桜木らのノウハウを引き継いだ龍山高校は進学校へと一気に成長したが、教職員らが影で「女帝」と渾名される龍野久美子が理事長代行となってからは有名私立大学の合格実績がさらに上がる一方で東大合格者は年々減少し、ついにゼロとなってしまった。
この低迷に桜木は龍山高校の理事となり、既存の特進クラスとは別に「東大専門コース」を設置すると独断で宣言、自身の弟子にして龍山高校初の東大合格者であり、現在は桜木の下で弁護士を務めている水野にその担当を命じる。
東大専門コースの門を叩いた気分屋の早瀬菜緒とメンタルの弱い天野晃一郎を迎え、スマホアプリを始めとするITを駆使しながら様々な受験テクニックや勉強法を教えていくことに。
難関大コースの小杉と藤井も東大受験を決意する一方、早瀬が文科1類、天野が理科2類の志望に決まり、英語の特別講師である鍋と国語の特別講師である太宰府、数学の特別講師である柳が招聘され、本気の勉強モードへ。
他方、理事会では抜本的な学校改革を巡って中学校を新設して更なる進学実績を追求すべきと主張する桜木に対し、龍野はIT技術を最大限活用した理想の教育を実現したいというシンガポールの投資家に協力する考えを明かし、大舌戦を繰り広げる。
流れを引き渡したくない桜木はあえて龍野の学校売却案に賛同し、売却金額を法外な値段に吊り上げる作戦でその場を乗り切るが、「売却に賛成」という言質を取られた上に売却価格を釣り上げるためには実績も上げ続けなければならなくなってしまい、難関大コースの成績上位者たちも集めて最低でも東大合格者10人を目指すことに。
勉強合宿を経て受けた初めての東大模試では問題量や周囲の雰囲気に圧倒されてしまい、結果は文系トップの小杉がA判定、早瀬と天野はE判定とここまでは想定内だったものの、理系トップの藤井がまさかのD判定。
それでも現実を直視しない藤井に対して、桜木と担任の水口は藤井の勉強態度の問題を指摘して「このままでは落ちる」と警告するが、本人には刺さらなかった。
早瀬と天野はこれまでの基礎力の定着度を測る期末テストを経て、それぞれの性格別に夏休みの過ごし方を伝授される。
確実に成長してきている2人は、互いに刺激を受けながら勝負の夏休みで更なる飛躍を誓うのだった。
13巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
エリート教育を巡って桜木と龍野がバトル
理事会の場で中学校の新設計画書を示した桜木だが、龍野は創業家としてなかなか譲らない。
龍野は協力する投資家が売却価格1000億円でも受け入れる意思があることを告げつつも、教育プログラムは当初掲げていた通信制を撤回し、真のエリート教育を行う方針を掲げる。
桜木は急な方針転換を「その場の思い付きで提案しているとしか思えない」と非難しつつ、日本にエリート教育など不要と反論。
エリート教育の目的はそもそも親である金持ちたちが金儲けの情報を共有するネットワークを作ることにあり、アメリカのボーディングスクールでも目標は「いい大学に入ること」であって日本とそう変わらない。
また日本に優秀な経営者が少ないのは学校教育のせいで独創的なアイディアが欠落しているのではなく、画期的なアイディアはあるのに市場から大きな投資を得ることができないから。
世界的企業を育てたいなら大きな資金を出して海外で投資させればよく、知識編重の教育のせいにするのは誤りである。
長い時間をかけて知識と教養を身につけながら自分で考える力を養うのが教育であるのに対して、経済の成功とは運や予想外の不確定要素が大きく、教育によって経済再生を図ることはナンセンス。
桜木は「日本経済を強くしたいなら1000億円は学校を買うのではなく10人の優秀な経営者に100億円ずつ投資しろ」と痛烈に批判。
さらに龍山高校の売却価格も2000億円に釣り上げることを宣言し、徹底して売却を阻止する考えを示した。
詰め込みこそ真の教育と信じてやまない桜木は、「教育の本当の目的はできない子供をなくすこと。国民の基礎学力が高いほど国は強い」と断言。
そして自身が新設を目指す中学校は教育格差に拍車をかけるのではなく、「人生の逆転を実現する中学」と主張するのだった。
人生の一発逆転を実現する学校
桜木が掲げる中学校の特徴は中学受験の世界に一石を投じるものだった。
まず入学試験は行わず、全てクジ引きとする。
受験料は1人4回までクジを引く権利として設定し、ネット抽選のシステムを使うことで透明性と公平性を担保しながら、受験にかかるコストを抑えつつ受験生側もストレスを抱えずに気軽に受験できるようになる。
所得の格差に比例する教育格差の拡大を憂慮する桜木は、「貧しい家庭の子供でも東大に入って人生を変えられる一発逆転」を掲げて入試はあくまで全員平等の一発勝負であるべきと主張。
桜木の理念に理事である奥田と高原も賛同し、理事会は桜木の中学校新設案を承認。
この場でも桜木が龍野を上回るのであった。
夏休みの勉強は順調
期末テストの採点の結果、早瀬も天野も目標を大きく上回る成績を挙げた。
そして伝授された過ごし方をもとに勝負の夏休みに突入。
初日は図書館で勉強することにした早瀬は、前に座った真っ黒に日焼けした高校球児に目を奪われる。
ネットで調べると、その球児は都立の進学校でエースだった球児であり、東大受験を公言していた。
野球が終わり夏から全力で東大受験に向けて頑張る大場を見て早瀬も「悔しくても二度とやり直しができない、今この時を大切にしよう」と気合が入る。
一方の天野は勉強は自宅でやると決め、それを忠実に守ることに。
自宅からYouTubeへの投稿も続け、母親はYouTuberとしての息子の姿に驚きながらも口出しはせずその成長を応援。
勉強の様子のライブ配信なども交えつつ、YourTubeへのコメントや応援を背に天野も全力で勉強に取り組むのだった。
中学校新設の狙い
教員たちを集め、中学校の新設という改革案を説明する桜木。
改正の目的は生徒たちに本当の生きる力、つまり金を稼ぐこととメシを食うことを身につけさせることと説明し、経済的自立を促すための教育を施すことを宣言する。
お金にまつわる必要な知識を習得させ、授業は全てそれぞれの専門家によるリモート学習。
昔と違って国に右肩上がりの成長が見込めない今では自分の身は自分で守らなくてはならない時代になり、子供たちが将来自己防衛するためにはお金に関する教育をすることが必要。
「金があれば幸せ、あればあっただけいい」とストレートに発信する桜木にやや抵抗を示す教員も多かったものの、専門家が教えるとあれば教員たちにデメリットがないためお金の授業に関しては承諾。
続けて桜木は「メシを食うこと」についても説明を始めるのであった。
【13巻のまとめ】
夏休みに突入し、順調に勉強に集中する早瀬と天野。
他方、桜木と龍野は再び学校改革方針を巡って対立するが、今回は桜木が掲げる中学校の新設という案が理事会で採択されることとなった。
「貧しい家庭の子供でも東大に入って人生を変えられる一発逆転」を理念に掲げ、中学校の世界に一石を投じる桜木の案。
桜木はこの新設する中学校で「本当の生きる力」、すなわちお金に関する教育とメシを食うことについて生徒たちに身につけさせることを狙うと宣言するのであった。
次巻へ続きます。
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