自転車(ロードバイク)を題材に描く、本格派の自転車漫画。
無愛想な部下がひとり、元気な娘もひとり、妻はいない…。
仕事と子育てに忙殺される更科二郎。
その平凡な人生が今、1台の高価なロードバイクとの出会いで変わる…!?
作者自らもロードバイクに跨り、ディテールに拘ったロードレース漫画。
人生に手を抜くことなく、社会への責任をまっとうしようとしている幸薄の主人公が、ロードレースを始めることになって少しずつ才能を開花。
ツール・ド・フランスを最終目標に据え、日本人だけの新チームを結成しますが、集まったのは同じく人生の苦難を経験しているいわくつきの監督や選手ばかり。
スポンサーもおらず弱小チームとしてスタートしますが、どんな逆境にも負けず、絆を深めながら選手として、人間として輝いていく。
そんな物語です。
ストーリー性はちょっとブレたりもしますが、肝心のレース中の描写はリアルで一見の価値あり。
思った以上にサクサク読める作品です。
登場人物紹介
«主人公とそのチームメイト(BLUE SEAGULL)»
・更科二郎…信金勤めのサラリーマン。妻が失踪し、幼稚園児の娘を男手一つで育てている。元山岳部でロードバイクはド素人だが、山岳スキーで培ったスキルをダウンヒルで如何なく発揮する。
・小菅 守…信金に勤める更科の部下。無精髭とテクノカット系の髪形がトレードマークでコミュ障キャラだが、ロードレーサーとしての実力は超一級。信金を退社し自転車に専念してからはチームのエースとなる。
・桜島 一郎…スキンヘッドに薄眉顔という強面の容貌とは裏腹にメンタルが弱いロードレーサー。ストイックで努力を惜しまず、レースの実力と経験も豊富だが、小菅には一度も勝ったことがなく、生き方や実力に試練を受けて苦悩する。チーム発足後はキャプテンを担う。
・車坂 弾吉…昭和風の熱血青年。引き篭もり荒れていたが祖父に諌められ、日本10周の旅に出たことで更生するとともに自転車向きの体型を手に入れる。持久力に優れ、チームでは牽引役を担う。
・半田 勇二郎…半田勇吉(後述)の次男。気性が激しく、親への反抗からロードバイクではなくピスト乗りとしてたびたび喧嘩沙汰や交通トラブルを起こしていたが、更科との勝負に負けてロードレーサーに再転向する。レース経験は未熟だが、脚力やポテンシャルは高い。
・益田・ブルセギン・ヨーコ…チーム発足のきっかけとなった女性。スポンサーや選手を集め、3年で日本からツール・ド・フランスへ出場できるチームを作ろうと画策し、単独挑戦でメンバーをスカウトする。
・比嘉 真吉”MAX比嘉”…チームの監督。海外拠点での実績もあるが、スポンサーの意向と対立するなどして孤立し、資金繰りのために怪しいビジネスに手を染めるなど、業界の評判は悪い。
«主人公をサポートするその他登場人物»
・更科 ふくの…幼稚園に通う更科の一人娘。やんちゃで物怖じしない性格。父親に飛び付いたり、綿谷に朝の挨拶をするときは、全力で腹に突進して息を詰まらせるのが常となっている。
父親への信頼を「パパはかもめぞ」という言葉で表現し、父親が力を振り絞る姿や、トレーニングで傷だらけになっている姿を好む。
・綿矢 真知子…ふくのが通う幼稚園のサブ担任。父子家庭で手が行き届いていないように見える更科父娘を気にかけ、次第に更科に想いを寄せるようになる。
・半田 勇吉…地元の有名企業のオーナー。実力はまったくないもののロードレースが趣味で、金に物を言わせるタイプの性格の持ち主。高価なバイクをいくつも持ち、そのうちの1つを更科が壊してしまったことから更科のロードレースへの道が始まる。息子(勇二郎)の家庭教師と再婚したことから息子がグレる。
・箕輪 章博…元競輪選手で晶の父。自転車店「MINOWA」を経営しており、お得意様である半田勇吉との交渉の流れで更科をロードレースの道へ引き込むきっかけとなった人物。
・箕輪 晶…箕輪章博の一人娘。ショートカットの美人だがかなり気の強い性格。勝てない相手への感情を恋愛感情と履き違える癖があり、興奮するとすぐに鼻血を出す。最初の頃は更科へ恋心を抱いていたようだが、更に燃えさせる小菅を憎からず思うようになる。
・エミール・クリスト…世界NO.1のロードレーサー。スロバキアで差別される民族の血をひくが、それでも実力を伸ばし続けた過去とどんな逆境にも負けない強い精神力を持つ。
・アントン・クリスト…エミールの息子。更科ふくのと同年代で、言葉の壁を越えて仲良くなる。
«ライバルチームと主な選手»
FEH
梶プロの、梶プロによる、梶プロのためのチーム。
・梶 俊一…通称「梶プロ」。自身がオーナー兼選手であり、弟子たちを連れて各大会に出場。「日本のロード界で10本の指に入る」ほどの実力を持ち、勝負の駆け引きそのものにも長ける。更科のダウンヒルを見込んで更科を鍛え上げ、自分のアシストとして引き抜こうとするが、最終的にお互いのチーム吸収を賭けた勝負をする事となる。腎臓が悪く人工透析を受けており、これについて触れられることを嫌う。
YAMATODA
資本力・選手の質ともに日本一を誇るプロチーム。西の横綱。
・吉沢 隼人…チームの新エース。U-23全日本ロードで優勝経験をもつ。
・前島 邦彦…長年チームを支えてきた大黒柱。
GUNMA
群馬を拠点とするプロチーム。
・赤城 一美…チームのWエースの一人。一葉の兄だがしょっちゅうケンカする。
・赤城 一葉…チームのWエースの一人。一美の弟だがしょっちゅうケンカする。
GUNLAP
東の横綱。
・松本 真…ベテラン。
・東野 康介…元学連チャンプ。自己主張が強く、チーム内では嫌われがち。
・田中 純…タイムトライアル優勝経験を持つ。
ギアマン
・浦霞 大吾…イタリアのチームで活躍していたプロ。ツール・ド・北海道優勝経験を持つ。3年前のレースでは梶プロと因縁がある。
・南部 裕幸…イタリアのチームで活躍していたプロ。ツール・ド・北海道優勝経験を持つ。浦霞とペアを組んでおり、スーパーアシストに徹する。
MITUWA
海外レース中心に各国の選手をそろえるチーム。
・マリオ・ジロッティ…勝負強いエース。
・チャン・ガンホ…スプリントに定評がある。
・佐川 遼太…直情型だがパワーなら外国人にも負けない。
MACH
若手を中心に安定した成績を収めるクラブチーム。
・池ノ内 順…自称イケメンのエース
«その他登場人物»
・砂場…更科にライバル心を燃やす銀行マン。ライバル心を燃やすあまり自分もロードバイクを購入して張り合うが、残念ながら才能が開花することはなかった。
・ロッキー・クリスト…エミールの兄。ドラッグの常習者。