自堕落な日々を過ごしていた主人公“伊藤開司”(通称カイジ)が、大手金融業者の「帝愛グループ」多額の負債を抱えたことをきっかけに、借金の完済と人生の一発逆転を目標にアングラで行われる様々なギャンブルに挑んでいく青年漫画。
前作では帝愛グループの裏カジノの店長・村岡との変則二人麻雀「17歩」の勝負で、味方の裏切りに合いながらも逆襲に成功し、4億8千万円もの大勝を収めたカイジ。
勝負の途中から観戦に来ていた兵藤会長の息子・和也から「もう一勝負」を挑まれ、それを受けてたつ―。
言わずと知れた大人気漫画の第4作です。
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
和也に敗れ命を落とした者たちの墓
変則麻雀で300万円を元手に4億以上もの大金を得たカイジ。
その腕に目をつけた帝愛・兵藤会長の息子である和也から勝負に誘われ、限界まで上り詰めるためにその勝負を受けることを決意する。
〈和也に勝って限界まで上り詰める…! [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
和也はそんなカイジをとある場所に連れていく。
そこは墓地であり、なぜかカイジの墓が既に用意されていた。
〈和也に敗れた者たちの墓場 [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
もし金を返せなかったときは身体を切り刻まれることになるが、そんな場合でも問題なく死亡として処理できるよう、万全の体制が整っているようである。
「葬儀をすっ飛ばして火葬を希望する」という旨の同意書も和也は準備していた。
つまりこの墓場はそんな和也の遊びに巻き込まれて命を落としていった多種多様な者たちが眠る場所。
最も若くて15歳、和也によれば生意気な元同級生だったらしい。
墓地に眠る30名ほどの仇を討つため、カイジが立ち上がるのだった。
〈いざ敵討ちへ [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
連れていかれた先は会員制のレストラン
和也がカイジを連れて行ったのは貸し切りの会員制レストラン。
レストランの真ん中はマジックミラーで仕切られており、その向こうで行われる残虐なショーをVIPたちが楽しむ場所であった。
〈会員制のレストラン [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
良心からショーを見たがらない客の為に壁向きの席も設けられているが、ショーが佳境に入ると全員興味をそそられて結局はショーに夢中になるという。
悪趣味ぶりから和也を激しく敵視するカイジ。
あくまでも借金を一発で完済するチャンスと希望を与えているだけで、負けたときの残酷な結果もみな説明し承諾を取っているというのが和也の主張だが、追い詰められた人間には結局それを選ぶしかない。
そして今日も、和也に追い詰められた者たちによるゲームが始まるのだった。
小説家に生きがいを見出していた和也
金で人の命を弄ぶ和也だが、それも絶大な富と権力を持つ父の影響が生立に影響していた。
〈孤独に絶望して育った和也 [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
誰もが金目当てですり寄り、人の真意がまったくわからない中で育った和也。
真に友人と呼べる者はおらず、ただ豪勢な生活で意味もなく生きる日々。
そんなある日和也は小説で自分の作家としての才能で挑戦することに生きがいを見出す。
小説への評価であれば父の権力は関係なく、自分の力を試すことができる―。
〈小説に見出した生きがい [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
「愛よりも剣」と題して出版したその小説は、文章は稚拙ながらも異様な迫力とリアルさで読者を引き込んでいくのだった。
和也の小説「愛よりも剣」
小説のストーリーは単純。
とある暴力団の組長がクラブで気に入った亜理沙という女のもとに通いつめ、金とプレゼントを貢いで自分のものにしようとするが、その亜理沙は最後の最後で金を持って彼氏である達也というイケメンと駆け落ちしてしまう。
〈駆け落ちしたカップル [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
嫉妬と怒りに狂った組長は2人を捕え、2人の愛を試す残酷なゲームに挑戦させることに。
2人それぞれを箱の中に拘束し、各所に空いた穴を交互に選択して剣を刺していくというゲーム。
2人の箱にはともに足部分に2箇所、胴部分に5箇所剣を刺す穴があり、そのうち合わせて9か所には鉄板が入っているため、剣を刺しても無事。
9本の剣全てを鉄板入りの穴を指定することができれば2人とも無傷で終わるが、鉄板なしの穴を選べば当然体に刺さり、足の場合は大ケガ、胴の場合は死のリスクが高まるというもの。
〈愛が試されるゲーム [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
泣きながら助けを乞う亜理沙と達也だが、組長の決意は固く、このゲームに臨むしかないのであった。
愛が崩れていくリアルさ
亜理沙の前で漢気を見せる達也は、自らの穴を指定することを亜理沙に指示。
〈漢気を見せる達也 [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
亜理沙は達也の右足の穴を宣言し、1本目は鉄板があったためセーフとなる。
2番目、達也は自分の左足の穴を選択すると、そこに鉄板は無く剣が足に刺さった。
痛みに悶える達也、ここから次第に2人の愛は崩れていく。
3番目、亜理沙は達也の胴を指定すると、達也はさすがに亜理沙の軽薄さを非難する。
〈2人の愛が崩れていく [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
刺されば死んでもおかしくない恐怖の中、鉄板で事なきをえた達也。
4番目には達也が亜理沙の足を選択し、剣が亜理沙の身体に刺さった。
ここからはもう愛ではなく、互いに互いの身体を選び合う地獄絵図となるのだった。
〈亜理沙にも剣が [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
死への恐怖と復讐心が愛に勝つ
ゲームは佳境、残る8つの穴のうち即死に繋がる穴は2つ、そして残りの剣は3本。
生存の可能性が見えてきた2人だが、ここで亜理沙はとあることに気づく。
片方が死んだ場合、その死体に残りの剣を刺すことができる―。
〈自分の生存を優先する亜理沙 [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
それを聞いた亜理沙は自分がこれ以上傷つかないために達也に死んでもらう覚悟を固め、残りの自分のターンである2本の剣を同時に使うことを組長に依頼する。
組長も一度は愛した女の頼みとして特例を認め、亜理沙は達也の胴2か所を指定。
〈達也に2本同時に剣が… [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
うち1本が鉄板に防がれるが、もう1本は達也の胴に刺さり、致命傷を与えた。
しかしゲームはこれで終わらない。
死にゆく前に達也は、残り1本を自分に使うのではなく報復として亜理沙の胴に刺すことを宣言。
〈死にゆく達也に最後の選択が… [賭博堕天録カイジ和也編 1巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
2人の愛は証明されなかったのだった。
【1巻のまとめ】
帝愛の兵藤会長の息子・和也と、負ければ命を落とすリスクのある大勝負に臨むこととなったカイジ。
まず会員制のレストランに連れていかれ、そこで行われる残酷なゲームショーを見せられることとなる。
和也は金で人の命を弄ぶことに快楽を覚えながらも、絶大な富と権力を誇る父の影響力に幼いころからまとわりつかれ、小説家として自分の才能で挑戦することに生きがいを見出していた。
その小説「愛よりも剣」では稚拙な文章ではあるものの、残酷なゲームに臨むこととなったカップルの愛が壊れ人間の本性が暴かれるリアルで迫力のある展開が描かれているのだった。
次巻へ続きます。
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