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前巻はこちら慎二の孤立と、夕が向き合う欲の核心『凪のお暇』10巻【ネタバレ注意】
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『凪のお暇』11巻は、北海道を舞台に凪・慎二・ゴン・市川の四者の感情が一気に動き出す、クライマックスへの助走となる巻です。
夕と武の過去も丁寧に描かれ、親子二代にわたる物語の核心にさらに迫っていきます。
笑えるシーンと胸が締め付けられるシーンが交互に訪れる、感情の振り幅が大きな一冊です。
それでは、11巻の見どころをエピソードごとに詳しくご紹介します。
目次
北海道での再会と、市川の嫉妬
スナックの面々とともに北海道を訪れた慎二は凪と合流し、タロさんのコンテナ別荘で高級な酒を囲みながら過ごします。
タロさんがその様子をSNSに投稿すると、慎二と凪が並んで写る写真を目にした市川は二人の関係を疑い、落ち込みます。
惨めな気持ちを抱えたまま逃げ込んだ本屋で、市川は母の著書を手に取ります。
出世の鬼だった父が家庭に入り母が仕事で天下を取るという両親の生き方に幼い頃から憧れてきた市川は、その物語の裏側を知る立場として改めて母の意志を受け継ぐ決意を固めます。
営業部のエースと結婚し二人で戦っていくという戦略を胸に、慎二を誰にも渡したくないという思いを強めます。
一方北海道では、凪がゴキブリを発見し慎二を台所へ呼びます。
二人で協力して退治しようとしますが、正体は飴の殻だったとわかり笑い合います。
その様子をタロさんが投稿し、写真を見た市川はさらに嫉妬を募らせます。
添い寝の朝と、ゴンの焦り
翌朝、凪と添い寝していたところで目を覚ました慎二は、凪に触れようとした所をスナックの面々に見つかりそうになり、慌てて逆立ちでごまかします。
この場面は思わず笑ってしまう、この巻の中でも特に軽やかなシーンです。
同じころ東京では夕が凪の父・武の名前を検索し、アニメキャラクターがヒットしたことをきっかけに、うららの母と吉永とともにそのアニメ映画を観ることになります。
朝帰りをしたゴンは、タロさんのSNSで凪と慎二の仲の良い様子を写した写真を目にし、他の女性たちと関係を持ちます。
凪の気を引こうとしていたことを自覚しながらも、慎二と凪が距離を縮めているのではないかという焦りを抑えられずにいます。
プロポーズまでしておきながら自分の行動パターンを断ち切れないゴンの葛藤は、読者にとっても複雑な感情をもたらします。
後悔と選択、ソフトクリームで気づく凪の変化
アニメ映画を観た夕は、ファンの手によってネット上で別人のように作り上げられたキャラクター像にショックを受け、自分が探している武も自分が作り出した幻なのではないかという考えに囚われます。
吉永から「過去に戻ってやり直したいのでは」と指摘を受け、きっぱりと否定する夕でしたが、それは図星でした。
一方凪は、過去に戻りたいと何度も思うと話します。
何を選んでも後悔する自分を許すようにしたことで、後悔しながらも次の選択を考えられるようになったと話す凪の言葉には、これまでの成長が凝縮されています。
買い出しのため車でスーパーへ向かった凪と慎二は道に迷いますが、たどり着いた先でソフトクリーム屋を発見します。
寒い時期に温かい車内でぬくぬくと食べる冷たいソフトクリームと雪景色を、得難い体験だと感じた凪は、失敗もポジティブに変えられると話します。
その様子を見た慎二は凪が変わったと感じ、自分もいつもと違う選択をしようと唐揚げを作ると宣言します。
夕が向き合う武との記憶と、届いた通知
武との思い出の地を訪れた夕とうららの母。
変わった街並みの中で昔からあるパチンコ屋を見つけた夕は、武との記憶を呼び起こします。
バイト先の友人に連れられたライブハウスでひどい演奏をしながらもスターになると確信させた武と出会い、打ち上げでそのまま付き合い始めた夕。
夕の東京での夢は東京でかなえたい夢を見つけることで、周囲に馬鹿にされる中で武だけが何にでもなれると肯定してくれたといいます。
妊娠が発覚してビビった武は突然姿を消したと話す夕に、うららの母はたとえそうであっても思い出は唯一無二だと言い返します。
公園で休憩しながら本心を打ち明けた夕が語ったのは、武が妊娠を知り変わっていく様子をみて三人で幸せな選択をしようと言われたこと、しかし自分が違う言葉をかけていれば凪に父親がいたかもしれないという後悔、そして武に謝りたいという気持ちが夕の核だったということでした。
そこへ武からSNSの通知が届きます。
夕の感情の核が明かされるこの場面は、8巻から続く母娘の物語の中でも特に重要なシーンです。
勝の葛藤と、慎二がサウナで見せた素顔
一人ぼっちだった勝に声をかけサッカーへ誘ったのは連でした。
部活仲間からのいじめをきっかけに勝が部活を辞めた後、連は勝が楽しそうにしている姿に苛立ちを覚え、かつて勝の父が連の父をいじめていたという事実を暴露します。
その話が意図的に広められ、部員たちの嫉妬も重なって勝へのいじめが始まっていました。
父親のせいで自分も責められているのかと問う勝に、連は勝の目が父親にそっくりだったと言い放ちます。
タロさんの別荘に合流した勝をサウナへ促すタロさん。
凪が勝の悩みを聞こうとしますが、凪の言葉はきれいに加工されすぎていて入ってこないと拒絶され、傷ついた凪はサウナを出ます。
代わりに隣に座った慎二は悩みを聞かずに、頭の中は無法地帯でいいとさらりと話します。
砕けた慎二の言葉に勝はかつて連と過ごした楽しい時間を思い出し、唐揚げ作りに苦戦する慎二を見守る勝の表情に笑顔が戻ります。
慎二の弱さをさらけ出した言葉が、見ず知らずの少年の心を動かすこの場面は、慎二というキャラクターの意外な温かみを感じさせてくれます。
唐揚げの涙と、慎二の本音の言葉
市川はゴンと出会い、店内で慎二への一目惚れのきっかけを打ち明けます。
入社直後の展示会で巨大モニターが倒れないよう必死に支えていた女性のもとへ、プレゼン後に駆けつけさりげなく支えた慎二の姿に人間性を見たと話す市川。
そのモニターを支えていた女性が凪だったと気づいた市川は、複雑な思いを抱えます。
一方北海道では、慎二の初めて作った唐揚げが焦げて失敗に終わります。
しかし凪がタルタルソースを作り、おいしく食べられるようにします。
本当は唐揚げ作りが苦手だったと話す凪でしたが、慎二のために何日も前から練習していた事実を知った慎二の目には涙がありました。
料理が落ち着いた後、酒の棚が崩れそうになっているのを支えていた凪に気づいた慎二が助ける場面。
展示会の日に死角にいた自分になぜ気づいたか問う凪に、自分の視界から姿が消えたら探すと話す慎二の言葉に、凪は慎二の気持ちをはっきりと感じ取ります。
そしてゴンは市川に、一緒に組んで凪と慎二の邪魔をしようと持ちかけます。
次巻への期待が一気に高まる引きです。
【11巻のまとめ】
『凪のお暇』11巻は、北海道での笑いあり涙ありの再会、夕と武の過去に迫る感動的な場面、勝の葛藤と慎二の意外な素顔、そして四角関係がいよいよ動き出すラストと、見どころが凝縮された一冊です。
凪を中心に、すべての登場人物が自分自身の感情と正直に向き合おうとする姿が丁寧に描かれています。

続きが気になる方は、ぜひ手に取ってみてください。
次巻へ続きます。
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