宮城県仙台市に住む高校生・宮本大は友人の勧めで初めて訪れたライブハウスでジャズの演奏に心を打たれ、サックスプレーヤーを目指すことを決意。
「世界一のジャズプレーヤーになる」という夢に向かい、兄・雅之がローンを組んでプレゼントしてくれたサックスで毎日学校帰りに河原で練習し続けた大は、ジャズバーのマスターから音楽教室の講師:由井を紹介される。
音楽で人を圧倒できる才能を大に見出した由井は、世界一のジャズプレーヤー「ブルージャイアント」になれると信じて厳しいレッスンを課し、大もそれに応えてメキメキと上達していった。
高校卒業後は本気でジャズの世界に進むために東京へ進出した大は、同じく東京の大学に進学した親友の玉田の家に間借りしながら、ゼロから新たな生活のスタートを切った。
そしてサックスを修理に出す間立ち寄ったジャズバーで、大は同じ年代の天才ピアニスト・沢辺と運命的な出会いを果たし、初心者ながらも音楽への興味が芽生えた玉田をドラマーとしてバンドを組むこととなる。
大・沢辺・玉田による3人のバンド「THE JASS(ジャス)」は少しずつ確実にファンを増やしていき、そして沢辺に目をかけていた有名ギタリストの川喜田の手助けもあって着実に知名度を上げていった。
そして沢辺は「10代のうちにSo Blueのステージに立つ」という秘めた夢を実現させるために川喜田を通じてSo Blueの支配人・平とコンタクトを取ることに成功した。
平に直接ライブを見てもらい、自分たちを売り込もうと躍起になる沢辺だが、平が沢辺にかけたのは厳しい評価。
平に指摘された通り、沢辺は自分をさらけ出すソロ演奏という壁に苦しみながらも乗り越える。
そして玉田もソロ演奏ができるレベルにまで達し、とある小さなジャズフェスティバルでも観客を魅了したJASSは着実にファンを増やしていった。
そんなある日、So Blue支配人の平は若者にステージに立つチャンスを与えることを考えていたところに急遽代役のピアニストを探さなければいけなくなり、悩みの末に沢辺にオファーを出した。
大や玉田を差し置いて一足先にSo Blueのステージに立つこととなった沢辺。
平に叱咤されたときから心を入れ替え、夢の舞台へと臨むのだった。
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
夢の舞台に立った沢辺
幼いころから夢見た舞台に、緊張とともに上がる沢辺。
多少のミスはあれど、世界レベルのプレーヤーと共に演奏する。
そして沢辺のソロ、「最後かもしれない」という気持ちで望み、自分をさらけ出す演奏を見せる。
〈夢の舞台で渾身のソロ [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
ライブは見事成功を収め、終了後はトイレで一人安堵の涙を流す沢辺。
そして沢辺の見事な演奏を見届けた平も、今度はJASSとしてステージに立つ機会を与えることを明言したのだった。
〈JASSの出演を平が名言した [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
JASSのSo Blue出演が決まる
So Blueのステージに立った10代のピアニストとして雑誌にも載り、一気に名が売れた沢辺。
そして平が正式にJASSに出演のオファーを出す。
〈正式なオファー [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
1日2公演のみの短い機会とはいえ、沢辺たちの夢が叶ったのである。
平は関係者たちにライブを宣伝して集約に乗り出し、沢辺も大と玉田に報告する。
沢辺からSo Blueでライブをすることを聞いたアキコは、ずっと大たちを信じて店を練習場所に提供し続けた自分が間違っていなかったと知ってうれし涙を流した。
〈見守り続けたアキコの涙 [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
そしてSo Blueでの沢辺の確約を同じく見ていた21ミュージック社の五十貝はJASSのCDデビューのために奔走し、So Blueでの手ごたえを条件としてCDのリリースの話も内定した。
夢に向かってすべて順調、しかしそんな矢先に思わぬアクシデントが起きてしまうのだった。
〈CDデビューも内定するが… [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
沢辺を襲った不慮の事故、大と玉田だけでライブへ
道路の交通整理のバイトをしていた沢辺に居眠り運転のトラックが突っ込み、重傷を負った沢辺が救急搬送された。
〈沢辺が交通事故に遭ってしまう [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
手術で一命はとりとめたが、利き手である右手は切断が必要かもしれないほどの重傷。
ライブどころか音楽生命も絶たれかねない事態となり、その報せを受けて言葉を失う大と玉田。
〈沢辺は重傷 [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
どうしてこんなことに…。
玉田が呆然とする一方、大は強い決意と覚吾で玉田と2人だけで練習を始める。
平にも沢辺が事故に遭ったことを伝えたうえで、2人だけでの出演を強行することを告げる。
〈2人だけでライブへ [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
沢辺目当ての客には残念な知らせを伝えなければならず、客入りも減るが、それでも2人だけでステージに上がることを決めたのだった。
気丈に演じきった大と玉田
ライブの直前に平からアナウンスで沢辺が事故に遭ったことが告げられ、ざわめきが起こるなか大と玉田がステージに立つ。
〈ざわめきの中、2人だけで登場 [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
頼れる沢辺がいない、2人だけのライブ。
それでも大と玉田は全力を出し、大たちを知らない観客は湧く一方、出演が叶わなかった沢辺を知る者たちは涙を浮かべる。
〈全力を出し切った [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
観客たちからは励ましの声がかけられるなか、大は最後まで堂々と演じきるのだった。
JASS、解散
ライブが終わり、入院中の沢辺を見舞いに訪れる大と玉田。
右腕はまだ動くかどうかわからない状態。
〈沢辺が解散を切り出す [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
沢辺は自らJASSの解散を申し出、少し間をおいて大は解散を受け入れる。
動揺する玉田だが、成長し続ける大を止めてはいけないという沢辺の思いやりを知り、解散が決まった。
沢辺は世界一のサックスプレーヤーに大がなれると信じ、「またいつかやろうぜ」と告げる。
〈玉田も身を引く [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
見舞いからの帰り道、玉田も沢辺の気持ちを尊重しつつ、自分も充分にやりたいことができて満足したと、大とのコンビを解消することを宣言する。
ひとり帰宅した大は、3人で舞台に立てなかった無念さ、そして沢辺と玉田から「解散」という言葉を出させた自分の卑怯さを抱えて泣くのだった。
〈ひとり泣く大 [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
ヤケ酒で気持ちの整理をつける大
気持ちの整理がつかないまま一人で飲み屋でヤケ酒をあおる大は、そこでガラの悪い客に絡まれ、そのまま喧嘩騒ぎを起こしてしまう。
〈喧嘩沙汰を起こして警察と兄の世話に[BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
事情聴取のために警察へ連行され、翌日には保護者として兄の雅之が仙台から駆け付けた。
幸い起訴はされず、雅之はそのまま大を連れて説教もせずに飲みにつれ出す。
兄に支えられて少しずつ状況や気持ちを吐き出していく大。
〈気持ちに整理がつく [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
その日は結局大が飲み潰れてしまうが、海外に行く決意を固め、世界一になったら兄にポルシェを買うと宣言するのだった。
由井のアドバイスでヨーロッパを目指す
海外に行くためのアドバイスを求めて、仙台の由井を訪ねる大。
〈由井にアドバイスを乞う [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
世界中から腕のある若者が集まる王道は由井も若い頃に門を叩いたアメリカ・ボストンにあるバークリー大だが、大はアメリカは最後のゴールにしたいと言う。
由井が勧めたのは、ジャズに対して寛容で客もプレーヤーも熱い場所とされる、ヨーロッパのとある国。
玉田や沢辺に背中を押され、大は愛用のサックスと最低限のモノ、カネだけで世界へ旅立つのだった。
〈日本から旅立つ [BLUE GIANT 10巻](c)集英社/古舘春一〉
ボーナストラック
由井:仙台の川原で大の練習を見たときの思い出を語る。世界的なプレーヤーに上り詰めた大のことを「最高だと思うけど、ボクの方が上。あいつはまだまだ青い」と冗談交じりに答えている。
【10巻(完)のまとめ】
夢のSo Blueでプレーし、ライブを成功させた沢辺。
新星ピアニストとして一気に名が売れ、大たちとのバンドTHE JASSもついにSo Blueのステージに立つチャンスを掴んだ。
しかしこれまでの努力が報われ夢の実現に向けて全てが順調と思われた矢先、沢辺が交通事故に遭い音楽生命すら危うい重傷を負ってしまう。
大と玉田は2人だけでライブ出演を強行、悲痛な思いに包まれながらも気丈に、堂々と演じきった。
そして大が世界一になるために足止めさせてはならないと覚悟した沢辺と玉田が身を引く形でTHE JASSは解散。
無念さを押し殺して気持ちの整理をつけ、世界進出を見据える大は、由井のアドバイスを受けてヨーロッパのとある国に旅立つのだった。
次巻へ続きます。
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参考ジャズに全てを懸けた青年の物語に心打たれる『BLUE GIANT』全10巻【ネタバレ注意】
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