時代は2070年代(2075年以降)。人類は宇宙開発を進め、月面でのヘリウム3の採掘など、資源開発が商業規模で行われている。
火星には実験居住施設もあり、木星・土星への有人探査計画も進んでいる。
毎日、地上と宇宙とを結ぶ高々度旅客機は軌道上と宇宙とを往復し、宇宙ステーションや月面には多くの人たちが生活し、様々な仕事をしている。
しかし、長い宇宙開発の歴史の影で生まれたスペースデブリ(宇宙空間のゴミ。廃棄された人工衛星や、ロケットの残骸など)は軌道上にあふれ、実際にたびたび旅客機と衝突事故を起こすなど、社会問題となっていた。
また、地上の貧困・紛争問題は未解決のままで、宇宙開発の恩恵は、先進各国の独占状態にある。このため貧困による僻みや思想的な理由付けによるテロの問題も、また未解決である。
主人公のハチマキは宇宙で働くサラリーマン。主な仕事は宇宙のゴミ「デブリ」の回収作業。いつか自分個人の宇宙船を所有することを夢みている。
ゴミ拾いは大事な仕事だと自分を納得させつつ、当初の夢と現実の狭間でこのまま現実を受け入れるか、それとも夢を追い求めるか思い悩む。
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。
ハチマキと仲間とデブリ回収
2074年、ハチマキ(星野八郎太)は夢である宇宙船購入資金のため、宇宙開発の副産物であるデブリ(宇宙ゴミ)回収の仕事をしている。
ハチマキにはユーリ、フィーという同僚がいる。
ユーリは無口で宇宙空間を眺めていることが多く、ハチマキは変な奴だと思っていた。
ユーリの過去
6年前、ユーリは妻と高々度旅客機に乗っていた。
妻がお守りとして身に付けていたコンパス(方位磁針)のフタの内側には、何か書いてあったが、ユーリに見せてくれなかった。
飲み物を取りにユーリが席を離れる時、妻は不安気な様子だった。
ユーリが船尾へ行って間もなく、旅客機に小さなデブリが衝突する。
事故により妻を亡くしたユーリは、それ以来、形見のコンパスを探し続けている。
コンパスのメッセージ
デブリ回収を終えたハチマキとユーリ。
そこへデブリ群が接近していた。
退避するハチマキ。
ユーリも続こうとするが、宇宙の闇に小さく輝く何かを見つけ、その何かへ近づくために回収艇を移動させる。
もう少しで手が届こうかという時、デブリが回収艇に衝突して宇宙に放り出されたユーリをハチマキが救出する。
ユーリは手に握っていた物を確認する。
それは亡き妻のコンパスでフタの内側には『ユーリを守って』というメッセージが刻まれていた。
帰投後、宇宙に1輪の造花を手向け、ユーリは妻を弔った。
ハチマキとルナリアン
デブリ回収作業中、全治2ヶ月の骨折をしたハチマキ。
宇宙での生活により、骨と循環器系が弱まっていた。
治療のため月面の病院で入院する。
病院でノノという12年間、月にいる背が高い女性と知り合う。
月で生まれ、月で育った人はルナリアン(月面人)と呼ばれている。
ノノはルナリアンで、低重力下で育ったことで、背が高くなったのだ。
そして、ルナリアンは地球の重力に耐えられない体で生まれてくる。
ハチマキはノノに地球で暮らしたくはないのかと訊ねる。
ノノは自分の成長の記録が病気研究の役に立っている。
それが終わるまでは、月を離れないと答えた。
環境破壊とデブリを生みだす宇宙開発、人が宇宙で生きることへ疑問を覚え始めていたハチマキだったが、ノノと話すことで、宇宙で生きていくことを覚悟できた。
フィーと宇宙防衛戦線の戦い
月面都市で宇宙防衛戦線による爆弾テロが起きた。
宇宙防衛戦線は人類の宇宙進出に反対する団体で、活動内容は人類が造った宇宙にあるもの全てを壊すこと。
ハチマキの母船DS-12号の船長フィーがタバコを吸うため月面都市の喫煙室へ行く。
しかし、そこは爆弾テロで破壊されていた。
喫煙室に爆弾をしかけるのは宇宙防衛戦線の手口だった。
他の喫煙所へ行くも、既に取り壊し中となっていた。
我慢できず、トイレでライターをつけるとスプリンクラーが作動してしまい、またしてもタバコを吸えないフィー。
意地でもタバコを吸うため、ハチマキの制止も聞かずに隣の坑道都市の喫煙室へ行く。
そこには先客がいて、フィーと入れ違いとなる。
喫煙室にある不審なカバンから煙が出るが、フィーは爆発前に避難した。
デブリとして回収しようとした衛星から、宇宙防衛戦線の犯行声明の電波が出ていた。
宇宙へ進出した人類への警告メッセージが終わると、通信衛星は移動し始める。
フィーは母船で通信衛星を追跡する。
テロリストの目的は衛星を宇宙港へぶつけ、デブリを連鎖手的に大量発生させて、デブリに包まれた地球と宇宙の繋がりを断つことにあった。
宇宙港へ衛星が衝突しようとした時、フィーは母船を衛星に体当たりさせてテロを阻止した。
母船は地球へ墜落したが、フィーは脱出機構により無事、海へ着水した。
青年と老人
青年が老人と焚火を挟んで話している。
自分が進む道を確認する道標が欲しいという青年に、老人は今、どこにいるかと訊ねる。
青年が思いあたる場所を答えると、老人は宇宙だと言った。
その言葉の意味を青年は理解できなかった。
ユーリと九太郎
母船を失い長期休暇となったハチマキとユーリはハチマキの実家へ行く。
ハチマキの弟、九太郎は近所の海岸で搭載ソフトが安物のため、まっすぐ上がらないロケットを飛ばしていた。
ユーリは誘導システムのコピーを九太郎のロケットに移植した。
その後、飛ばしたロケットもまっすぐ飛ばず失敗し、ユーリのコンパスを破損させる。
フィーから新しい宇宙船が決まったと連絡があった。
月にある新造船で、フィーが救った宇宙港の人達が当局にかけあったのだという。
ハチマキから、コンパスの話を聞いた九太郎。
ユーリに謝ろうとする九太郎に、ユーリは20歳位の頃、わからないこと、疑問が多くあって、地球を旅していた時の話をする。
北米の平野で船乗りだったネイティブ・アメリカンの老人に会った話もした。
ユーリは九太郎に宇宙と地球の境目はないと伝える。
妻の形見を見つけたら、船乗りをやめるつもりだったユーリだが、コンパスを見つける以外の宇宙にいる理由を見つけていた。
それは仲間の存在だった。
だからと、コンパスを壊したことに対して礼を言う。
そして、ユーリは九太郎に頼みをする。
それは九太郎が打ち上げるロケットの先頭にコンパスを入れること。
打ち上げられたロケットを見届けたことで、ユーリは何かを乗り越えたような、吹っ切れた様子だった。
ハチマキの決意
木星系の開発のため、巨大な宇宙船が建造されている。
ハチマキは自分の宇宙船を手に入れるためにその乗組員を目指すことにした。
そんなある日、太陽面爆発のため仲間と音信不通となったままハチマキは孤独な宇宙空間でしばらく遭難してしまう。
救出後、検査のため、感覚剥奪室で音と光の一切を断つ宇宙空間適応訓練を受けるが、開始早々で心拍数が増加してしまい、空間喪失症と診断される。
その後、再度の訓練を受ける。
恐怖と共に自身の内面であるもう一人の自分と対峙し、受け入れがたいことを指摘されて、その言葉を否定するハチマキ。
2週間経ち、感覚剥奪室にだんだん長く耐えられるようになってきたハチマキに、フィーは地球に戻ることを勧める。
ハチマキは焦っていた。
地球に戻ったら、船外作業員としての復帰はできなくなると思い、特訓のために月面の都市外へ出たハチマキを見つけたユーリとフィー。
ユーリはハチマキが乗組員になろうとしている宇宙船のメインエンジンの見学許可を得ていた。
巨大なエンジンを見上げ、言葉も出ないハチマキ。
エンジンに触れてみると、ハチマキの中で変化が起きた。
その後、感覚剥奪室に入ってもハチマキは落ち着いていた。
再び、もう一人の自分が現れた。
ハチマキが考えた末の答えと覚悟を伝えると、再び現れると告げて消えたもう一人の自分に対して、自分が勝つのだと決意するのだった。
【1巻のまとめ】
2074年、宇宙開発により人類は宇宙での生活を可能としていた。
その代償として地球圏には多くのスペースデブリ(宇宙ゴミ)が漂うこととなる。
小さなデブリであっても、宇宙船と衝突すると大きな被害となる。
ハチマキこと星野八郎太は宇宙船購入という夢のために、デブリ回収の仕事をしていた。
ハチマキは宇宙で様々な経験して、もがきながらも夢と仕事に向き合っていく。
次巻へ続きます。
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