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前巻はこちらてんかんを抱えながらの出産、予防接種をめぐる医療不信『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』6巻【ネタバレ注意】
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第7巻では、予防接種講習会の開催、市販薬の依存問題、そして瀬野の過去が明かされるエピソードまで、薬剤師としての「信念」と「現実」が激しくぶつかり合います。
みどりだけでなく小野塚や瀬野の姿を通じて、薬剤師という職業の誇りと苦悩が重層的に描かれた読み応えのある一冊です。
講習会が揺るがした「思い込み」
前巻から続く予防接種をめぐる問題は、一般向け講習会の開催というかたちで大きく動き始めます。
芳村の娘の水ぼうそう疑いが陰性と判明し、医師・久保山の患者を第一に考える姿勢に触れた芳村は、少しずつ医療への向き合い方を変え始めていました。
講習会当日、夫婦で会場を訪れた芳村の姿にみどりは喜びますが、影響力を持つ元薬剤師の川瀬も参加したことで場に緊張が走ります。
みどりが実例を交えた丁寧な説明を続ける中、質疑応答で川瀬は「予防接種は義務ではない」と発言し、場の流れを変えようとします。
しかしみどりは、元薬剤師でありながらその役割を放棄した川瀬の姿勢をはっきりと否定しました。
帰宅後、芳村は自然派グループと距離を置くことを静かに決断します。
その表情は、長く心にかかっていたものが取れたような穏やかさをたたえていました。
理想を持って動くことの難しさ
講習会の成功に手ごたえを感じたみどりたちは、今後も継続的に開催し学術大会での発表を目指すことを話し合いました。
一方、ナカノドラッグに戻った小野塚は早速掲示物を作成するなど意欲的に動き始めますが、売り上げにつながらないとしてエリアマネージャーには評価されません。
さらに客の状態に合わせて本部方針とは異なる薬を勧めた判断も、やはり受け入れてもらえませんでした。
理想を持って行動したことが組織の壁に阻まれるという現実は、薬剤師に限らず多くの読者に刺さる場面です。
市販薬の依存という見えにくい危機
そんな中、小野塚は大量の風邪薬をカゴに入れた青年・織部に気づきます。
受験勉強のために大量の薬を服用して覚醒状態を維持しようとしていた織部は、効果が薄れてきているにもかかわらず自身の依存状態を認識していませんでした。
購入に確認が必要になった織部が万引きを試みたことで事態は発覚しますが、エリアマネージャーはすぐに返そうとします。
小野塚はそれを阻み、織部の依存状態を指摘した上で、その苦しい心情にも寄り添う姿勢を見せました。
売り上げしか見ないエリアマネージャーへの怒りが爆発した小野塚でしたが、すでに退職を決めていた彼女にとって、それは薬剤師としての矜持を貫いた行動でした。
市販薬の依存という社会的に見えにくい問題を正面から描いたこのエピソードは、本巻の中でも特に印象的な章のひとつです。
瀬野の過去が語る「信念を持った薬剤師」の姿
みどりたちが自分たちの未熟さを悩んで瀬野に打ち明けると、瀬野はかつて研究から臨床に転じて萬津に来た頃の話を語り始めます。
時代は薬剤師の積極的な医療介入を求めていましたが、現場の意識はまだついていけていませんでした。
そんな中、上の方針に逆らってでも頻繁に病棟へ出向き続けた先輩薬剤師・陣の姿が描かれます。
抗がん剤の新薬が過熱した報道とともに広く処方されるようになると、陣は科長や医師たちと対立しながらも処方の見直しを迫りました。
その後、重篤な副作用による死者が相次いで陣の判断が正しかったと証明されたものの、院内の方針に従わなかった陣は退職を余儀なくされます。
陣が担当していた病棟を引き継いだ瀬野は、その経験の中で「頼られる薬剤師」として鍛えられていったのでした。
みどりに「理想とする薬剤師像は何か」と問われた瀬野は答えません。
ただ、瀬野の傍らには島でひとり薬局を開いた陣の雑誌特集が開かれていました。
その沈黙が、多くのことを語っています。
【7巻のまとめ】
『アンサングシンデレラ』第7巻は、信念と現実がぶつかり合う場面が続く、シリーズの中でも特に読み応えのある一冊です。
講習会での対決、市販薬依存の問題、そして瀬野の過去と陣の生き方まで、薬剤師としての在り方を多角的に問いかける内容が続きます。

ぜひ続きの第8巻と合わせて読み進めてみてください。
次巻へ続きます。
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