20XX年の日本、増加する凶悪犯と、それに反比例するかのように強まる国際社会での死刑廃止論を鑑み、政府は試験的に流刑制度を復活させた。
それは、死刑に相当する凶悪犯たちを、凶悪犯罪者隔離目的自治区、通称「無法島」と呼ばれる無人島に送り込み、放置するというものだった。
送り込まれた62人の凶悪犯たちは、島の港に着いて間もなく、限られた食料や女をめぐって激しく争い始める。
一方で、無実の罪を着せられて島に送り込まれた青年のカイトは、凶悪犯がひしめくこの島で生き残ることができるのか―。
前作「自殺島」は日本近海の孤島を舞台に、政府によりこの島に送りこまれた自殺未遂常習者達が、命の意味と向き合いながら生きていく物語。
本作はその前日譚に相当します。
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
凶悪犯達の島流しに巻き込まれた無実の青年
3年前、主人公のカイトという青年は家族に反抗して家出するが、反省して家に帰ることにする。
しかし帰ったときには何者かによって両親と妹のマユが惨殺され、狼狽えているところに駆け付けた警官隊によってカイトも拘束され、一家惨殺事件の犯人として扱われてしまう。
世間では政府が増え続ける凶悪犯への対処として試験的に流刑制度を復活させ、死刑に相当する凶悪犯62名を隔離することを決めた。
島でのルールは唯1つ、島の領海1km以上を出ないこと。
最低限の食糧は1か月分をまとめて倉庫に置かれており、2か月に一度補給されるのみ。
ここで殺し合い全滅するのも生き抜くのも、何をしても自由という無法島に、カイトは凶悪犯たちと共に連れてこられてしまうのであった。
港での争いから逃れる
解放されたとたんに無秩序な状態と化し、欲望のままに女性を襲おうとする男たちが現れる。
ジンボという半グレ集団のリーダーはヒロキやタカといった仲間と一緒に入島しており、久々のシャバを存分に楽しむつもりの様子。
なかでも黒髪の若い女性が襲われそうになっているところを目撃したカイトは、それが助けを求める妹の姿とダブったことで思わず助けに入る。
他にも1人の女性の手を取って走り出すカイト。
怒った男たちにすぐに追いつかれてしまうが、そこで黒髪の女性が木剣を武器に男たちをボコボコにし、もう1人の女性も尖った木の棒を男の首に突き刺した。
教われていた彼女たちもまた、殺人犯としてこの島に送り込まれていることをカイトはハッキリと自覚する。
この島で罪を犯していないのはカイトだけなのであった。
半グレ集団のトップが食糧を占領
同じように港から逃げてきた者たちで見つけた民家で最初の夜を過ごしたカイトは、食糧を分けてもらうために港の倉庫へと出向く。
襲われないように女性2人を残し、男だけで港に向かうと、そこでは既にジンボたちが腕ずくで食糧を管理する座についており、食糧や労働力、女性との物々交換をルールにしていた。
カイトたちには黒髪の女性と交換で大量の食糧という条件が提示し、カイトたちは本業のヤクザですら手を焼く半グレ集団のトップであるジンボからの条件をどうするか考えることに。
そして民家への帰り道には欲望剥き出しの男たちに尾行されてしまい、カイトは女性たちが見つからないようにあえて民家を通り過ぎる。
力ずくで女性たちの居場所を吐かせようとしてくる男たちに無力なカイトは成す術もなく、悔しさで涙が出てくるが、その窮地に黒髪の彼女が木剣を手に援護に駆け付けるのだった。
黒髪の女性を援護し男たちを撃退
剣道の動きで男たちに仕掛ける彼女だったが、1対複数の戦いではさすがに劣勢に追い込まれてしまう。
祖父からの道場での教えを思い返しながら戦う彼女を援護するため、カイトも野球仕込みの投球で石を男に向かって投げつける。
その隙を突いた彼女は男の頸動脈を切り、撃退に成功。
その姿を見た味方の男性は、彼女が「白刃の魔女」という異名を持つ、5人の若い男を居合刀で斬り殺した事件の犯人であることを思い出すのであった。
「白刃の魔女」の正体
「白刃の魔女」の本名はミソラ。
ミソラは大学生5人に輪姦され、その家族は本人が精神的苦痛を何度も受けることを避けるために裁判ではなく示談に応じたものの、週刊誌や世間の目は容赦なく家族たちに迫ってきた。
輪姦の様子を記録したビデオはリベンジポルノで海外のサーバーにアップされ、ミソラは消し去ることのできない傷を負うこととなる。
平穏を取り戻したかった両親はミソラを連れて高原の崖から車で転落し、無理心中を図ったものの、ミソラだけが生き残ってしまった。
祖母に引き取られたミソラは無力感とどす黒い憎悪に支配され、祖父の形見だった居合刀に導かれるように復讐の鬼と化す。
輪姦した相手を1人ずつ呼び出しては斬り殺し、捕まるまでに全員殺すことだけを考えるミソラ。
5人全員を殺したところで警察に自首し、その3年後にこの無法島に降り立つこととなるのであった。
ミソラが気になるカイト
海で漁をしながら隠れて暮らすカイトはこれからどうするか考えていたが、どうしてもミソラのことが気になっていた。
そんなミソラたちに大きな木の枝をサスマタ代わりにした男たちが迫り、悲鳴を聞きつけてカイトが急行する。
組み敷かれたミソラは過去のトラウマが蘇ってしまう。
この窮地にカイトが助けに入り、正確な投石で男たちを威嚇。
ミソラは隙を見て背後から男たちに木剣で襲い掛かるが、カイトは何かに突き動かされるようにミソラが男を殺すのを制止する。
カイトは自分の感情はわからないながらも、この島で何かを変えようとしているのであった。
【1巻のまとめ】
20XX年の日本、増加する凶悪犯と、それに反比例するかのように強まる国際社会での死刑廃止論を鑑み、政府は試験的に流刑制度を復活させた。
それは、死刑に相当する凶悪犯たちを、凶悪犯罪者隔離目的自治区、通称「無法島」と呼ばれる無人島に送り込み、放置するというものだった。
送り込まれた62人の凶悪犯たちは、島の港に着いて間もなく、限られた食料や女をめぐって激しく争い始める。
港では半グレ集団のトップであるジンボが手下を集めながら権力を握り、暴力で島を支配にかかる。
一方で、無実の罪を着せられて島に送り込まれた青年のカイトは、復讐から男性5人を斬殺した「白刃の魔女」ことミソラのことが気になり、ミソラを助けながら数名と共に港から逃走する。
剣道の心得を持つミソラをカイトが野球仕込みの投石で援護し、男たちの襲撃を退けるが、カイトは何かに突き動かされるようにミソラが男を殺すのを制止。
自分の感情はわからないながらも、この島で何かを変えようとしているのであった。
次巻へ続きます。
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参考凶悪犯たちが島流しに!極限サバイバルドラマ「自殺島」の前日譚『無法島』全6巻【ネタバレ注意】
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