綾野は婚約者の西島との間に気まずい空気が流れているが、川内のためにと三瓶に協力する。
川内は三瓶と共に、試行錯誤しながら記憶を取り戻そうともがく。
7巻のあらすじを振り返ってみましょう。
大将の味付け
抗てんかん薬の増量により、川内の記憶力はわずかに回復しているが、三瓶と綾野はもっと回復しても良いはずだと首をかしげる。
記憶力回復を祝い三瓶行きつけの店で食事会が開催され、川内はまばらに浮かんでくる程度でも昨日の記憶があることを素直に喜んでいた。
食事が進むにつれ、料理の味の濃さに箸が止まると、半年前から大将の味付けが徐々に濃くなっていると女将から相談を受ける。
三瓶は脳の検査を提案し、検査の結果、髄膜腫が嗅神経を圧迫していることが分かった。
手術を勧める三瓶だが、嗅神経を温存して腫瘍を取り除くことは難しく、嗅覚が戻る可能性は低いことを説明する。
考える時間が欲しいと言う大将に、三瓶は一週間後にまた話し合おうと約束した。
一緒に壁に立ち向かう
川内は記憶が回復しているように見えるが、覚えた日時や内容がばらばらに結びついてしまう「記憶錯誤」を起こしていた。
記憶違いや大きなミスにつながりかねない恐怖で、川内はすっかり自信をなくす。
見かねた星前は、三瓶に抗てんかん薬を元の量に戻そうと相談する。
三瓶はすぐには答えを出さず、まずは腫瘍摘出を決意した大将の手術に、川内と臨むため集中したいと話す。
星前は現状の川内には、荷が重い手術だと心配するが、三瓶は不安を隠せない川内に寄り添い、励まし、一緒に闘おうと鼓舞する。
川内の『生きてる実感』
手術当日、大将の嗅覚を必ず温存して腫瘍摘出を成功させようと決意して臨む三瓶と川内。
慎重に嗅神経の血管と腫瘍を剥離していく川内は、周囲が手に汗握り見守る中、驚くほどの繊細さで見事に神経を傷つけることなく成功させた。
嗅覚を取り戻した大将は再び店に立つことができるようになり、三瓶たちは快気祝いにかけつけた。
そこで川内は、恐怖は消え、記憶を取り戻す以上に生きている実感を取り戻していく喜びに気が付いたと話し、自信を取り戻したのだった。
未破裂脳動脈瘤
母親がくも膜下出血で倒れたから念のためと、人間ドッグのついでに脳ドッグを受けた男性が、「脳動脈瘤がみつかりました」という結果に不安を覚え、三瓶のもとに再検査を希望してやってくる。
結果はやはり同じで、未破裂脳動脈瘤があると判明。
三瓶は、破裂する可能性と破裂しない可能性、手術をした場合としない場合のリスクなど、丁寧に説明する。
手術するかは本人の判断に委ねられたが、神経質になり、調べれば調べるほど深みにはまる男性は何度も病院を訪れ、三瓶はそのたびに根気よく付き合った。
綾野の悩み
博士論文が進まない綾野は、入籍を急かす大迫教授に論文の完成には、まだ症例が足りないと話す。
銀行の融資による父親の病院の立て直しに焦るが、論文も進まず、父親に入籍後のキャリアについても話せずにいた。
かつて浪人中に大迫教授に出会い、カテーテルを極める道を目指した綾野だったが、内科に進んで自分の病院の後を継いでほしいと願っていた頑固な父親との溝は深い。
生まれ育った環境に共感してくれる、婚約者の西島と支えあおうと手をとるものの、臨床から退くことにはためらいが残る綾野に、ある日三瓶からの紹介状が届く。
過去の記憶
紹介状は、手術すべきか迷っている未破裂脳動脈瘤の男性のものだった。
症例が足りないと訴えていた綾野の論文にうってつけのケースであり、大迫教授は男性を必ず説得し手術の同意を得るようにとプレッシャーをかける。
綾野と話しても、三瓶と話しても、なかなか踏み切れなかった男性だが、ふと思い入れのある母校を訪れたことで自分の生き方を見つめ直し、ついに手術を決意。
カテーテルの手術の最中に思わぬトラブルが発生するが、綾野の機転で無事成功に終わった。
皆がほっと息をつく中、綾野が何気なく言った「いてくれるだけでホッとしたよ」という言葉で、突然川内は綾野と親しくしていた過去を思い出すのだった。
【7巻のまとめ】
記憶錯誤で混乱し自信をなくす川内だったが、三瓶のサポートで難しい手術も成功させ、徐々に自信を取り戻していく。
抗てんかん薬の増量でわずかな記憶力回復を見せていた川内は、綾野の何気ない一言で突然過去の一場面を思い出した。
【7巻の見どころ】
この巻の見どころは、川内が記憶錯誤に苦しみながらも、手術の成功を通じて自信を取り戻していく過程です。
抗てんかん薬の増量による記憶の回復を祝う食事会で、大将の味付けの変化に気づいた三瓶は、脳の検査を勧めます。
手術を決意した大将に寄り添いながらも、川内は自身の記憶の混乱に恐怖を抱きます。
しかし、大将の嗅覚を守るために臨んだ手術で見事な腕を発揮し、「生きている実感」を得たことで自信を取り戻していきます。
一方、未破裂脳動脈瘤の患者の決断を支える綾野は、論文や家業の問題に揺れながらも、医師としての自分を見つめ直します。
そして、手術成功後の何気ない一言で、川内が封じられていた過去の記憶を思い出す瞬間は、大きな転機となります。

次巻へ続きます。
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