みなとみらいで昆虫災害が再び発生しました。
虫の襲撃が激しさを増す中、つに政府は超強力爆弾「デセクト」の投下を決断しました。爆風によって住民もろとも昆虫を焼き尽くす一方、桐谷の小隊に助けられた野崎たちは別の特殊昆虫に襲われ、絶体絶命のピンチを迎えます。野崎たちの足元が突然大きく隆起し始め、一行は分断されてしまいました。
一方、辰彦と牧野はケミフォースと合流し、現場で情報収集に当たります。
さあ、最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
地盤の崩壊
桐谷のもとへ戻った野崎と麻実。その下の地面はどんどん隆起し、園田と共に逃げていた良子・美代・須山とはぐれてしまいます。また特殊昆虫もその場から退散していきました。
他方、あちこちの地面が隆起する様子を見ていた辰彦と牧野。地下の本体が動いている可能性が高いと推察します。街は触手と共にあちこちがせりあがり、崩れた避難所からは市民が落下していきます。
〈街を襲う広範囲の地盤沈下[インセクツR4巻](c)幻冬舎/杉山敏〉
逃げおおせた園部たちと隆起した地面に取り残された桐谷たちは、それぞれに触手から離れて合流することを目指します。
進化の原因
その頃、本部で解析を続ける日暮は、昆虫の爆発的な成長は新種のビタミンによるものであることを突き止めます。
この新種のビタミンは本体のみ生成することができ、分離して生まれた昆虫は自力では生成できないようです。
つまり、本体を殺せばいずれ事態は収束することを示していました。
実際、虫たちはこの栄養を補給するため、本体の触手を食べていました。
2度目の爆風
目の前にある危機を乗り越え、脱出を目指す桐谷・岩見・野崎・麻実の4人。しかし中型のハチの群れに襲われます。
ここで野崎が勇気を振り絞って応戦し、なんとか犠牲を出すことなく切り抜けることができました。
しかし安心するのも束の間。空から虫たちが落ちてきます。
見上げればIRSを搭載した輸送機が。それが意味するところは、2度目のデセクトの投下でした。
〈2発目のデセクトが繭を直撃[インセクツR4巻](c)幻冬舎/杉山敏〉
デセクトは球体の繭に直撃しますが、園田たちは反応が遅れ、爆風によって須山は両足をを怪我、良子は腕を瓦礫に挟まれて身動きが取れなくなってしまいます。
運悪く、そこに虫の群れが近づいてきました。
園田は動けない須山と良子を見捨て、気絶した美代を抱えてその場を離れます。
須山と良子は死ぬ間際に想いを伝え合います。
須山「死ぬ前にどうしても伝えておきたいんだ」
良子「生まれ変わったら一緒に幸せになりましょう。学さん」
須山「良子さん。僕は、今でも充分幸せだよ」
〈想いを伝えあった須山と良子は虫たちの餌食に[インセクツR4巻](c)幻冬舎/杉山敏〉
結ばれた2人に大量の虫が群がっていくのでした。
本体の出現
2発目のデセクトは繭を直撃しましたが、中身は空洞でした。
本体の昆虫は知性も兼ね備え、デセクトを警戒して急所を隠していたのです。
一方、脱出を目指す桐谷たちは虫と交戦し倒れたケミフォース部隊を発見します。
ケミフォースの無線を広い、更新する桐谷。
この際に野崎は辰彦に情報提供を行い、辰彦は触手の本体の位置を推理します。
この本体は、3年前の昆虫災害の際に東京湾に逃げおおせた1匹が進化したものでした(1巻プロローグ参照)。
あのとき、虫は自ら東京湾に潜り、戦闘機は撃墜することなく見逃していたのです。
そのときの個体が、東京湾のたくさんの栄養を蓄えて進化し、いま海中から触手を伸ばしているー。
辰彦の見解を受けた政府は、デセクトを東京湾沖に投下することを決めます。
辰彦の見立て通り、海中でのデセクトの爆発を受けて本体が姿を現します。
〈海中に潜んでいた本体が出現[インセクツR4巻](c)幻冬舎/杉山敏〉
その姿は、前回の昆虫災害を超える大きさでした。
最後の賭け
桐谷たちは無事、園田と美代に合流することができました。
が、本体の登場と共に虫の襲撃は激しさを増していきます。
そして地盤の沈下によって、岩見と野崎が取り残されてしまいました。
ここで岩見が最後に男を見せ、踏み台となって野崎を救います。
岩見はそのまま、崩れいく地盤と共に落下していきました。
デセクトは残り2発。地上に現れた本体は、頭部を守るように触手で傘を作ります。
〈頭部を守ろうとする本体[インセクツR4巻](c)幻冬舎/杉山敏〉
しかし、これは昆虫が知恵を働かせた罠。
止めを刺すためには、急所である心臓にデセクトを落とさなければならないのです。
辰彦と日暮は、今までの情報を統合し、心臓の位置を推測します。
辰彦らの推測した場所にすべてを賭け、残り2発のデセクトは本体の頭部から離れたところに続けて投下されました。
爆風によって地盤が崩れ、野崎と麻実は桐谷・園田・美代と分断されてしまいます。
そして野崎と麻実のもとには中型の昆虫が。野崎の持っていた銃はもはや弾切れで、万事休す。
野崎「虫に食われるくらいなら、いっそ飛び降りようかと思う」
麻実「いいよ。私も一緒に行く」
野崎「僕は、永岡さんのことが、好きだったんだ」
そう野崎が告げた後、2人は崖から身を投げます。
〈崖から身を投げる野崎と麻実[インセクツR4巻](c)幻冬舎/杉山敏〉
2発のデセクトは見事命中し、本体に致命傷を与えていました。
そして、崖から身を投げた2人もビーハンターによって救われます。
このビーハンターは、辰彦が開発に携わっており、攻撃よりも人命救助を最優先とするようプログラムされていたのです。
本体は倒れ、新種のビタミンの供給源を失った昆虫たちは共食いなどを経てほどなく死滅していきます。
エピローグ
事態が収束し、穏やかさを取り戻した街では犠牲者たちを追悼する合同慰霊祭が開催されました。
生き残った麻実は、まだ気持ちの整理がつかず野崎の告白への回答を保留しますが、美代を含めた3人で強く生きることを決めます。
また現場で様々なスクープ写真を撮った牧野はピューリッツァー賞を受賞。
日暮と辰彦は、ともに二度と同じような昆虫災害を起こさせないことを誓い合うのでした。
【最終巻のまとめ】
街の地下からせりあがるラスボス。急所を偽装するなど、知恵も兼ね備えていましたが、辰彦らの頭脳が上回り、見事駆逐に成功しました。
が、デセクトの連投で横浜の街はボロボロ。前作の功労者である辰彦や桐谷も無事に生存したものの、犠牲者多数で手放しで喜べるハッピーエンドにはなりませんでした。
加えて、これだけの危機を一緒に乗り越えておきながら野崎の告白はまさかの失敗。さらに結局前作のラストの崎村の存在は全く関係なく、登場すらしないというモヤモヤ感の残る終わり方となりました。
さらに続編があることに期待しましょう。
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