どこまでも患者のためを想う天才外科医が、ときに周りを引っ張りながら、ときに周りを振り回しながら、腐敗しきった大学病院の医局政治に変革をもたらす。
タイトルは「医者の龍太郎」から、また作品中にも”Team Medical Dragon(医龍)"という名前の伝説の医療支援NGOのチームが登場します。
そのチームを率いた凄腕の外科医、朝田龍太郎が大学病院で助教授を務める加藤晶にスカウトされ、ともに医局に変革をもたらしていく物語。
様々な名言の数々と人間ドラマににグッと引き込まれる作品です。
登場人物紹介
<バチスタチーム>
朝田 龍太郎(あさだ りゅうたろう)
天才的な腕を持つ外科医。かつては医療支援NGOで「医龍 (Team Medical Dragon)」と呼ばれた医療チームを率いていたが、加藤のスカウトにより明真大学付属病院の胸部心臓外科医となる。
加藤 晶(かとう あきら)
明真大学胸部心臓外科の助教授。バチスタ手術論文による教授昇進という野望のため、朝田をスカウトする。
確かな腕も政治力も併せ持つキャリアウーマンだが、女らしい繊細な面や弱さも持ち合わせている。
伊集院 登(いじゅういん のぼる)
心臓外科の研修医。現在の医局に嫌気がさしながらも医局内での保身に腐心し、何事も無く過ごしていくことを第一に思う事勿れ主義だったが、朝田に巻き込まれの厳しい指導の下で腕を磨いていく。
藤吉 圭介(ふじよし けいすけ)
循環器内科医。患者を第一に考える明真大学病院では珍しい医者。真摯で誠実な人柄からか患者は勿論、他の医者や看護師からの評価も高い。
先天的な心臓病を持つ樹里という名の娘がおり、自身もまた先天性心臓病の持ち主。
荒瀬 門次(あらせ もんじ)
全身管理を司る麻酔のプロ。手術1回につき数百万という高額な報酬で雇われており、自身も麻酔で酩酊状態になって遊ぶ悪癖を持っているが、それなりの暗い過去のせいである。
里原 ミキ(さとはら みき)
腕の立つ看護師。霧島軍司の異母妹で、認知されて以降は軍司から高圧的に接されてきたが、そんな兄から離れるように朝田の後を追って海外に渡り、医療支援NGOで看護師の領域を超える外科医の技術すらも身につけて帰ってきた。朝田に恋心を抱いており、親密な仲にある。
<胸部心臓外科>
野口 賢雄(のぐち たけお)
胸部心臓外科の教授にして、医局の長。常に王道を行く政治手腕で権力を一手に握り、ミスが起これば部下に責任をなすりつけ自分の保身を図る男。
妻の咲江は祖父江とも親交があり、息子・政之は東欧に勤める外交官で昔加藤と恋仲であった。
霧島 軍司(きりしま ぐんじ)
北日本大学心臓外科医。ミキの異母兄であり、北日本大学時代の朝田の先輩。加藤に対立する教授候補として明真大学に赴任する。
政治的手腕に長け、凡人たちのリーダーとして教授選を戦うこととなる。
木原 毅彦(きはら たけひこ)
心臓外科医。医局に絶対服従の姿勢で朝田に反感を抱いている。小心者で優柔不断。
沖 秀之(おき ひでゆき)
胸部心臓外科医師で役職は講師。木原の指導医をつとめた。野口と癒着のあるメーカーが作る不良品ペースメーカーを採用し、そのペースメーカーの不具合で事故が発生。責任を取らされる形で系列病院へと異動になる。
岡島 海(おかじま ひろし)
伊集院に年の近い先輩医師。体育会系で後輩の伊集院には強く当たっていたが、伊集院の成長は素直に認める一面もある。
鱈淵 純(たらぶち じゅん)
伊集院と同期の研修医。伊集院をいつも小馬鹿にするも、医師としての能力は極めて低く、いつも周りの足を引っ張る。プライドだけは高い。
中田 浩道(なかた ひろみち)
ベテランの心臓外科医。医局の中では公平な考えを持つ医師。教授選の最中でもどの派閥にも属さず、医局内の権力闘争を冷ややかに見ている。
小暮 義隆(こぐれ よしたか)
自らをロートル医師と卑下する反面、野口の影響力低下を意識するよう若手に説く臨床を中心とする研究畑の中年医師。
道元(どうもと)
野口の忠実な番犬と加藤に称された教授選の選挙管理委員。
露木(つゆき)
野口の忠実な番犬と加藤に称された教授選の選挙管理委員。
脇田(わきた)
部心臓外科でも実力重視を望む実力派の医師。
井坂 多岐子(いさか たきこ)
胸部心臓外科の女医。現在妊娠中。2度の流産経験があり、子供を待望する夫と子供を作れない女医の苦悩の板ばさみに悩み卑屈に振舞っている。
別府(べっぷ)
心臓外科医。子育てに悩むシングルファーザー。激務の外科医をこなす一方で幾度となく保育園、ベビーシッターに子供のことで呼び出されることに苦悩している。
児玉(こだま)
木原の後輩にあたる医師。えびす顔で患者やスタッフにも好かれるが、針を心臓に置き忘れる医療ミスを起こしてしまう。
<救急救命部(ER)>
鬼頭 直人(きとう なおと)
ERの責任者で、アメリカのアイルトン大学から呼び寄せられた外様教授。高い技術力と政治力を併せ持つ。日本の医療を変えるという野心に溢れた男で、朝田の腕に強い興味を示す。
国立 笙一郎(くにたち しょういちろう)
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)元教授。明真大学胸部心臓外科教授選挙に出馬するために日本に帰国し、明真の救急救命部助教授となる。高いカリスマ性と技術力を持つ。
医局にアメリカンスタイルの実力主義を持ち込もうと考えている。一人息子の真悟を伴って帰国し、日本とアメリカの文化の長所を知った国際人になってほしいと願っている。
権藤(ごんどう)
先輩である鬼頭に憧れるERの医師。
ダニエル・バウマン
世界的な麻酔医。荒瀬をも凌ぐ腕前を持つが、てんかんの持病がある。
クレメンス
世界的な医師で、かつては加藤と同じチームのNGOに所属し医療支援活動を行っていた。
<教授会>
祖父江 真介(そふえ しんすけ)
消化器外科教授。野口の政敵である。
烏丸(からすま)
循環器内科教授。患者の治療方針に関し藤吉と度々衝突する。
大島(おおしま)
若手教授。教授選改革に積極的。空気の読めない男で教授会の権力闘争からは無縁。
横光(よこみつ)
産婦人科教授。
<その他の医師>
森沢(もりさわ)
抗がん剤の治験を担当する医師。功を焦るあまり、苦しむ末期ガン患者に治験薬の投薬を続けたり、別の患者にもこっそり投薬しようとしたりする。
森崎(もりさき)
伊集院の後輩の実習生。若くして活躍する伊集院に憧れつつ、循環器内科を志望する。
<患者たち>
奈良橋 文代(ならはしふみよ)
最初のバチスタ施術患者。以前、明真大学病院の婦長を務めており、新人だった加藤の面倒を見ていた。加藤の恩人の一人。
田原 よしてる(たはらよしてる)
「田所博之」という偽名で入院しているVIP患者。鋭い目線で伊集院や霧島の性格を当てた元政治家。酒とタバコのやりすぎで重症状の心筋梗塞を患っている。
野口 政之(のぐちまさゆき)
野口賢雄の息子にして助教授・加藤晶の元恋人。東欧に駐在する外交官で野口の自慢の息子。現在では妊娠中の妻がおり、一見幸せそうに見えるが、一方的に別れを告げられた加藤に対し未練がある。
国立 真悟(くにたち しんご)
国立笙一郎の一人息子。強い父親への劣等感を持つ。アメリカ住まいが長く、日本語と英語を使いこなすことができる。