小学6年生の千早は福井からの転校生・新との出会いをきっかけに新の特技である競技かるたに夢中になる。
千早の幼馴染である太一も加わり、仲良し3人組でかるたをするうちに千早はずば抜けた才能の片鱗を見せるようになるが、小学校の卒業が近づくと太一は進学、また新たも祖父が倒れたため東京を離れることが決まってしまう。
小学生最後の大会の団体戦では惜しくも敗退してしまい、悔しさと別れの切なさを噛みしめつつ再会を誓って卒業。
時は流れ、千早は太一と同じ高校に進学を果たすが、福井にいる新はA級昇格をかけた大会に出場した結果、その留守の間に祖父が亡くなってしまったという後悔からかるたから距離を置いてしまっていた。
新が競技かるた界に戻ってくることを信じる千早と太一は高校で日本一のかるた部を創ることを目標に、古典オタクで呉服屋の娘・奏、かるた経験者の西田、勉強が得意な勉を率いれて5人で瑞沢高校かるた部を創立。
東京都予選では強豪・北央との熱戦を制し、憧れの地である全国大会の舞台、近江神宮で千早は同世代の現クイーン・若宮詩暢と出会うが、肝心の団体戦ではまさかの途中棄権に涙を飲む。
悔しさを抱えて臨んだ個人戦では同年代で現クイーンの若宮詩暢と激突し、他を寄せ付けない圧倒的な正確さとテクニックを前に歯が立たなかったが、最後まで食らいついたことで詩暢も千早を生意気なライバルとして認識するように。
千早にとっては自分に足りないものを見せつけられ本気で悔しがると共に、クイーンになるという夢がリアルなものとなる一方、太一はB級で惜しくも準優勝となり、A級昇格を逃してしまった。
それぞれが目標を掲げて公式戦へ臨み、西田がA級、奏と勉がC級への昇格を果たすなか、千早は自分の武器である速さへの執着からいったん離れることで、自分に足りない意識や戦い方を知り成長。
新も競技かるた界に復帰するなか、名人・クイーン位への挑戦権をかけた東日本予選が始まり、千早は1回戦で小学生の天才少女・立川梨理華に勝利するも2回戦では前クイーンの山本の前に気持ちで負け、山本は東日本予選と西日本代表との代表戦にも勝ってクイーン位への挑戦権を獲得する。
名人位への挑戦者は西日本代表の武村に決まり、年明けに名人位・クイーン位の試合が開催された。
詩暢が激太りしながらもあっさりと連勝してクイーン位を防衛する一方、名人位では詩暢以上の速さで現名人位の周防が絶対的な強さを見せつける。
その恐るべき「感じの良さ」に試合の中継を見ていた千早たちは衝撃を受けるのであった。
9巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
自分なりの戦い方のヒントを得る千早と太一
競技かるた界のなかでも異次元といえるほどの「感じの良さ」を持つ周防。
なかでも選任読手を務める山城今日子とは相性が抜群に良く、山城の発音の微かな違いを完璧に理解して圧倒的な強さを見せつけて4連覇を達成。
結局名人位もクイーン位も現状維持となり、高すぎる壁を目の当たりにする結果となった。
名人位の試合をテレビで観戦していた新は、自分ならどう戦うかをシミュレーションしていたが、イメージはできても身体がそのとおりに動くには練習が必要である。
千早は自分がまだまだであることを自覚して気を落とすが、勉はこれまでのデータから、千早にも「1字決まりが20枚もある」と告げ、千早はその言葉に勇気をもらう。
他方、太一は周防の強さを知ってモチベーションが折れかけるが、新との電話で自分なりの戦い方のヒントを得る。
かるたで大事なのは「感じの良さ」ではなく、相手よりも速く取ることだけ。
「感じの良さ」がなくとも、相手より速く取る方法はいくらでもあることに気付いた。
そして名人位とクイーン位の試合は奏にも大きな影響を与え、奏は選任読手になって千早のクイーン戦で読むという夢を持つようになる。
だが選任読手はA級選手であること以外にもいろいろな条件があり、奏も高い壁を乗り越えるべく努力を続ける決意を固めたのだった。
新入部員は問題児2人だけ?部の結束が揺らぐ展開に
そんななか、新しい春を迎えて千早たちは進級したが、かるた部は新入部員が5人入らなければ今の恵まれた環境にある部室を明け渡さなければならなくなってしまう。
「瑞沢高校を将来的にかるた強豪校にする」という目標を抱いていた千早は、新入部員獲得に躍起になるものの、入部希望者はイケメン部長である太一目当ての女子生徒がほとんどであり、競技かるたには全く興味なし。
一方で千早を除く2年生部員達も団体戦優勝や、個人昇級を重視するあまり、後進育成に難色を示す有様で、それまでの結束に揺らぎが生じ始める。
それでも諦めない千早だったが結局残ったのは、太一を彼氏にするという野望に燃える筋金入りの恋愛体質女子・花野菫と、北海道特有の「下の句かるた」で腕を鳴らしたものの、根拠の無い自信でチームの和を乱す男子生徒・筑波秋博という問題児2名のみだった。
しかし、千早「全国大会で倒れて棄権した時からもう一人部員がいたらと思っていた」と胸中を明らかにすると、他の2年生部員も後輩の指導に協力的となるのだった。
【9巻のまとめ】
周防名人が異次元の強さを見せつけるが、千早と太一は仲間たちの言葉によって自分の戦い方のヒントを得る。
そして新学期を迎え、かるた部には太一を彼氏にするという野望に燃える筋金入りの恋愛体質女子・花野菫と、根拠の無い自信でチームの和を乱す男子生徒・筑波秋博という問題児2人が入部。
後進の育成を巡って部内の結束が揺らぐなか、千早の言葉によって2人を指導することで一致するのであった。
次巻へ続きます。
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