宮城県仙台市に住む高校生・宮本大は友人の勧めで初めて訪れたライブハウスでジャズの演奏に心を打たれ、サックスプレーヤーを目指すことを決意。
「世界一のジャズプレーヤーになる」という夢に向かい、兄・雅之がローンを組んでプレゼントしてくれたサックスで毎日学校帰りに河原で練習し続けた大は、ジャズバーのマスターから音楽教室の講師:由井を紹介される。
音楽で人を圧倒できる才能を大に見出した由井は、世界一のジャズプレーヤー「ブルージャイアント」になれると信じて厳しいレッスンを課し、大もそれに応えてメキメキと上達していった。
高校卒業後は本気でジャズの世界に進むために東京へ進出した大は、同じく東京の大学に進学した親友の玉田の家に間借りしながら、ゼロから新たな生活のスタートを切った。
そしてサックスを修理に出す間立ち寄ったジャズバーで、大はあるピアニストと運命の出会いを果たすことになるのだった。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
同年代の天才ピアニスト・沢辺との出会い
トランペットのソロ演奏を、左手一本でピアノの低音だけで支えるピアニスト。
〈天才ピアニスト・沢辺 [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
ライブを左手だけでやりきった凄腕のピアニストの名は沢辺 雪祈(さわべ ゆきのり)。
ジャズバーの至る所で音楽の話題が出る場所に心地よさを感じる大は、トイレで沢辺に出会い声をかけられる。
大の指の大きなタコでサックスのプレイヤーであることを見抜いた沢辺は、同じ若いジャズ演奏者として大と語らう。
〈沢辺の目標 [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
沢辺が口にしたのは、自分のような若者が本物のジャズで東京の先頭に立つという夢。
なんとなくの雰囲気でジャズを楽しむ並のプレイヤーには目もかけない沢辺、ジャズを繋いできた先人に敬意を示しつつ自分の音を出すことだけを追求する大。
奇しくも同い年のジャズプレイヤーが出会い、沢辺が大と組むことを持ち掛ける。
〈沢辺からの提案 [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
「下手で才能が無かったら即解散、才能があれば全力で競い合う」という厳しい条件だった。
沢辺の提案をひとまず保留にした大は、別の日に沢辺に連れられて日本一のジャズバー「So Blue」へと足を運ぶ。
〈日本一のジャズバー・So Blue [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
そこは本物のジャズプレイヤーのみが演奏を許される場所。
ここを目指してイメージトレーニングを欠かさない沢辺にジャズへの本気度を感じた大は、沢辺と組む決意を固めた。
〈大の決意 [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
沢辺と大、天才同士がコンビを組む
工事現場の交通整理や靴屋でのアルバイトを掛け持ちしながら、ピアノに全てを懸けた生活を送る沢辺。
ようやくサックスの修理が終わり、大が沢辺に声をかける。
沢辺のバイトが終わった夜中に、大が初めて寄った店TAKE TWOで大の腕試しが始まる。
〈大の腕試しが始まる [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
4歳からずっとピアノ漬けの日々を送る沢辺は、大のサックス歴がわずか3年と聞いて思わず笑ってしまうが、大の演奏を聞いた後には思わず涙が溢れ出た。
大の圧倒的な才能、そしてたった3年でここまで腕を上げるためにどれだけの練習を積んだのか、それを悟ったうえでの涙だった。
〈大に圧倒された沢辺 [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
沢辺の評価はもちろん合格、TAKE TWOの店主であるアキコに店を借りて2人の練習が始まるのだった。
沢辺が音楽に全てを捧げる原動力
沢辺がジャズのミュージシャンを志したきっかけは、小2のときに母が教えるピアノ教室に通っていた2歳上の女の子にあった。
〈沢辺が音楽にハマったきっかけ [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
素人が聞いてもずば抜けて上手く、演奏することの楽しさをありのままに表現する女の子から音楽の楽しさを知った沢辺。
しかしその女の子はある日家庭の事情で突然遠くに引っ越すことが決まり、教室に最後の挨拶に来る。
きっともうピアノを続けることができないのだろう、才能があるのに諦めざるを得ない無念さを目の当たりにし、沢辺はその女の子の分まで全力で音楽に力を入れることを決めたのだった。
玉田がドラムの練習を始める
枠組みを無視した大の音運びに厳しいダメ出しを入れる沢辺。
技術を兼ね備えた沢辺の指導にまだ反論できない大。
さらにベースとドラムが必要と説く沢辺は、才能がある同じ年代の若いドラマーを求める。
〈ドラマーが必要 [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
他方、玉田は情熱を持ってぶつかり合う大と沢辺の様子を見ながら、ただ遊んでいるだけで本気でうちこむものがない自分の大学生活がつまらないものに感じていた。
そして玉田は大学のサークルを抜けて大の練習に付き合うようになり、自分にもドラムができないか悩み始める。
〈悩む玉田 [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
ドラムに触ったことすらない素人だが、音楽へのやる気を買った大はその背中を押し、ドラマーの候補として玉田を沢辺に紹介。
自分の夢に向かって無駄な寄り道をしたがらない沢辺は当然のように玉田の加入を断ろうとするが、大はあくまで「音楽をやりたい」という玉田の気持ちを尊重し手を差し伸べる。
〈玉田の背中を押す大 [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
当の玉田は早速家で独学によるドラムの練習を始めるのだった。
玉田が3人目のメンバーに
独学に限界があると悟った玉田は、初心者用のドラム教室に通うことに。
怪しげな若い先生と、幼い子供たち向けの体験レッスンに恥を忍んで参加した玉田だが、すぐさまドラムにハマっていくこととなる。
〈ドラム教室に足を運ぶ玉田 [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
他方、玉田の加入を諦めさせるために大学の知人のドラマー・上野に声をかける沢辺。
あくまで玉田との腕の違いを見せつけるために上野に練習に参加させたが、上野は沢辺と対等にやり合う大のレベルの高さに自信を喪失し、加入を辞退してしまう。
〈自信喪失する上野 [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
それでもやる気を見せる玉田が再び練習に。
玉田の背中を押す大に沢辺はようやく折れ、上手くなることを条件に玉田の練習参加を認める。
〈沢辺が折れた [BLUE GIANT 5巻](c)集英社/古舘春一〉
そして初めてドラムを叩いた日からのある程度の上達を認めつつ、沢辺はドラムの練習方法を母に尋ねるのだった。
ボーナストラック
アキコ(TAKE TWOの店長):大を見守り続けた日々の思い出を語る。レコードに囲まれて暮らす生活を大は「ジャズプレーヤー達と暮らしてるような幸せ者」と表現した。
【5巻のまとめ】
同じ年代の天才ピアニスト・沢辺と運命的な出会いを果たし、共にジャズに情熱を注ぐ若者同士コンビを組むこととなった大。
そして大に触発されるようにして玉田もド素人ながらドラムの練習を始め、「音楽をやりたい」という気持ちに目覚めた。
若者としてジャズの世界をリードするために最短距離を進むという目標を持ち、才能のない者を拒絶しようとする沢辺を大が説得し、上手くなるという条件でバンドへの加入を認められた玉田。
大・沢辺・玉田による3人のバンドが第一歩を踏み出したのだった。
次巻へ続きます。
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参考ジャズに全てを懸けた青年の物語に心打たれる『BLUE GIANT』全10巻【ネタバレ注意】
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