女性として教授に上り詰める野望をもつ加藤が天才外科医の朝田とオペ看のプロであるミキをスカウトし、バチスタチームの結成を目指す。
朝田はさっそく医局に染まり切っていない研修医である伊集院に目をつけ、強引ながら指導をしていく。
循環器内科のプロである藤吉も引き入れようとするが、藤吉は外科医のことをひどく嫌っていた。
娘の心臓の病を内科療法で治療したい藤吉だったが、胸部心臓外科の長である野口は朝田に対して藤吉の娘の手術を執刀するよう指示を出した。
藤吉を味方に引き入れることができるかは、朝田にかかっている。
2巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
娘を想う藤吉
藤吉の娘の手術を命じられた朝田。
どうしても外科に切らせたくない藤吉は教授に猛抗議するが、医局の決定は覆らない。
大学病院を見限った藤吉は、娘を連れて無理やり転院する決心を固める。
〈娘を連れて転院を決心する藤吉 [医龍 2巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
そこに居合わせた朝田も藤吉を止めることなく、むしろ伊集院の車で途中まで送ることを提案する。
車の中で転院先を探す藤吉だったが、明真の系列病院では裏切った男に手を差し伸べるところはない。
藤吉がバチスタチームへ
そして藤吉は途中で車を降り、朝田と伊集院にに別れを告げる。
しかしその矢先、藤吉が突然倒れた。
〈突如倒れた藤吉 [医龍 2巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
持病をもつ藤吉が心室細動を起こし、心停止の状態。救急車は間に合わない。
慌てる伊集院にすぐさま朝田が「車のバッテリーを除細動器として使う」と指示を出す。
藤吉を救うためにどんな無茶な治療でも全力を尽くす朝田と、保身のことを考え一歩が踏み出せない伊集院。
朝田の叱咤と藤吉の娘の泣き顔を見て、意を決した伊集院が朝田を手伝う。
〈バッテリーを利用した除細動 [医龍 2巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
車のエンジンキーを回すことで電流が藤吉の心臓に流れ、藤吉は一命をとりとめて明真に入院することとなった。
治療を担当する朝田は藤吉にペースメーカーの植え込みが必要だと診断。
確かな技量を持つ朝田に対し、自分が肉親である娘を本当に客観的に診断できているのか疑問が芽生え始めた藤吉は、
自分のペースメーカーの植え込み手術と、娘の手術を朝田に任せることを決心した。
しかし朝田は「藤吉の娘は手術の必要はない」と診断。
朝田は教授の命令を無視してまで、自分の信念を貫いた。
加藤もまた同じ診断であり、今回は教授に弓を引いた朝田をうまく庇う。
結局、藤吉のペースメーカーの手術を朝田が執刀し、藤吉はお礼と言わんばかりに、術後の治療計画を担当するプロとしてバチスタチームに力を貸すこととなった。
〈藤吉がチームに加入 [医龍 2巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
心臓ペースメーカーの不備を暴く
ある日、一晩に3人もの不整脈の患者が運び込まれてきた。
3人とも同機種の最新型ペースメーカーを入れており、電子レンジなど微小な電磁波が発生するものを使用した際に倒れている。
ペースメーカーが怪しいと踏んだ朝田は同メーカーの営業にコンタクトを取り、使用しないように手はずを進める。
しかしそのペースメーカーは野口教授が顧問となって開発したもので、その機種を使用しないことは野口教授に逆らうことを意味していた。
それでも朝田は独自にペースメーカーの動作確認を行い、ペースメーカーに欠陥があることを突き止める。
〈欠陥を突き止めた朝田 [医龍 2巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
明真の医療工学士にも内密に連絡を取り、調査を開始。
しかしその時、朝田の担当患者の容態が急変し、代わりに野口教授の犬である木原がペースメーカーの植え替えを執刀することに。
藤吉と伊集院が別のモデルのペースメーカーを至急手配し、朝田も手術室へ急いで戻る。
朝田は木原から患者を取り返し、教授の推すペースメーカーをその場で踏みつけ、問題のない機種に植え替えを行った。
〈教授選定モデルを踏み砕く [医龍 2巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
術後、朝田はすぐさま野口にペースメーカーの欠陥を報告。
野口は表面上では「よく報告してくれた」と微笑みながら、朝田の上司に当たる加藤に釘を刺すと同時に、ペースメーカーの現場で臨床を担当していた医師に責任を取らせたのだった。
末期ガンと治験
末期ガンの投薬で苦しむ老患者がいる。その苦しむ姿に胸を痛める看護師が藤吉と朝田、伊集院に治療方針を相談していた。
いま投薬されているのは治験中のもので、効き目は強いが副作用もとても強いものである。
〈新薬の副作用に苦しむ患者 [医龍 2巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
病院としては、末期ガンならダメでもともと、薬の効能が少しでも見られれば治験のデータは取れる。
しかし患者は、夫の前では気丈にふるまいながら、自分がガンで助かりそうにないことに気づいていた。
朝田は一人の医師として患者に寄り添い、患者とその夫に「この新薬はさらに苦しめるだけだ」と包み隠さず伝える。
〈正直に寄り添う朝田 [医龍 2巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
そして、患者とその家族は抗がん剤の治療の拒否を担当医の渋沢に告げるのだった。
【2巻のまとめ】
藤吉の娘も、藤吉自身も朝田が救い、藤吉がバチスタチームに加入した。
常に患者のためにまっすぐな朝田は心臓ペースメーカーの不備問題をはじめ医局のルールを無視して問題を解決するが、野口はそんな朝田と加藤に目を付け始める。
そして今度は治験中で副作用の強い新薬にわずかな望みをかける末期ガンの患者に対して朝田は効果が見込めないことを正直に言い、患者が投薬を拒否し始めるのだった。
次巻へ続きます。
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