中学校ではいじめられっ子だった柄本つくしは、高校入学前に同い年のサッカーの天才・風間陣と偶然知り合い、フットサルの誘いを受ける。
フットサルの試合に出場した柄本は、下手なりに必死に走ってゴールを奪う。
その後風間も柄本と同じ聖蹟高校の生徒だったことが分かり、サッカー初心者の柄本がサッカー名門高校でチームメイトと共に成長していく。
この外伝は聖蹟が選手権で勝ち上がり全国大会出場を決めた辺りの各キャラクターのエピソードを掘り下げるサイドストーリーです。
3巻の来栖のエピソードの続きからになります。以下ネタバレ注意です。
来栖、実家に帰省する（続き）
このままじゃいられないなら、辞めるか変わるか。
来栖の答えは決まっていた。
祖父の墓前で泥臭くも努力することを誓った来栖。
そして来栖にもまた、来栖にしかできないムードメーカーとしての役割が確かにあるのだった。
風間の過去と秘めた思い
風間のエピソード
梁山戦を前に、風間に対して特別な視線を向ける男が2人いた。
1人は風間が初めて入ったサッカークラブの指導者である堂島、もう1人は風間の父である。
数年前、初めてサッカークラブでサッカーボールを蹴ったときから風間には特別な才能があった。
初めはただ本人もチームメイトやその親たちも楽しいだけだったが、次第に風間のレベルに仲間がついていけなくなり、指導者の堂島は頭を抱えるように。
楽しくサッカーがしたいだけなのに、周りが格の差を痛感して楽しいサッカーができない。
そんな状況を見かねた堂島は風間が小4のときに別のクラブを紹介し、せめてその才能を潰さないように言葉をかけた。
しかしそれは単純に風間の才能が堂島の手に余っただけ。
風間がいなければ楽しいサッカーができる現実を見て、クラブを去った風間。
堂島は全国大会で梁山を相手に戦う聖蹟の試合を見ながら、風間がサッカーを続けてくれていたことに感謝するのだった。
そして父もまた、風間がサッカーを続けてくれたことに特別な思いを抱いていた。
自分が家庭を支えることができず離婚に至ったものの、両親ともに「サッカーを続けてほしい」という願いから、母と娘と離れて自分と共に暮らすことになった。
父はその時に風間が「本当は母親について行きたかっただろう」と負い目に感じながらサッカーを続けてもらおうとしていた。
フットサル程度しかやらなくなっていた中3時代に中澤監督の熱心な誘いを受け、聖蹟に入ることを決めた風間。
父のもとも離れて祖父と一緒に住んで聖蹟に通うことが決まり、家を出る当日になってようやく、父は風間が母親と一緒に家を出たかったのではなくただ家族で一緒に暮らしたかったのだと気づく。
そして今、成長した風間が昔のように天才的なサッカーセンスで梁山を相手に戦っている。
当の風間自身も、今までサッカーの才能のせいで取りこぼしてきたものに想いを馳せつつ、それでもサッカーが好きという気持ちに気づかせてくれたつくしへの感謝を胸に、梁山との試合に臨んでいた。
つくしは部を辞めたいと言うけれど、自分は心から「まだここでつくしとサッカーがしたい」と思っているのだった。
【4巻(完)のまとめ】
覚悟を決めた来栖、そして本編では明かされなかった風間の家庭事情や秘めた本心が語られました。
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