青年漫画

在宅医療の現場で問われる「踏み込む覚悟」、小野塚の成長を描く『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』12巻【ネタバレ注意】

前巻はこちら薬不足の混乱、先入観との戦い、そしてみどりの新たな決意『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』11巻【ネタバレ注意】

続きを見る

第12巻は、これまで脇役として登場していた院外薬剤師・小野塚を主役に据えた、シリーズの中でも特別な読み応えを持つ一冊です。

在宅療養の患者との関わりを通じて、薬を届けるだけでは届かない「生活への支援」の意味を深く問い直していきます。

患者の生活に「踏み込む」とはどういうことか

笹の葉薬局に移り在宅療養の患者と関わり始めた小野塚は、自然な会話でコミュニケーションをとることの難しさを実感しながらも、時間をかけて距離を縮めることで手ごたえを感じ始めていました。

しかし受け身的な訪問を続けていたことで大切な情報を見落とし、薬局への信頼さえ揺らぎかねない失敗を経験します。

「薬を届けて話を聞く」だけでは足りない、患者の日常生活に踏み込む覚悟が自分にはまだ不足していたと、小野塚は痛感します。

在宅医療における薬剤師の役割の深さと難しさが、序盤からリアルに描かれています。

ヤングケアラーという現実

統合失調症を患う三倉の訪問に立ち会った小野塚は、小学生の頃から母の世話を続けてきた息子・暁人の存在を知ります。

高校進学もあきらめ、母の介護に明け暮れてきた暁人は、いわゆる「ヤングケアラー」です。

服薬管理もままならない三倉の生活が成立していたのは、ひとえに暁人の献身があったからでした。

小野塚はかつてナカノドラッグで暁人が持参した処方箋を、何も考えずにそのまま処理していたことを思い出します。

変わる前の自分が暁人に何もできなかったという事実に向き合いながら、小野塚は服薬しやすいよう工夫した調剤を行い、暁人への謝罪とサポートの申し出を伝えます。

以前とは違う小野塚の姿に、暁人はわずかながら希望の光を感じ始めていました。

信頼が生んだつながり、そして芽生えた疑惑

個人的に連絡をとってきた暁人に対し、小野塚は取り繕わず正直に向き合います。

社会の中に安心できるつながりを持てたことが暁人に良い影響を与え、少しずつ明るさが戻り始めました。

医療の先にある生活を支えることの重要性を実感した小野塚は、訪問看護ステーションでのボランティアを暁人に提案します。

しかし高校を出ていないことへの引け目から、暁人は前向きになれずにいました。

そんな中、三倉が眠れない日が増えたことへの対応を検討していると、暁人が以前処方されていた薬を具体的に提案してきます。

その使用感への妙な詳しさから、小野塚は暁人が母の睡眠薬を自ら服用しているのではないかという疑惑を持ち始めます。

「支えたい」という気持ちが空回りするとき

薬が飲まれているはずのない量だけ減っていたことから確信を深めた小野塚は、思い切って暁人に疑惑を直接伝えます。

しぶしぶ認めた暁人でしたが、受診の提案は頑なに拒否しました。

自分が精神科にかかることで、母の状態が悪化してしまうことを恐れているのです。

学歴も資格もあり、やり直しのきく立場にある小野塚の言葉は、暁人の心には届きませんでした。

結果として暁人に感情移入しすぎた小野塚の関わりは空回りとなり、暁人はふさぎ込んでしまいます。

一人で抱え込みすぎたのは小野塚自身も同じであり、医療者もまた誰かに支えてもらう必要があることを学んだ場面です。

母の失踪が生んだ、決断の夜

口論をきっかけに精神状態が荒れた三倉が、ある夜どこにもいなくなってしまいます。

助けを求めた暁人とともに街中を探し回った小野塚は、偶然の目撃証言をたどりなんとか三倉を見つけ出しました。

自分が家族の負担になっていると感じていた三倉の姿を目の当たりにした暁人は、母だけでなく自分自身も病気と向き合う決断をします。

治療を始めた暁人は「くすりの相談カフェ」で少しずつ働き始め、その姿に小野塚はようやく安堵します。

打ち明けることで生まれる、本当のつながり

暁人の変化に背中を押された小野塚は、気まずい状態が続いていたみどりに久しぶりに連絡を取ります。

前回の態度を謝罪するとともに、自分が機能不全家族の中で育ったことを初めて打ち明けました。

だからこそ暁人に深く感情移入してしまっていたと気づいたこと、そして感情を誰かと共有することの大切さを学んだことを伝えます。

その相手として真っ先にみどりが浮かんだという事実が、ふたりの関係の特別さをさりげなく示しており、読後に温かな余韻を残します。

【12巻のまとめ】

『アンサングシンデレラ』第12巻は、小野塚の視点から在宅医療と地域支援の現実を深く掘り下げた一冊です。

ヤングケアラーという社会問題を取り上げながら、薬剤師が「薬を渡す」以上の関わりを持つことの意味と難しさを丁寧に描いています。

支える側もまた支えを必要としているというメッセージが静かに響く、シリーズの中でも特に心に残る巻です。
管理人

ぜひ続きの第13巻とあわせてお読みください。

次巻へ続きます。

この漫画をもう一度読みたい方はこちら

\こちらも併せてチェック!/

ドラマ

葵みどり(あおい・みどり/石原さとみ)は萬津(よろづ)総合病院薬剤部で働くキャリア8年目の病院薬剤師。同じ薬剤部の刈谷奈緒子(かりや・なおこ/桜井ユキ)の指示のもと、羽倉龍之介(はくら・りゅうのすけ/井之脇海)や工藤虹子(くどう・にじこ/金澤美穂)ら病院薬剤師たちが、山のように舞い込んだ処方箋をひとつひとつ確認し、調剤、監査といった膨大な作業量をスピーディーにこなしていく。ある日、そんな薬剤部に新人の相原くるみ(あいはら・くるみ/西野七瀬)がやってくる。人手不足に頭を抱える薬剤部にとっては明るいニュースだが、「向いてなかったら辞めようと思ってます」ときっぱり言い切るくるみ。薬剤部部長の販田聡子(はんだ・さとこ/真矢ミキ)がくるみを連れて院内を案内していると、救急センターに心停止の急患が運ばれてくる。そこでくるみは、医師や看護師と連携して緊急処置に当た…

(Amazon Prime Video作品紹介より引用)

\無料体験期間もあります!/

(※2026/04/13現在の情報です。最新の配信状況等は各公式HPをご覧ください)

31日間無料トライアル実施中!お得に漫画を読むならこちら/

U-NEXT〜日本最大級の動画サービス〜

\全巻まとめ買いするならこちら!紙も電子も合計20万作品以上!/

オススメの電子書籍サイトランキング

No.1【コミックシーモア】漫画・電子書籍なら国内最大級の電子書籍ストア

NTTグループが運営する国内最大級の漫画・電子書籍ストア。サービス開始から15年の実績で安心、安全なサイトです。

人気のコミックから小説・ラノベまで充実の品揃えで新刊も続々入荷☆

豊富な無料立読みに加え1巻まるごと無料のマンガも多数!

漫画だけではなくSALEも毎日実施しています!

No.2【U-NEXT】映画・ドラマも付いてくるエンタメ業界の帝王

動画配信が主要サービスとして推されており、邦画、洋画、アニメにアダルトなど、どのジャンルを取っても質量ともに高水準なうえに漫画や雑誌の取り扱いも豊富です。

漫画だけに絞っても毎月1,200ポイントが付与されるので、実質負担は月に\780!?

漫画だけではなく映画やアニメも併せてお得にチェックしたい方にオススメです。

No.3【Kindle】Amazonに無いものなど無いってほんと?

スマホだけでなく専用端末もあり、認知度や利用率は他ストアの追随を許さないほど。

漫画だけではなく、書籍・雑誌、実用書、エッセイ本、洋書などもバランスよく取りそろえた王道の読み放題サービス「Kindle unlimited」も要チェック!

Prime会員なら「Amazon Prime Video」で映画やアニメも見られますので、ぜひこの機会にPrime会員になることをオススメします!

-青年漫画

error: Content is protected !!

© 2026 もう一度読みたいオススメ漫画まとめ