ウイルスによって巨大化した昆虫が街を襲うパニックホラー漫画。
虫の気持ち悪さもさることながら、政府の陰謀などサスペンス要素もあります。
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
テルバイド化学とペレナドウイルス
鬱蒼とした夜の森。防護服に身を包んだ二人組が巨大化した昆虫のサンプルを回収しています。二人の名は森宮辰彦と金子。ともにテルバイド化学という会社に勤めており、「ペレナドウイルス」の開発に携わっています。辰彦らは有用なタンパク質を探求するプロジェクトの一環で、ペレナドウイルスを山に散布し、その影響で巨大化した昆虫のサンプルを集めるために山に来ていました。
二人が回収したのは掌のサイズをゆうに超えるほどのバッタ。しかしその際、木の上から巨大な毛虫に襲われます。咄嗟に毛虫を引きちぎりますが、森の奥からは次々と巨大化した昆虫の群れが。想定以上の大きさと数の多さに身の危険を感じた二人は一目散に逃げ、山から脱出します。
〈押し寄せる巨大昆虫の群れ [インセクツ1巻]©幻冬舎/杉山敏〉
研究の責任者 佐伯博士の自殺
さて、無事にテルバイド化学にサンプルを持ち帰った二人。責任者の佐伯博士は
佐伯「急激な変化を遂げた昆虫が環境に適応し続けるのは不可能だ。2、3ヵ月もすれば全て収束する」
と断言しますが、当初の予測を超える大きさまで巨大化した昆虫が実験区域の山から外に出る場合や、万が一環境に適応してしまった場合にはもう手が付けられなくなる、と他のメンバーは事態を重く受け止めます。
そして、やはり副責任者の大橋の懸念の通り昆虫の進化は止まりませんでした。巨大化した昆虫が環境に適応して生存しているうえ、さらに羽をもち飛行可能なものも現れはじめます。
辰彦の弟である森宮順の通う学校でも、授業中に大きな虫が飛び込んできました。順はなんなく下敷きで叩き落しますが、落としたのは大きなハチ…かと思いきや、見たこともない虫。
大橋は佐伯博士にプロジェクトの中止と国への救援依頼を進言します。すると、
佐伯「…私が……始めたんじゃない…」
と言い残してひとり部屋に引き籠ってしまいました。
残ったメンバーは大橋を中心に対応を協議。国の関係機関への報告と、外部の同業者への協力依頼をすることに決めます。方針がひととおり決まったところで辰彦が報告がてら佐伯先生の様子を見に行くと、そこには部屋で首を吊っている佐伯博士の姿が。今後の対応も事件の責任も、すべて残されたメンバーが負うこととなってしまいました。
〈自殺する佐伯博士と取り残された森宮辰彦 [インセクツ1巻]©幻冬舎/杉山敏〉
隔離される街
テルバイド化学からの救援要請を受け、防衛副大臣の粟津は佐伯博士の死亡には驚いたものの、迅速に対応を打ち立てます。自衛隊各隊に行動開始を指示し、報道機関へは情報統制。まるでこの事態を待っていたかのような、スピーディーな対応です。
そのころ、順と同級生の黒井英和、水野沙奈は通学中に、駅に自衛隊がいるのを目にします。電車は止まっており、駅も混雑しています。何が起きたのか調べようとしても、携帯も繋がらない。そして空には多数のヘリコプターと、地上には自衛隊のトラック部隊。街が自衛隊の統制下に入ったことが市民たちに告げられ、物々しい雰囲気になっていきます。
街には交通規制が敷かれ、道路にはバリケード。携帯も固定電話もネットも遮断され、防衛省による記者会見で「テルバイド化学の実験失敗により微生物災害が起きる可能性があるため、被害想定区画を隔離する」と発表されます。隔離区域への出入りは禁止になり、区域内は完全に自衛隊の統制下に置かれました。
〈自衛隊が出動し、街は完全に隔離される [インセクツ1巻]©幻冬舎/杉山敏〉
そしてテルバイド化学も、政府から派遣された崎村をトップとした特殊機関の指揮下に置かれます。
崎村は首尾よく最新機器を次々と搬入し、準備を整えていきます。が、あまりに手際が良すぎることをはじめとして不自然な点が多く、最初から仕組まれたものではないかと不審がる辰彦。
〈崎村の意味深な発言が疑念を生んでいく [インセクツ1巻]©幻冬舎/杉山敏〉
そしてその夜。自衛隊の統制下に入ったことで、不安な夜を過ごす各家庭にも少しずつ異変が起き始めます。実家が焦点の黒井英和は、倉庫が何かの生物に食い漁られているのを発見し、巨大なイモムシが電線を伝って移動をはじめたことで停電も発生。さらに下水道など、様々なルートから巨大化した虫の群れが街に忍び寄るのでした。
広がる疑念
崎村のチームは、超音波を照射して昆虫の動きを止める「IRS」を隔離された街のいたるところに設置していきます。
〈崎村の用意した超音波装置「IRS」 [インセクツ1巻]©幻冬舎/杉山敏〉
崎村「ここから先は一層の激務が予想される。気張ってください」
と部下に発破をかける崎村。その上には粟津防衛副大臣の影があるのでした。
一方、研究チームのまとめ役になった大橋の知人でミクモ製薬に勤める近藤と小田嶋は、大橋の協力依頼を受けて大橋と連絡を取ろうとしますが、情報網も封鎖されており、内部と完全に連絡が取れない状態にありました。
完璧に遮断されていることを受け、近藤と小田嶋は実際に隔離地域への侵入を試みることに決めます。
また、内部にいる辰彦も、崎村たちに気づかれずに外部と連絡する方法を探ることを決意します。
疑念が広がり苛立つテルバイド化学のメンバーに対し、崎村は
・自分が国家の特殊機関に所属していること
・自分のミッションはテルバイド化学の研究内容と同様であること
・被害は甚大でも、得られる結果を活かすことでのメリットは大きいこと
を説明し、賛同を得ようとしますが、不信感はぬぐえません。
他方、自衛隊員として現地に派遣された桐谷も、上から降りてきた指令が住民の安全を第一としていないものであることに疑問を持ちはじめます。
さまざまな方面で疑念の渦が広がっていきます。
遭遇
食糧や日用品の確保のため、スーパーを訪れた順と母。人がごった返すなか買い物を終え、その帰り道。
巨大なバッタが車のフロントガラスにぶつかってきました。バッタは衝突の勢いで死んでおり、順は気味悪がりながら死体を側溝に捨てます。そして順たちが去った後、その死体に無数の昆虫が群がっていくのでした。
また、順と同級生の水野沙奈も、自販機でジュースを買おうとしたところ、中から出てきた巨大な虫に襲われかけ、慌てて家に逃げ帰ります。
〈自販機から巨大昆虫、恐怖に固まる水野 [インセクツ1巻]©幻冬舎/杉山敏〉
そして、ついに被害者が出てしまいます。たまたま近くを巡回していた自衛隊員の桐谷とパートナーの東は、とある納豆工場で異変が起きていることを察知します。
2人が中の様子をうかがうと、そこには建物の床、壁、そこら中を埋め尽くす虫の大群と、2人の要救助者の姿が。
〈大群に埋め尽くされた納豆工場 [インセクツ1巻]©幻冬舎/杉山敏〉
特殊化学班の増援を待つ時間はないと判断した桐谷は、腰の引ける東と共に中へ突入します。
【1巻のまとめ】
テルバイド化学のプロジェクトを発端として、昆虫が巨大化。プロジェクトの責任者は自殺し、残されたメンバーが対応に追われるものの、支援要請を受けた政府の対応は不自然なまでに迅速です。
街は完全に自衛隊の統制下で封鎖され連絡が取れないなか、辰彦は中から、近藤と小田嶋は外からの突破を画策します。
そうこうしているうちに、被害者が出始めました。自衛隊員の桐谷と東は、虫に覆われた倉庫から要救助者を救えるか。
次巻に続きます。
この漫画をもう一度読みたい方はこちら