夏休みの自然学校で出会った15人の少年少女たちはココペリと名乗る男と出会い、「巨大ロボットを操って敵から地球を守るゲーム」に参加することに。
ウシロの妹であるカナ以外全員がパイロットとして契約を済ませ、ゲームが始まる。
コエムシと名乗る口の悪いマスコットにサポートされながら、ココペリは実際に巨大ロボット「ジアース」を操り敵を撃破した。
しかし契約が済んだあとで「ジアースは1回戦闘するごとに操縦者の命を奪う」「相手は並行世界の地球」「負けるか48時間以内に決着がつかなければ地球は滅亡する」というルールが明かされ、子供たちは勝って自分たちの地球を守りながら死ぬか、負けて地球と共に死ぬかの運命を突きつけられる。
巨大ロボットによる戦闘を受けて国防軍も動き出すが、軍の火力ではまともなダメージを与えることができない。
戦闘以外での死亡などによりパイロットが不足するなか、軍からのサポート要員である関と田中が予備パイロットとして契約を済ませた。
既にワク、コダマ、ダイチ、ナカマ、カコ、チズ、モジ、マキ、キリエ、コモ、アンコが命を落とした。
次はカンジの番。
友人であるウシロに腹を割って「妹を大切にしろ」と諭すと、ウシロも本当は契約していないことを告白。
ウシロが戦わなくて済むと安堵したカンジは戦闘に臨み、母の墓標である街のシンボル、沖天楼を守りながら戦う。
関をはじめ志願兵たちを犠牲としながらもカンジは辛勝。
しかし次にパイロットに指名されたのは契約していないはずのウシロの妹、カナだった。
9巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
兄のために契約していたカナ
自分と兄が本当は血がつながっていないことを知っていたカナ。
兄が本当はジアースの契約をしていなかったことは知らず、死ぬ前に兄を本当の母に合わせてあげることがカナの望みだった。
〈カナの願い [ぼくらの 9巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
パイロットが減り、兄がおそらく契約していないと悟った今、余計に一人残される兄のために実の母を探してあげたいという想いが強くなった。
父に尋ねると、ウシロの母は中学教師だった父の教え子の不良で、産んだ子供をいまの父と母に預け行方をくらましたそうだ。
父たちは引き受けた子供を養子にして実の子のように育てたが、その子の実の母はそれ以来消息がつかめていない。
カナが黙って契約したことを知ったウシロは怒り、カナを叩こうとする。
しかしウシロもまた自分が妹と血がつながっていないことをカンジから聞き、血がつながっていない家族に手を挙げることの重大さに手を止めるのだった。
〈手を止めるウシロ [ぼくらの 9巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
マチの正体
カナが契約したことはマチにとっても想定外。
マチはコエムシの実の妹で、兄の計らいでジアースに契約していなかった。
〈マチはコエムシの妹だった [ぼくらの 9巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
コエムシはカナが強い覚悟を持っており、ココペリのチュートリアル戦闘の後に兄を1人にさせまいとカナから契約を申し出たことを明かす。
ココペリは元の名前を画楽といい、コエムシとマチとは前の地球を賭けて共に戦った関係だった。
ウシロの実の母
結局、ウシロの母の捜索を田中に頼んでいたが見つからなかった。
しかし、同じ依頼を受けていたアンコの父がウシロの実の母を突き止める。
ウシロの実の母は、田中だった。
〈田中がウシロの実母だった [ぼくらの 9巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
田中は改めてカナの父の前に姿を現し、これまでのいきさつとカナが次のパイロットとして死ぬことを明かす。
田中は自分が一度ウシロを捨てた以上実の母として名乗り出ることは否定しながらも、ウシロの死を見届けるために自らもジアースと契約している。
そこにアンコの父に連れられてカナも合流し、田中はカナに自分がウシロの母であることを告げる。
カナの真っすぐで切実な想いを受け止める田中だが、どうしても自分からウシロに名乗りでることはまだできそうになかった。
〈迷う田中 [ぼくらの 9巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
母と妹を失うウシロ
兄のために戦いに臨むカナ。
田中の発案で、ジアースのコックピット内に戦闘機を配備し備える。
〈戦闘機を持ち込む [ぼくらの 9巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
そして戦いのときがきた。
戦地は相手側の地球。
コエムシの意地悪で戦闘機のパイロットは田中が乗ることとなり、出撃していく。
田中は敵を支援する戦闘機を撃墜しながらカナを援護。
カナも戦闘を有利に進めていく。
田中は戦闘が無事に終わったらカナの願い通り自分がウシロに名乗り出る決意を固めるが、油断したところを敵の戦闘機に撃墜されてしまう。
〈撃墜される田中 [ぼくらの 9巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
戦闘機から脱出しパラシュートで落下する田中。
敵は田中を捕獲し、人質としてジアースの隙をうかがう作戦に出た。
〈田中が捕まる [ぼくらの 9巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
田中の命を握られ、動揺するカナ。
攻撃を急かすウシロに対し、苦し紛れに田中が実の母であることを告白すると、さすがのウシロも頭が真っ白になる。
しかし田中はこのままではカナが反撃できずに負けると判断し、2人の目の前で自分の頭を銃で撃ちぬいて自殺。
〈自決を選ぶ田中 [ぼくらの 9巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
田中が死に、カナは泣き叫びながら敵にトドメを刺して勝利した。
パイロットに名乗り出るウシロとマチ
カナと田中の死体は元の地球に戻され、田中の今の夫と娘も遺体確認にやってきた。
母も妹も失い、一人残されたウシロ。
ジアースのパイロットは2人足りず、このまま契約者が見つからなければ敗北して地球は滅亡する。
家族を想う愛を知ったウシロは、この地球に生きるすべての人間のために自分が立ち上がる覚悟を固め、ジアースのパイロットに名乗り出た。
〈契約を決意したウシロ [ぼくらの 9巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
その覚悟を知ったマチも、コエムシの制止に耳を貸さずジアースと契約する決意を固めるのだった。
【9巻のまとめ】
血の繋がらない兄のために契約していたカナ。
兄の実の母が田中であることを突き止めるが、カナの戦闘時に田中は敵に捕まり、ウシロとカナの目の前で自ら死を選んだ。
カナは戦い抜き、母と妹を同時に失ったウシロ。
マチもまた、正体はコエムシの妹であり、ジアースには契約していなかったことが明らかとなる。
最終戦を前にしてパイロットが足りない状況。
家族を想う愛を知ったウシロがいま、ジアースのパイロットとして契約する覚悟を固める。
またウシロに惹かれ始めていたマチも、兄コエムシの制止を振り切って契約することを決意するのだった。
次巻へ続きます。
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