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崖っぷちの貘が最後の切り札で大逆転を手繰り寄せる!その壮大な作戦と恐るべき計算とは『嘘喰い』48巻【ネタバレ注意】

~前巻までのあらすじ~

多重債務者の冴えない青年・梶隆臣はひょんなことから凄腕のギャンブラー・斑目貘と出会い、行動を共にするようになる。

さらに梶は命すら対価にするギャンブルや、それを成立させるために立会人を派遣する中立の秘密組織「賭郎」の存在を知り、廃ビルでの命懸けの脱出勝負に勝った貘は、全てを凌駕する暴力を持つ別人格の怪物・ロデムを宿すマルコを仲間に加え、賭郎の会員権や大金を得た。

賭郎の会員権を梶に譲った貘はさらに賭郎の能輪立会人の手配で新たな賭郎勝負の場を設定してもらうこととなり、貘と顔なじみである立会人の夜行妃古壱が梶の専属につくなか、富士山中のトンネルでテロリストの佐田国との賭郎勝負に勝ち、お屋形様との取引で再び賭郎会員に復帰。

しかしその裏ではお屋形様の思惑通り警察以上の力を持つ新組織成立へと動き始めており、さらに賭郎の乗っ取りを企む米国の犯罪組織「アイデアル」も実行部隊リーダーである暗殺者カラカルが暗躍する。

貘は警察とグルになって未解決事件の犯人をでっち上げるための迷宮ギャンブルを利用して自分が屋形越えに失敗した事実を無かったことにし、さらにこの迷宮ギャンブルに関与していた警察関係者の天真とその部下である密葬課の箕輪とのギャンブルにも勝利してLファイルを獲得する。

他方、自らの力で無実を証明すべく立ち上がった梶は、貘から得た情報で殺人事件の真犯人である羽山邸へと潜入、羽山家に取り入るヤクザの鞍馬と滑骨の代理戦争に巻き込まれる形で「ファラリスの雄牛」の勝負に臨んだ。

焼かれたカールが瀕死の重傷を負うが、カールとの協力もあり梶が最終的に勝利して事件の証拠を獲得、負けを認めようとしなかった滑骨は屋敷の外で伽羅によって葬られるが、伽羅は滑骨が契約していた伝説的ボディーガードのキョンホ・ジョンリョに狙われることとなり、姿を消した。

貘は梶が獲得した証拠と犯罪者が載るLファイルを使い、テレビ局を乗っ取って生放送での暴露番組を企画し、貘はゲストの中に潜ませていた梶と共謀して500億もの大金をゲストから巻き上げることに成功する。

放送市場類を見ない番組を終えた貘はさらに電波ジャックを継続し、Lファイルを利用して賭郎が用意した搦手の人員を各所に受け入れさせ、500億と合わせて屋形越えの権利に手をかけた。

そのまま貘は搦手が成立するまでの時間稼ぎとして旧電波塔である帝国タワーで賭郎勝負を始めたが、相手として現れたのは零號立会人の切間撻器を連れた謎の男・捨隈。

2人の戦いはアイデアルのカラカルとマーティンや鞍馬組も割り込み混沌とした戦いとなるが、アイデアルの工作員だった捨隈の思考をも看破した貘が勝負を制した。

他方、タワーの外では賭郎と警察が互いの代表による激しいバトルが繰り広げ、搦手の成立と笹岡副総監の死によって決着し、密葬課は解体、真鍋と三鷹の2人は賭郎に吸収されることとなる。

零號の称号を賭けた號奪戦でも死力を尽くした妃古壱が撻器から勝利を挙げ、貘が賭けに勝ったものの、その勝負の裏で貘の500億がアイデアルに横取りされてしまう。

さらに持病の記憶喪失を起こしたお屋形様がかつてお守役だった栄羽と合流すべく、賭郎の追っ手を振り切って行方をくらませた。

お屋形様の表の顔である内閣調査室の蜂名直器と面識のあった防衛省の大船額人が逃走を助け、額人が追う武器密輸事件の捜査に協力することとなった蜂名は、密輸の受渡場所であるジャルード号に額人と共に潜入。

船に拘束されていた新聞記者の横井と偶然巻き込まれた梶と共に額人がレーシィ船長と賭郎勝負「バトルシップ」を繰り広げ、額人は勝負に敗れたものの、梶や賭郎たちが脱出した後に蜂名の工作によって船は沈没した。

その蜂名とアイデアルのボスであるラロが接触し、貘と3人で直接対峙、屋形越えの挑戦権を賭けて勝負することが決まる。

限られた空間・時間・協力者の人数のなかで好きに勝負ができる卍勝負となり、オンラインゲーム「プロトポロス」の世界を現実に再現した絶海の孤島で運営も巻き込んだ混沌とした戦いを経て、貘は互いに全てを賭けたデスマッチ「エア・ポーカー」でラロから勝利を挙げた。

屋形越えの立ち会いの権利を賭けたバトルを妃古壱が制し、いよいよ屋形越えが始まる。

ゲームの内容は臨死を賭けた「ハンカチ落とし」。

いつハンカチを落とすか、いつ振り向くかの壮絶な心理戦はゲーム開始早々から貘もお屋形様も互いに臨死を経験する展開に。

お屋形様が覚醒し状況がひっくり返るなか、貘は2度目の臨死に至る。

母親から受け継いだエコロケーションも駆使してゲームを支配するお屋形様。

徐々に追い込まれ限界が近づく貘は、エコロケーションを打破すべく仕掛けるが…。

 

48巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

失敗できない状況に追い込まれた貘

貘はエコロケーションで感知されないように床に平たくハンカチを置いていたが、それすらも見透かしたお屋形様は開始直後に振り向き、完璧な0秒チェックを成功させた。

8回表、崖っぷちの貘は、即C失敗して4分半ほどの臨死と引き換えにシリンダーをリセットするか、このゲームで勝負をかける場合は蓄積を26秒以内に抑えながらC成功させなければ、次に失敗した際には累計5分を越えるデッドラインに達してしまう。

貘はこの回は時間ギリギリまで振り向かず、C成功したものの、座視の際は55秒。

これにより貘はもうC失敗すれば死亡、このままのシリンダーで累計5分を超えないように勝負するしかなくなった。

残る目はいま1分34秒分蓄積しているお屋形様の蓄積を2分36秒まで増やし、一撃死させること。

いよいよ戦いは佳境を迎えたのだった。

2度目の臨死でお屋形様に記憶喪失が起きるが…

8回裏、蓄積狙いの貘を見透かしたようにお屋形様は即C失敗し、臨死と引き換えにシリンダーをリセット。

リスクを取ったものの、最後に蘇生できればお屋形様の勝ちはほぼ揺るぎないものになる。

死の淵を彷徨ったお屋形様は臨死を経て蘇生。

妃古壱は次の9回表を8時57分から開始する旨を告げるが、このときお屋形様には走馬灯によって流れ込んできた大量の情報と記憶が災いして認知負荷がかかり、持病の記憶喪失が再発してしまう。

これまでお屋形様の記憶喪失は1か月前後に1度のペースで安定しており、この日は前回お屋形様が記憶を失ってからちょうど1か月後。

このまま指定された時間にゲームを開始できなければお屋形様の負けとなるが、臨死の前にルールに抵触しない範囲で妃古壱に状況とルールの再説明をお願いしていたことで、お屋形様は状況を把握した。

再び勝負に戻ったお屋形様はかつてのハルとしての人格を取り戻し、貘と対峙するのだった。

崖っぷちの貘、切り札を手に運命の9回裏へ

9回表、お屋形様は開始直後にハンカチを落とすが、もうC失敗できない貘は時間ギリギリまで振り向かず、座視の際は上限いっぱいの60秒に。

これでもはやお屋形様は自分のCのターンでは安全策をしているだけで逃げ切れる状況。

負けを認めた貘はこうして8時59分から始まる9回裏に臨むが、このときまだ貘は最後の切り札を隠し持っていたのだった。

貘の切り札が炸裂

9回裏、貘はハンカチを落とさずお屋形様も安全策を取って時間だけが刻々と過ぎていく。

そして60秒の「ポーン」という合図と共にお屋形様が振り向いた。

しかしこのとき貘はまだハンカチを落としておらず、続けて鳴った2回目の「ポーン」という合図と共に貘はハンカチを投下。

ルール上はこの時報の音が何よりも優先されるため、お屋形様はまさかの安全策でのC失敗となった。

誰もが混乱したが、その秘密は3年ぶりにこの日に挿入された「うるう秒」にあった。

8時59分59秒と9時ちょうどの間に通常では存在しないはずの8時59分60秒が入ったことにより、時報の合図も2度鳴ったのである。

このうるう秒の存在を貘が知っていたということは、屋形越えのゲームの最中もインターバルや臨死といった時間の管理をずっとしていたこと、そしてプロトポロスでの卍勝負のときからこの時に合わせてタイムリミットを設定していたことになる。

時報の合図が1回か2回かは電話回線によって異なるが、これも貘はゲーム終了後にりゅうせいに依頼して電話を立会人から借りさせ、回線を確かめていた。

この勝負がハンカチ落としだったこと、時間の計測に梶が仕込んだ時計ではなく時報が使われたこと、8時59分から貘がDとなるターンで山場を迎えたこと、今思えば貘は驚異的な読みと強運によって勝利を手繰り寄せていたのだった。

【48巻のまとめ】

崖っぷちに追い込まれた貘だが、9回裏に切り札が炸裂。

数年に一度のうるう秒が挿入されるタイミングを利用してお屋形様に3度目の臨死を与え、勝利を確信する。

ここに至るまで、全ては貘の壮大な策の内なのであった。

次巻へ続きます。

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