6年前、大学の漫画研究会に所属していた園田と近野は、互いに殺人鬼という秘密を共有しながら表向きは何気ない日常を過ごしていた。
しかし大学の文化祭では絡んできたヤンキーをそれぞれ1人始末するなど、凶行を重ねていく2人。
合宿で訪れたお寺では運悪く殺人事件に巻き込まれてしまうが、そこでも犯人を探す勝負をしながらスリルある日常を楽しんでいるのであった。
2巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
地図に無い村を訪れた園田
地図に載っていないが、話題の奇習が残っているとネットで話題になっている村の情報を頼りに、園田が取材に訪れる。
「入山禁止」の看板とバリケードを無視して山を越え、園田は噂の仁拘尾(にくび)村へと辿り着いた。
1人で村を観光に訪れた園田は村人らから温かく迎えられるが、奇習のことを聞いてみてもはぐらかされるばかり。
夜に散策に出た園田は、手入れされていない神社の傍に小屋を発見。
中にいた18歳の少女・生野八重によると、そこは「産月小屋」と呼ばれ出産や月経期を迎えた女性を隔離しているという。
漫画家になるのが夢という八重に、園田は自分が漫画を描く時に使っているペンなどを餌にして情報を引き出した。
村にはもともと安産の神様が祀られているが、八重によれば皆は「別の神様」を信仰しているらしい。
八重に教わった祠に向かった園田は、男と女の二つ首の即身仏を発見した。
そこへ姿を現した一条という覆面を被った男によると、その「フタマタ様」と呼ばれる夫婦の神様が村を守っているという。
旅人には誠意と真心を込めてもてなせ、というのがこの村の決まりと聞いた園田だが、1人で来たのかどうかを村人たちが気にしていることから、「旅人が2人で来ていたらどうなるのか」気になるのであった。
近野も到着し、村の禁忌に触れてしまう
翌朝、村人たちと挨拶を済ませた園田は、「日本で唯一のBL祭を執り行う村がある」と嘘の情報で近野を釣り、噂の真相を確かめることにする。
園田が近野を連れて村を歩いている様子を見た村人たちの表情は急によそよそしくなり、不穏な空気が流れ始めた。
旅人が2人の場合はその亡骸をフタマタ様に捧げよ、というのがこの村の裏の掟。
翌朝、園田は近野を八重の小屋へと連れていき、自分は村の探索へ。
近野も漫画を描いており目を輝かせた八重は、BLを見せてもらったのをきっかけに仲良くなった。
他方、園田は村人たちの反応から2人連れの旅人が襲われるのが間違いないと確信。
そしてその夜、園田と近野は村人から鍋料理を振る舞われ、そこに薬を盛られて昏倒してしまった。
園田と近野を眠らせた後、村人たちは掟に従って2人を殺す覚悟を固めるが、村人たちも一枚岩ではなく、産月小屋に籠っている八重も揃ってから全員で背負うべきと主張する者もいれば、一条はすぐにでも決行すべきと強硬な姿勢を見せる。
もともと警戒して食事をそれほど食べていなかった園田は村人たちが揉めている間に食事を吐き戻して脱出し、フタマタ様のもとで穏健派の村長を見つけて取材活動に勤しむことに。
秘密を知られた村長は渋々ながらに真相を語り始めるのであった。
村の悲しい過去が明らかに
村は二つ首と書いて「二首(にくび)村」と呼ばれていた。
9年前まではフタマタ様の風習を知っていたのは村のごく一部の年寄りだけで2人組の旅行者も厚くもてなしたというが、その翌月に起きた大災害で変わってしまった。
四方を山で囲まれたこの村は大きな被害を受けたが、風習の名残もあって危険視されていたために他所の村からの助けはなく、村は見捨てられて家族を失った者も大勢いたという。
いつしかフタマタ様の風習を無視したからその災害が起きたという考えが村に広まり、未来を担う若者たちも信じるようになったらしい。
なかでも災害の前からフタマタ様を信仰していたのが一条。
事情を知った園田はいよいよ観光客のフリをやめて動き出す。
他方、近野も八重に助けられて無事に脱出し、2人と八重が姿をくらましたことに気づいた村人たちが慌ただしくなるのであった。
村でできた友人に自分の秘密を打ち明ける近野
村のためとはいえ、一緒になって人を殺したことへの罪悪感を抱えていた八重は、せっかく仲良くなった近野を死なせたくないという思いから逃がそうとしていた。
その想いを知った近野は八重に自分の秘密を打ち明ける。
自分が虹彩異色症であることや、初めてそれを好きと言ってくれた親友がいたこと、そして小学5年生のときに目のことでイジメを受けたときにその親友ですらも皆と一緒に笑っており、裏切られたショックからその親友が屋上から転落して死んだこと。
と、そこへ村人に終われている園田が合流。
逃げた3人はフタマタ様のところで村人たちに追いつかれ、八重が2人を庇おうとするが殴られてしまう。
それを見た近野は、八重を傷つけた村人たちを殺す決意を固めるのであった。
村を操っていた黒幕を倒し、無事に脱出
近野は表面をクロロホルムに浸したゴム手袋を取り出して身につけ、襲ってくる村人たちを次々と昏倒させていく。
園田も持っていた包丁で近野を援護し、日和った村人たちに隠された真実を語り始めた。
園田の手には一条の家で見つけた日記が。
そこには一条が妻と娘を愛していたこと、そして60年前に逃亡中だった凶悪犯2人組を本来のフタマタ様の信仰から自宅に招き入れたために妻と娘を殺され、自分も顔に大きな傷を負ってしまったことが書かれていた。
一命をとりとめた一条だが、妻と娘を奪われた彼に残ったのは神への憎しみだけ。
本来はフタマタ様は夫婦円満と縁結びの神様であり、他社との繋がりを重んじることですべての悪事災難を取り除くと信じられてきたが、その事件以来、一条は「この村を救うためにはフタマタ様に平等に生贄を捧げよ」というデタラメの風習を作り上げたのである。
謎を解き明かした園田はその手でフタマタ様の首を破壊し、信じる者を失った村人たちは立ち尽くすだけに。
そして翌朝には園田と近野は八重や村長らに見送られながら、無事に村を出ることができたのであった。
【2巻のまとめ】
地図に無い謎の村の噂を聞きつけて取材に訪れた園田と近野は、その村の「旅人が2人の場合はその亡骸を神に捧げよ」という危険な風習のターゲットになってしまう。
村人たちに狙われながらも園田と近野は村の過去やその危険な風習がある人物によって作られたものであることを突き止め、全ての謎を解き明かして無事に脱出を果たした。
2人には村で新たな友人もでき、その際に近野が初めて人を殺した相手が、11歳のときに自分の身体的特徴である虹彩異色症を他のクラスメイトと共にイジってきた親友であるという秘密も明らかになるのであった。
次巻へ続きます。
この漫画をもう一度読みたい方はこちら
全巻まとめに戻る
-
-
参考本編で主要な凶悪犯だった園田と近野の過去を描くスピンオフ作品『園田の歌』全6巻【ネタバレ注意】
続きを見る