南先生の前に除雪車が…[ミスミソウ3巻]©ぶんか社/押切蓮介〉

病院にて

春花を探す流美が狙いを定めたのは、入院中の春花の妹でした。包丁を携えて病室を訪れる流美。ちょうどそこにはお見舞いに来ていた春花の姿が。

流美は自衛の手段としてあらかじめ病室中に灯油をまいており、もう片方の手にはライターを握っています。

流美「二度も妹を焼かれたくはないでしょ?これ以上焦がしたら、もう食べられなくなっちゃうよ。アンタの大切なバーベキュー」

という流美の言葉で、春花には再び憎しみの炎がともります。

春花は一瞬の隙をついて流美を押し倒し、馬乗りになって首を絞めます。が、このタイミングで妹が危篤状態に陥ったことを知らせるバイタルサインが鳴り響きます。

動揺する春花と、難を逃れる流美。医師たちが病室に駆けつけてきたためその場は収まり、流美は外へ逃れます。

病室の外で呆然とする春花のもとに、「野咲がここにいるって聞いてさ。会いたくて来ちまったよ」と晄が現れます

改めて「俺がいる。独りぼっちにはさせない」と寄り添う晄でしたが、春花に追い打ちをかけるように、祖父が何者かに殴られて重傷を負い、緊急搬送されてきました。

いったい、なぜ。誰が。春花の頭によぎったのは「野咲がここにいるって聞いてさ。」という晄の言葉。誰から聞いたのでしょうか。

思い出の場所

気がつけば病院から晄の姿も消えています。春花は走って病院を飛び出し、晄に追いつきます。

晄の手に殴った痕があるか確かめたい春花と、話を逸らしながら歩き続ける晄。歩いているうちに、あたりは人気のない林道に変わっています。

あまりにしつこく迫る春花に業を煮やし、春花の頬をはたく晄。春花は晄のその手を掴み、拳を見ます。やはりその手は誰かを殴ったことを物語っていました

〈晄の手には明らかに誰かを殴った跡が[ミスミソウ3巻]©ぶんか社/押切蓮介〉

晄は「昨日、自分の保護者である祖母を説得するために殴った痕だ」と必死に弁明します。

晄「大人達は何もわかってない。俺と野咲ならきっと上手くやっていける。そうだろ、野咲…?」

と差し出される手を、春花は迷わず叩き落します。母親や祖母だけでなく、春花にも拒絶され、取り乱す晄。

そしてそこに流美が現れます。春花への恨みと、放火の日の真実を語り始める流美。

本当はちょっと燃やすだけのはずだったのに、春花の母親に見つかってしまい、久賀がちょっとしたミスで母親に火をつけてしまった。そこからは流美が家を封鎖して父親と妹を閉じ込め、外から火をつけた…。

嬉々として事細かに残虐な行為を語る流美に、我慢できずに突進する春花。待ち構えていた流美は懐から包丁を取り出し、春花の腹に深々と包丁を突き立てます

すかさず晄が駆け寄って流美を殴り、揉み合いに。晄のカバンが飛んだはずみで、中から写真が飛び散ります。その中の一枚に燃え盛る火に囲まれた春花の父と妹の写真があり、春花の目は釘付けに。

〈晄が撮っていた写真が春花にバレてしまう[ミスミソウ3巻]©ぶんか社/押切蓮介〉

あの火事のとき、家から妹を助け出してくれたのは晄。晄は必死に弁明しようとしますが、春花は怒りに我を忘れ、自分の腹に刺さった包丁を引き抜いて晄へ思いっきり振り下ろします

晄はとっさに流美を盾にし、振り下ろされた包丁が流美の首に刺さる。流美の首からは勢いよく血が噴き出します

晄は流美ごと春花を突き飛ばし、自分を殺そうとした春花を殴り始めました。

それから少し時間が経ち。背を向けてうずくまる春花から少し離れたとこでカメラを構え、晄は春花に自分と共に生きるラストチャンスを与えます。

ふと見やると、傍らにはミスミソウが小さな花をつけています。ここは、春花が晄からミスミソウの話を聞いた思い出の場所。

春花の姿を写真に収めようと晄がレンズを覗き込んだ瞬間、春花が最後の力を振り絞って勢いよく振り返ります。その手には間宮を撃ったあのボウガンが

春花が放った矢はレンズを貫通し、晄の右目に深々と突き刺さります。地面に倒れこむ晄は、そのまま息を引き取りました。

春花の復讐が終わりました。妹からもらったペンダントを取り出すと、次々と涙が溢れてきます。大雪で誰も来ないまま、泣き続ける春花。その腹には深い刺し傷。

心配をかけた祖父や、今は亡き両親と妹のことを想いながら、春花はゆっくりとうずくまるのでした。

エピローグ

吹雪がやみ、行方不明になっていた生徒たちの遺体が次々に発見されました。

中学校最後の卒業式は、南先生や多くの生徒が欠けた状態で行われることとなりました。

1人きりになってしまった春花の祖父は、電車で街を出ます。春花も、祥子も、もう帰らぬ人となってしまいました。

町から離れるにつれ、窓の外には満開の桜。待ち望んでいた春が、ようやくやってきたのでした。

〈ただ1人取り残され、春を迎える春花の祖父[ミスミソウ3巻]©ぶんか社/押切蓮介〉

【3巻のまとめ】

ハッピーエンドが待っていると思った?残念、祖父以外全滅です。

せっかく妙子とのわだかまりも解け、前向きに生きる決意が固まったはずだったのに、まさかの全滅とは…。

ずっと心の支えにしてきた晄もとんでもなく歪んでいて、救いがありません。相変わらず除雪車でグシャグシャなど描写もグロく、各キャラの表情も狂気に満ちています。

これがみんなのトラウマになった所以でしょう。本当に、どうしてこんなことになってしまったのか。

もう二度と読みたくない、と思いつつも、いつか不思議とまた読み返したくなると思います。

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