全巻まとめ

伊賀vs甲賀、運命をも引き裂く忍者同士の殺し合い『バジリスク~甲賀忍法帖~』全5巻【ネタバレ注意】

甲賀卍谷と伊賀鍔隠れに潜む一族は、ともに服部半蔵に率いられる忍者群同士でありながら、源平の昔より数百年、互いに憎悪を抱く不倶戴天の敵同士でもあった。服部の統制下、両門争闘の禁制によりかろうじて和平を保っていた。そのような中、甲賀組の首領甲賀弾正の孫弦之介と伊賀組の頭目お幻の孫娘朧は恋仲にあり、両家の縁組がすめば長きに亘った甲賀と伊賀の確執も解けるかと思われた。

そんな事情を知ってか知らずか、慶長19年4月末、両首領を駿府城に呼び出した徳川家康と半蔵(2代目)が甲賀・伊賀の忍びに与えた使命は実に戦慄すべきものであった。徳川第3代将軍となる後継者選びに悩んでいた家康は、天海の提言を受け入れ、その選定を甲賀対伊賀の忍法争いによって決めることにしたのだ。

方法はそれぞれから10人ずつの「選手」を出し、最後まで生き残った者が託された巻物を再び家康の前に持ち帰ること。後継者は、伊賀が勝てば竹千代、甲賀が勝てば国千代と決まる。甲賀・伊賀とも選ばれた10人は皆、驚くべき肉体や技を持った者ばかり。そして、その中には祝言間近の弦之介と朧の名もあった…。

運命を引き裂かれた忍者同士の凄惨な殺し合い、その果てに待つ結末とは―。

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登場人物紹介

<甲賀卍谷衆>

甲賀弦之介(こうが げんのすけ)
本作の主人公にして弾正の孫。彼に殺意を帯びて襲いかかった者を自滅させる「瞳術」の使い手。伊賀鍔隠れの朧とは恋人同士であり、甲賀と伊賀が手を取り合う未来を夢見ている。誠実で平和主義者だが、時には次期頭領らしい厳しさや冷酷さを表に出すこともある。

甲賀弾正(こうが だんじょう)
甲賀卍谷衆頭領。かつて伊賀のお幻とは恋仲だったが、彼女とは引き裂かれる運命にあった。長毒針の使い手。合戦の開始直後、お幻と相討ちとなり倒れる。

風待将監(かざまち しょうげん)
蜘蛛のような外見を持つ男。口から吐き出す痰は膠の粘着力をはるかに上回り、蜘蛛の糸のように操ることで、敵を絡め取ることが出来る。

鵜殿丈助(うどの じょうすけ)
弦之介の護衛役。丸々と太った体を持ち、柔軟性に富むその肉体はあらゆる衝撃を包み込んで吸収するため、直接攻撃はほぼ通用しない。お調子者かつ女好きな性格で、伊賀衆の朱絹にも無遠慮に口説いている。

地虫十兵衛(じむし じゅうべえ)
四肢が無い異形の忍者。普段は駕籠で移動しているが、急場では腹の蛇腹のようなものを利用し並の忍者よりも遥かに速く走行することが可能。また異様に長い舌を鞭のように動かし、食道に隠した槍の穂での不意打ちを切り札とする。星占いが得意で、駿府城に赴いた弾正の星に凶兆を見出す。

室賀豹馬(むろが ひょうま)
弦之介に付き従う、冷静沈着な参謀役。血筋としては彼の叔父にあたり、「瞳術」の師でもある。盲目だがその代わり他の感覚が発達しており、夜間のみ弦之介と同等の瞳術が使用出来る。

霞刑部(かすみ ぎょうぶ)
体毛の無い大柄な男。壁や地面などに自由に溶け込み、姿を隠すだけでなく実体をも消すことができ、それを利用した潜入活動や、片手で人の首の骨を折るほどの怪力からの攻撃を得意とする。

如月左衛門(きさらぎ さえもん)
お胡夷の兄。温厚で物静かな男だが、任務のときは忍者らしい冷酷な面も見せる。他人の顔を自分の顔に写し取ってその人物に成り済ますことが出来、声帯模写と併用して敵を欺く(顔や声だけでなく、髪の長さも自在に調節でき、関節を外すことで体格も変えられる)。

陽炎(かげろう)
女忍者。妖艶な美女だが、彼女が情欲に身を任せる時は吐息が猛毒を帯びるため、抱いた者は死に至る。弦之介を一途に想い、また本来は弦之助と同等の家柄のため結婚できるはずが、その体質のため弦之介とは決して結ばれないことを思い悩んでおり、同時に朧に深い憎悪を抱いている。

お胡夷(おこい)
左衛門の妹。甲賀の中では若い女忍者で、豊満な体と無邪気な性格を持つ。蛭のように肌と口から相手の血を吸い取ることが出来る。

<伊賀鍔隠れ衆>

朧(おぼろ)
お幻の孫。おっとりした温和な性格で、少しそそっかしいところがある。その性格のせいか忍術も剣術も体術もまったく身に付けることができなかったが、見るだけであらゆる忍法を強制的に破る「破幻の瞳」を生まれつき備えている。

お幻(おげん)
伊賀鍔隠れ衆頭領。かつて甲賀弾正とは恋仲だったが、2人が結ばれることは無かった。

小豆蠟斎(あずき ろうさい)
才槌頭で長い白髭を伸ばした小柄な老人。手足を自在に伸縮、屈折させることができ、触れるものを刃物のように切り刻む。

朱絹(あけぎぬ)
女忍者。理知的で仲間想いな性格。皮膚から血を吹き出して霧を生み出し、敵の目をくらます。朧の世話役を務めており、朧からは非常に懐かれている。

蓑念鬼(みの ねんき)
全身毛むくじゃらの男。全身の体毛を伸ばしたり針のように硬化させたりすることが出来、自由自在に動かして移動や攻撃などに威力を発揮する。棒術の遣い手。

夜叉丸(やしゃまる)
伊賀の中ではかなり若い忍者。女の毛髪をより合わせ、獣油を染み込ませた「黒縄(こくじょう)」と呼ばれる細い糸を武器として用い、その威力は巻きつけた巨大な岩を切断するほど。蛍火とは恋人同士。

蛍火(ほたるび)
伊賀の中ではかなり若い女忍者。感情的になりやすい性格で、それゆえ残虐な行動に走ることもある。虫や小動物を使役し、幻術を得意としている。常に白い蛇を連れている。夜叉丸とは恋人同士。

雨夜陣五郎(あまよ じんごろう)
水死体のような風貌の中年の忍者で、伊賀鍔隠れ衆の参謀。ナメクジのように塩に溶けて、体を小さく縮めることが出来、更に水に浸かると元に戻るという特異体質を持つ。

薬師寺天膳(やくしじ てんぜん)
伊賀の副首領。170年以上も生きているはずだが外見は青年のままで、何度殺されてもその度に蘇る不死の術を持つ。冷酷・卑劣な性格であり、伊賀の勝利のためには手段を選ばない。

筑摩小四郎(ちくま こしろう)
薬師寺天膳の子飼いの従僕。まだ若く身分も低い。吸息によってカマイタチ(真空刃)を作り出し敵を切り刻む、強力な技を使う。他に2丁の折りたたみ式の鎌を持ち、ブーメランのような投擲武器として扱う。

<その他>

徳川家康(とくがわ いえやす)
大御所。3代将軍となる跡継ぎを決めるために甲賀と伊賀の不戦の約定を解いた張本人。

南光坊天海(なんこうぼう てんかい)
家康に忍法合戦を進言した徳川幕府のブレーン。

柳生宗矩(やぎゅう むねのり)
将軍家剣術指南役。冒頭の忍法上覧に徳川家重臣の1人として立会い、常識を超えた忍者の戦いに驚愕する。

阿福(おふく)
竹千代の乳母。伊賀衆の勝利のためにルール違反ながら助勢をする。後の春日局。

竹千代(たけちよ)
2代将軍徳川秀忠の長男。どもりでうすぼんやりしている。後の3代将軍徳川家光。

国千代(くにちよ)
2代将軍徳川秀忠の次男。利発的で聡明。後の駿河大納言徳川忠長。

各巻のあらすじ

宿敵同士の甲賀と伊賀、和平が将軍の代理戦争によって引き裂かれ殺し合いが始まる
戦いは激化、甲賀はお胡夷が、伊賀は蠟斎・夜叉丸・蛍火が討たれる
東海道中での戦い、甲賀は刑部が、伊賀は念鬼・蛍火・陣五郎が討たれる
伊賀側に現れた思わぬ援軍、甲賀は豹馬が、伊賀は小四郎が討たれる

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