そのまま自ら化け物の群れへ飛び込み、岩倉とノイマンも後を追う。
義明は仲間を失った怒りから軍人に立ち向かうが銃撃される。
しかし、切断された右手と撃たれた腹部が再生していることに気づいた。
かつてのボコールとなる悪夢が蘇り発狂すると、突如化け物たちが人の塔を形成し軍人たちを襲い始めた。
デイジーは状況から推測し、義明が光の子であると確信する。
混乱の中、ハットは義明を捕らえ、スタンガンで動きを封じてヘリに乗せ飛び立つが、義明は屋上の一ツ兜が兵器で狙っていることに気づき、ヘリから飛び降りる。
一ツ兜の攻撃によりヘリは墜落し、義明を巡る運命はさらに混迷を深めるのだった。
7巻のあらすじを振り返ってみましょう。
人の塔の崩壊と生存者たち
岩倉が目を覚ますと、周囲は感染者に囲まれ、まるで石垣のように組み上げられた人の塔の内部にいた。
状況が飲み込めず、塀の上から自ら身を投げた直後の記憶を思い返す。
隙間から外を見ると、いくつもの人の柱がそびえ立つ異様な光景が広がっていた。
その瞬間、塔が崩れ始め、岩倉は瓦解する人の山から抜け出す。
そこで吉岡とノイマンと再会し、互いの無事を確認した。
しかし、花畑と笠原の姿が見えないことに気づく。
吉岡の視線の先には、何かを抱きしめながら泣く花畑の姿があった。
それは笠原の遺体だった。
周囲を囲む化け物達は全て死んでいた。
ノイマンは、化け物たちが人の塔を形成する際に身体への負担が大きすぎるため、身体中がズタズタになり死んだのではと推測した。
ボコールを倒したにもかかわらず塔が出現したことに疑問を抱く岩倉。
吉岡は新たなボコールの可能性を危惧していた。
デイジーの幼児退行
一方、収容者たちは軍人を取り囲み、暴力を振るっていた。
その魔の手はデイジーにも近付いていた。
彼女に掴みかかる収容者に対し、デイジーは突如子供のような態度を取り、蹴られると泣き出してしまう。
そして、逃げるように一ツ兜に抱きつき、「お父さん」と呼び助けを求めた。
一ツ兜は困惑しながらも、収容者たちを一喝し、デイジーを庇った。
デイジーはショックのあまり、幼児退行という症状に陥ってしまっていた。
だが、それが功を奏し、彼女はその場から命を救われることとなる。
義明の変化と仲間の決断
ヘリから落下した義明は重傷を負っていたが、奇跡的に生存していた。
岩倉たちはその驚異的な回復力に驚愕する。
さらに、義明の歯が抜け落ちたかと思うと、一瞬で生え変わる様子を目撃し、一同は彼の感染を確信する。
吉岡は義明を殺す決意を固め、ナタを振りかぶる。
しかし、義明が目を覚まし、仲間の無事を喜び涙を流す姿を見た吉岡は、ナタを下ろし、代わりに手を差し伸べた。
坂上からの通信とウィルス研究
園長室に戻った一ツ兜は、デイジーのペンダントを目にする。
中には家族写真があり、スキンヘッドの父親の姿を見て、自分がお父さんと呼ばれた理由に納得する。
そんな折、園長室の電話が鳴り響いた。
電話の主は「坂上」と名乗る女性で、分子遺伝学研究センターでウィルスの治療薬を研究していた。
彼女は、もう少しで治療薬が完成すると語り、初期段階の感染者なら根治できる可能性があると話す。
坂上は夫とともにウィルス研究を続けていたが、ある日夫が感染。
しかし、通常数十秒で発症するはずが、彼の体は驚異的な治癒能力を示した。
さらに、研究の過程で「Mウィルス」と「Fウィルス」の存在が発見され、特定のレセプターを持つ者がFウィルスに感染すると、驚異的な治癒能力と、化け物を操る能力を持つことが判明した。
夫の変異が進む中、より多くのサンプルが必要となり、坂上はノイマンたちに感染者の捜索を依頼する。
彼女に今いる場所を尋ねると、東京湾アクアラインにある海ほたるだと答えた。
新たな目的地、海ほたるへ
義明たちはウィルスの治療法確立を目指し、海ほたるへ向かうことを決断する。
出発直前、ノイマンは咳き込むと、手に数本の抜け落ちた歯を見つけた。
その異変に驚愕しながらも、体調を気遣う岩倉に対しては不敵な笑みを浮かべ、何事もなかったかのように振る舞う。
花畑の運転する装甲車に乗り込み、施設を出発した一行は、高速道路に入る。
しかし、道を塞ぐ事故車を前に、土地勘のある吉岡が運転を代わり、都内を避けて裏道を進むことに。
途中で立ち寄った建物の壁には、無数の人探しの張り紙やSOSの文字が並んでいた。
重苦しい雰囲気が漂う中、吉岡は車を停めた。
そこにはラジオブースがあった。
吉岡はマイクを握り、軽快なトークでラジオDJを始める。
呆れる仲間たちだったが、話が弾み、曲をかける流れになる。
選曲を任された義明は「アンパンマンのマーチ」を流した。
失笑していた一同も、やがて歌詞の意味を噛みしめるようになり、いつしかそのメロディが彼らを奮い立たせていた。
【7巻のまとめ】
岩倉は人の塔の中で目を覚まし、瓦解する中で吉岡・ノイマンと再会。
花畑は笠原の遺体を抱きしめて泣いていた。
ボコールを倒したにもかかわらず塔が出現したことから、新たなボコールの存在が疑われる。
収容者たちに襲われたデイジーだったが、あまりのショックに幼児退行して一ツ兜に助けを求め、事なきを得る。
ヘリから落下した義明は重傷を負いながらも生存。
驚異的な回復力を見せ、感染を確信した吉岡は彼を殺そうとするが、義明の涙に決断を躊躇う。
坂上と名乗る研究者から連絡があり、治療薬の存在が知らされ、義明たちは海ほたるを目指すことに。
ノイマンは自身の体の異変に気付くが、隠しながら同行する。
花畑の装甲車で向かう道中、ラジオブースに立ち寄り、吉岡が即興DJを開始。
義明が流した「アンパンマンのマーチ」が、最初は失笑を誘うも、歌詞と今の状況がリンクし、次第に仲間たちの士気を奮い立たせていった。
【7巻の見どころ】
岩倉が目覚めた場所は、感染者の屍で築かれた異様な塔の内部でした。
絶望的な状況の中で塔が崩れ、彼は間一髪で脱出。
吉岡とノイマンとの再会を果たしますが、花畑の腕の中には笠原の遺体がありました。
このシーンは、生存と喪失の対比が際立ち、物語の緊張感を高めています。
一方、収容者たちの暴動に巻き込まれたデイジーは、恐怖のあまり幼児退行を起こし、一ツ兜に助けを求めます
。これにより命を救われるという展開は、極限状態における人間の心理の脆さと、思わぬ形での生存戦略を示しています。
また、ヘリから落下しながらも驚異的な回復力を見せた義明は、仲間たちに感染を疑われます。
吉岡は彼を殺そうとしますが、目覚めた義明の涙に迷い、命を奪うことを躊躇います。
ここでは、人間性と理性、仲間意識が交錯し、読者に深い感情を呼び起こします。
さらに、研究者・坂上からの通信により、治療薬の存在が明らかになります。
これを求めて海ほたるを目指す一行の旅路は、希望と不安が入り混じるものとなります。
道中、吉岡の即興DJによるラジオ放送と「アンパンマンのマーチ」の選曲が、緊迫した空気を和らげ、仲間たちの士気を高める演出が見事です。

次巻へ続きます。
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