滋賀県にあるスポーツ強豪校・星徳高校を突如として怪奇現象が襲い、生徒や校舎まるごと戦国時代にタイムスリップした。
わけも分からないまま足軽たちの襲撃を受けるなか、弓道部で日本史オタクの西野蒼は、同じ弓道部の瀬野遥に想いを寄せつつも、親友で遥の彼氏でもある生徒会長の松本考太と共に皆をまとめて生きて現代に帰る方法を誓い合う。
しかし翌日に再び襲撃を受けた蒼たちは教室で生徒を脅迫しながら日本史の教科書の情報について拷問している羽柴秀吉と対峙することに。
日本の未来を知る者として蒼に一目置く秀吉との戦いで考太が命を落とすが、皆を守る為に何としてでも生きるという決意を固めた蒼は、「本能寺の変で信長が明智光秀に討たれる」という予言を秀吉に伝え、本能寺の変を阻止するために秀吉に協力することとなった。
考太が亡くなったいま蒼はリーダーとして皆に頼られる存在になっていき、正気をほとんど保っていない信長とは対照的に「戦いが起きる世の中そのものを変える」という大志を抱く徳川家康に惹かれていく。
そして毛利方を攻めるための中国征伐が始まり、秀吉らに帯同することとなった蒼たち星徳隊。
史実通りであればこの征伐の間に本能寺の変が起こるため、秀吉は一刻も早く中国征伐を終わらせる考えだが、自殺したはずの星徳高校の生徒・木本と不破が光秀と共謀して史実を捻じ曲げようと暗躍。
不破たちが上杉謙信をけしかけたことで史実とは異なる展開となり、家康が謙信に討たれて命を落としてしまった。
史実が変わってしまい動揺する蒼だが、家康は大志を蒼に託し、蒼も「自分が家康の代わりに天下泰平を実現させる」と胸に誓う。
徳川家が蒼を迎え入れようとするが、本能寺の変の阻止を優先したい秀吉はこれを拒否。
その頃、安土城では不破たちが用済みとなった信長の始末に動き始めており、寸でのところで森蘭丸が信長の窮地を救って脱出するが、信長を守った秀吉一派が「信長の誘拐を煽動した」という罪を着せられて孤立し、光秀や織田の家臣軍による包囲網が敷かれてしまう。
蒼たちは伊賀のくノ一である凪と出会い、信長を匿った伊賀忍者の里で頭領である服部半蔵を味方につけることに成功。
信長を捜索しに攻めてきた光秀や織田の家臣の大軍から里を防衛する一方で、少数精鋭の隠密部隊で安土城を強襲。
三成が光秀を討ち、蒼も不破から「現代に帰る方法がある」という情報を得て不破を退け、安土城を攻め落とすことに成功した。
中国征伐を終えた秀吉軍とも合流、信長による論功行賞で蒼は領地を与えられ大名となるが、徳川家への主従は認められず蒼は不満を抱えることとなる。
その後完全復活した信長は本来の残虐非道な戦いぶりで味方であるはずの蒼たちに対しても絶対的な恐怖を植え付けて支配しようとし、反発した蒼たちは「現代に帰る方法」を実行する決意を固める。
それは自分たちの手で信長を殺し、歴史を修正すること。
服部正成を説得して味方につけ、「戦狂い」と評される徳川信康との争いを制して武田家を討った蒼が武田家の広大な領地をそのまま引き継ぐとともに徳川家の養子となった凪と婚姻、蒼は晴れて徳川家の大名となった。
しかしその婚礼の儀に信長が乱入してぶち壊し、凪や女生徒らを人質にとって去っていく。
激しい憎悪を募らせ信長を殺す決意を固める蒼は、凪を助けつつ歴史を修正して本能寺の変を起こす策を必死に考えた末、仇敵でもある上杉謙信と共闘することを閃いた。
上杉謙信を説得し、いよいよ史実とは異なる本能寺の変が幕を開ける。
他方、吉元と菱沼は木本から得た情報をもとに山奥にある寺を調査し、タイムスリップのカギを握る僧侶への接触に成功。
本能寺の変の決行の時を迎え、上杉謙信と共に本能寺を目指して侵攻する蒼たちは途中で竹中半兵衛らの待ち伏せに遭うが、これを跳ね除けて半兵衛を返り討ちに。
森長可・蘭丸の兄弟が信長への愛のために徹底抗戦するなか、本能寺に到着した蒼は2つの突入班を編成する。
そして本能寺へ突入、運命の決戦が始まるのであった。
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
立ちはだかる森兄弟
隠密部隊の高橋・黒川・戸田・木本の4人は本能寺の床下から内部に侵入。
強烈な威圧感を持つ信長との再戦に内心ビビるなか、敵兵を排除して信長を捜索する。
しかしそこに森長可と蘭丸の兄弟が立ちはだかり、黒川が腕に蘭丸の銃撃を受けてしまう。
2人がいるということは近くに信長がいるということ。
高橋は防犯ブザーを鳴らして付近にいた蒼たちに合図を送りながら、森兄弟に対峙するのだった。
森兄弟を討ち、信長を残すのみ
森兄弟に立ち向かう高橋たち。
戸田が蘭丸を足止めし高橋と木本が長可に挑むが、高い身体能力を誇る長可に簡単に薙ぎ払われてしまう。
奮闘する木本が何とか長可に傷を負わせるが、長可に首を折られて命を落としてしまった。
先に進むためにはこの森兄弟を倒さなければならず、苦戦を強いられる高橋たち。
戦いが激化し、戸田が一瞬の隙を突いて蘭丸に致命傷を与える。
他方、高橋が長可に追い詰められたところで蒼が合流し、長可の背中に蒼の矢が命中。
そこへ一気に戸田と黒川が加勢し、長可を討った。
重傷を負った蘭丸は信長のもとへ向かい、蒼たちが上杉軍を操る黒幕であることを伝えて息絶えるのだった。
上杉謙信が信長に挑む
合流した蒼が高橋から戦況を聞く一方、先を急いだ謙信たちと吉元が奥の間に鎮座する信長を発見する。
史実では実現しなかった信長と謙信の戦い。
突然拳銃を構えた信長に対し、吉元は持っていた火炎放射器で援護し、本能寺に火の手が回った。
中では謙信が信長に斬りかかるが、圧倒的な強さを持つ信長をなかなか討つことができない。
建物から立ち上る煙を見て蒼たちも急行する一方、安土城の人質救出班にはその煙が作戦成功の狼煙と勘違いされ、凪たちの救出作戦が始まるのだった。
謙信が敗れ、蒼が挑むも天井の下敷きになってしまう
謙信と信長の激しい一騎討ち、しかし謙信の持病の発作が起きた隙を突いて信長が謙信の指を斬り飛ばす。
謙信が破れ夢潰えたかと思われた矢先、その場に追いついた蒼が覚悟を決め、「徳川蒼」を名乗って割り入った。
全員を逃がし、自らの手で不破が狂わせた歴史を修正するために信長に一騎打ちを挑む蒼。
そんな蒼に吉元はある液体の入った瓶を渡し、健闘を祈る。
1対1では苦戦する蒼のもとに戸田が加勢し、2人がかりで戦いを挑んだ。
しかし戦いの最中、信長に蹴り飛ばされた蒼は燃え崩れた天井の下敷きになってしまう。
誰もが信長を討つ作戦が失敗したと感じ、無念の退却を考えるのであった。
蒼がついに信長を討つ
安土城では、服部正成が人質になっていた凪や女生徒を救出し、船での脱出を試みる。
ところが勘づいた織田軍に捕まってしまい、慶子が足に銃弾を受けて身動きが取れなくなってしまった。
慶子の肩を担ぎながら、待っている人たちのもとに生きて帰るよう叫ぶ凪。
その叫びが届くかのように、蒼も下敷きになった状態から脱出。
そのまま吉元から託された無水エタノールを信長にぶっかけ、信長がたちまち炎に包まれる。
そして全員の想いを背負った蒼の渾身の一太刀が信長を捕らえ、ついに信長を討った。
蒼はそのまま倒れ込むが、高橋・黒川・白附らに支えられて意識を取り戻し、涙ながらに生きていることを実感するのだった。
エピローグ:現代に帰った者、戦国の世に残された者
信長を見事討ち、学校へと向かう蒼たち。
学校では既に人質救出班と凪や女生徒たちが無事に待っていた。
するとすぐに赤い雨が降り注ぎ、蝉が鳴くという怪奇現象が起こる。
「まだ秘法は行っていない」と自分の仕業ではないと動揺する僧侶をよそに、霊岩には首桶が、そして屋上には学ランを着た男子生徒(不破?)の姿があった。
そして濃い霧に包まれた高橋ら星徳高校の生徒達は、そのまま蒼の前から消え、現代へと帰還した。
本能寺の変の11日後、秀吉が変の首謀者として謙信を討ち、歴史は修正された。
その後、蒼は徳川家の君主として史実通り関ヶ原の戦いで東軍を指揮することとなる。
息子の秀忠に「臆するな」と伝える蒼。
その傍には「戦国の世に天命がある者」として現代にタイムスリップできなかった吉元と菱沼の姿も。
菱沼は関ヶ原の戦いの様子を絵に描く際に星徳隊の面々を描き込み、それが屛風絵として後世に伝わることとなるのだった。
【17巻(完)のまとめ】
死闘の末に蒼が信長を討ち、本能寺の変が成就。
人質になっていた凪たちを救出し、再び現代へのタイムスリップが実現。
星徳隊の生徒たちの大半が現代へ帰還を果たす一方、蒼は徳川家の君主として後に関ヶ原の戦いで石田三成と相まみえることとなる。
蒼が率いる東軍の陣営には戦国の世に天命がある者としてタイムスリップできなかった吉元(化学部)と菱沼(漫画研究部)の姿もあり、菱沼が描いた関ヶ原の戦いの様子の絵には勇敢に戦う星徳隊の姿があえて書き加えられ、そのまま屏風絵となって後世へ伝わるのであった。
次巻へ続きます。
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