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前巻はこちら予防接種講習会の開催、市販薬の依存問題、明かされる瀬野の過去『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』7巻【ネタバレ注意】
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第8巻では、学校薬剤師の現場見学から児童虐待の発見、学術大会への挑戦、そして外国人患者への対応まで、薬剤師の活躍の場がさらに広がりを見せます。
子どもの命と健康を守るというテーマが全編を通じて描かれた、シリーズの中でも特に読み応えのある一冊です。
学校薬剤師という知られざる仕事
学術発表の打ち合わせの流れで、みどりはかねてから興味を持っていた学校薬剤師の見学機会を得ます。
笹の葉薬局に所属する学校薬剤師・金平のもとを訪ねたみどりは、学校内で行われる多岐にわたる検査業務を目の当たりにします。
子どもたちへの啓蒙を目指すみどりにとって、その仕事は理想に近いものとして映りました。
学校薬剤師という職域が、実は非常に幅広い業務を担っているという事実は、多くの読者にとって新鮮な発見となるはずです。
「おかしい」という直感が命を救う
見学中の保健室に、頻繁に鼻血を出すという生徒・燈真が連れられてきます。
みどりは鼻血だけでなく、腕に多数のあざがあることに気づき、声をかけます。
血友病の可能性を考えるものの、それならば既に診断がついているはずだという違和感がぬぐえません。
連絡を受けた父親が駆けつけ、みどりが小児科の受診を提案すると素直に受け入れましたが、入院後も燈真の数値は一向に安定しませんでした。
見舞いに来た友人から「父が作るおやつの味が最近おかしい」という証言を得たみどりは、ある疑念を持ち始めます。
薬剤師だからこそ気づけた「見えにくい虐待」
みどりは父親が燈真の食事に何らかの薬を混入しているのではないかと疑い、燈真の証言をもとに複数の薬剤を味見しながら疑いのある薬を特定していきます。
事情を知らずに見舞いに来た母親に対し、医師・久保山は秘密裏に聞き取りの場を設けます。
そこで浮かび上がったのは、父親が「代理ミュンヒハウゼン症候群」という精神疾患を抱えている可能性でした。
保護者が子どもに意図的に体調不良を引き起こす、この見えにくい虐待は致死率が高く、ソーシャルワーカーの介入によって父子は隔離されることになります。
その後、燈真の症状は改善されましたが、受けた虐待という事実が消えることはありません。
薬剤師の専門知識と観察眼が、児童虐待の発見に直結するという展開は、職業の社会的意義を改めて考えさせる重要なエピソードです。
学術大会で出会う「理想の先輩」
緊張と寝不足のままみどりが参加した学術大会では、予想外の再会が待っていました。
各ブースを見て回る中で気になる人物を発見したみどりでしたが、発表時間が迫り急いでブースへ戻ります。
足を止めてくれる人が少ない中、鋭い質問を投げかけてきた不思議な風貌の男性が、かつて瀬野の師でもあった薬剤師・陣であることが判明します。
陣が講演するという情報を得て急遽参加した瀬野との再会も描かれ、みどりにとって大きな刺激を受けた一日となりました。
来年も必ず参加するという決意を胸に抱くみどりの姿に、着実な成長を感じさせます。
多文化共生時代の医療現場
近年増加する外国人患者への対応に苦慮する薬剤師たちの姿も、本巻の重要なテーマのひとつです。
言葉の壁だけでなく、宗教・文化・習慣の違いが医療現場でのコミュニケーションに影響を与えています。
気管支喘息で入院したインドネシア人の少年はイスラム教徒であり、体内に入れるものへの制限があります。
厳格な家庭ではないものの、薬の成分について都度確認が必要なみどりは、翻訳機を活用しながら丁寧に安全性を説明し、手作りの服薬説明書を作成して退院時に手渡しました。
しかし、免除されるはずの断食や礼拝を少年が隠れて続けていたことが判明し、宗教的な信仰と医療の狭間で生きる患者の複雑な事情が浮かび上がります。
さらに息子を心配する母親自身も体調不良を抱えている様子が明らかになり、次巻への引きとなる緊張感のある場面で本巻は幕を閉じます。
【8巻のまとめ】
『アンサングシンデレラ』第8巻は、児童虐待の発見という衝撃的なエピソードを中心に、学校薬剤師の役割や多文化対応など、薬剤師が関わる社会課題の幅広さを描いた一冊です。
子どもの命を守るための観察眼と専門知識、そして異なる文化背景を持つ患者への真摯な姿勢が印象的に描かれています。
次巻への期待を高めながら、ぜひ手に取ってみてください。
次巻へ続きます。
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