なぜ、人は時に胸糞の悪い漫画を読みたくなるのでしょうか。
「胸糞の悪くなる漫画」の代表作『ミスミソウ』が完全版となって帰ってきてしまいました。
ごくあっさり書いてしまえば、家族を殺された純真な少女による復讐劇、というストーリーなのですが、いかんせん描写がグロい。
イジメの一環で画鋲を突き刺す、少女の家族は放火により黒コゲ、復讐として犯人の目に釘を突き立てる、ナイフで腹を切り内臓が…などなど。
ジャケットの物憂げな美少女の絵柄からは想像できないような、人のダークサイドまでも包み隠さず描いた内容になっています。
基本的に登場人物はみんな狂っていて絶望しかありません。
それでもまた読みたくなってしまう、不思議な魅力をもった作品です。
2018年に実写化も予定されていますね。どんな仕上がりになるのでしょうか。
無印版との違いについて
無印版の3巻に比べて完全版は上下巻(Kindle版は全6巻)となっていますが、ストーリーや展開に大きな変更はありません。
また絵のコントラストが明るく修正され、無印版よりも全体としてもキレイになっています。(個人的には陰鬱とした雰囲気には無印版の暗い方が合っている気もしますが)
大きな違いの1つはラストのシーン。修正・書き足しされたのは数コマですが、それがまた良い余韻を残し、涙を誘います。
2つ目の大きな違いは特別書下ろし。春花が転校してきた直後、小黒やクラスメイトと普通に会話できている場面が足されています。ごく当たり前の日常の風景ですが、それが本編ではあんなことになるなんて…。この漫画においてはやるせなさを助長します。
3つ目は作者のあとがき。スタッフへの感謝や書き終えたときの気持ちのほか、作者が「ミスミソウ」というタイトルにかけた思いが書かれているのですが、こちらは完全版では削除されてしまいました。
無印版と完全版どっちがオススメか。難しいです。巻数もそんなに無いし両方揃えてみてはいかがでしょうか。
登場人物紹介
«主人公とその一家»
・野咲春花…主人公。クラスメイトからのイジメがエスカレートし、家に放火されて両親を失う。
・野咲祥子…春花の妹。姉想いの無垢な子。放火により全身火傷、意識不明の重体となる。
・野咲満雄…春花と祥子の祖父。両親を失った2人の保護者となる。
«先生とクラスメイト»
・南京子…春花たちのクラスの担任。学生時代イジメを受けたトラウマが原因で、自分の陰口を言われるとすぐ吐いてしまう。心が折れており、教師としての責任感や使命感はない。
・相場晄(あいばみつる)…春花に想いを寄せ、春花を支える少年。家事の現場から祥子を救出した。カメラが趣味。
・小黒妙子…クラスの女番長。イジメを扇動していたが放火事件には無関与。晄のことが好き。
・佐山流美…春花が学校に来なくなったことで新たなイジメの標的にされ、春花を逆恨みして放火を首謀した。
・橘吉絵…両親から精神的虐待を受け、そのストレスをイジメの原動力にしていた。
・加藤理佐子…吉絵の取り巻き。周りにつられて放火を実行するが、事の重大さに気づく。
・三島ゆり…同上
・久賀秀利…金髪でピアスの不良。放火を煽った張本人。
・真宮裕明…ボウガンで動物を撃つことが趣味。春花のこともボウガンで狙おうとする。
・池川努…モデルガンなどの改造が得意。間宮とつるむ。
各巻のあらすじ
(無印版と大きな差は無いので省略)
「ミスミソウ 完全版」をもう一度読みたい方はこちら