父に虐待され、母は薬物中毒で入院。
幼くして入所した児童保護施設でも性のトラウマを抱えながらも、ヤクザの所沢との出会いをきっかけにプロボクサーとなったリク。
目標は所沢が現役時代に持っていたOPBFのチャンピオンベルト。
幼少期のトラウマをバネにプロとなったリクは新人王戦の2回戦でライバルとなる同世代の天才ボクサー兵動から大金星を挙げて躍進。
同じライト級の三原や王者の椿らに合同合宿にも誘われ、ボクサーとしての輪も広がっていき、さらにハードパンチャーのガーベラにも勝ったことで日本ランク入りを果たした。
プライベートでは高校3年を迎えたリクは同じ施設で育った苗代との同棲生活に向けて自分の気持ちを見つめなおしていく。
その頃、所沢も手下の罪を庇って逮捕され、拘留されている間に自分の今後の人生についてある決心を固めた。
リクは三原の妹であるナズナと出会い、その同僚である伏黒と対戦。
伏黒の師匠である柳は馬場ジムで問題を起こして出ていった因縁のある相手である。
ポイントでリードする伏黒だったが、リクの闘志に応える形で打ちあいとなり、終了間際にリクが逆転TKO勝利を飾った。
続く試合では三原がベルトを賭けて元OPBF王者の柳に挑む。
格上の相手に果敢に攻める三原だが、打ちおろしを被弾して左目が完全に塞がってしまう。
しかしリクが機転を利かせてドクターチェックをすり抜け試合は続行。
失明するリスクを犯してでも三原は攻め続け、ついに柳からダウンを奪うのだった。
10巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
三原の夢、潰える
ダウンを奪い、ベルトまであと一歩のところまできた三原。
立ち上がった柳は足に来ている。
そのまま全てを投げ出して攻めるが、柳のカウンターをもらったところでレフェリーストップ。
〈三原がTKO負け [リクドウ 10巻](c)集英社/松原利光〉
三原は柳にベルトを奪われ、夢は潰えた。
リクの目標
三原の敗戦後、ナズナは兄の危険な戦い方を後押ししたリクを責める。
リクは三原の敗戦に悔しさを噛み殺し、いずれ柳から日本王者のベルトを奪取してそのまま椿とOPBFのベルトをかけて対戦することを目標とするのだった。
メインイベントのOPBFタイトルマッチでは、椿とランク1位のペドロガルシアが対戦する。
椿は三原の無念を晴らすかのように1Rで相手を瞬殺し、OPBF王者となった。
〈椿が相手を瞬殺 [リクドウ 10巻](c)集英社/松原利光〉
リクに感謝する三原
病院に担ぎ込まれた三原は一命をとりとめるが、かなりの重傷。
それでも見舞いに来たリクには携帯で「あやまったら殺す」と示す。
戦い抜いた三原に後悔はなく、むしろ背中を押したリクに感謝していた。
〈三原に後悔はない [リクドウ 10巻](c)集英社/松原利光〉
所沢からのアドバイス
リクが卒業式の日を迎える。
と、式に遅れていったリクの前に所沢が姿を現す。
次の戦いの舞台はチャンピオンカーニバルへの挑戦権を賭けたA級トーナメント。
これからのリクを育てるためにはトレーナーを増やさなければならない、というところでタイミングよく所沢も関わりだす。
幼いころにパンチを教わって以来の腕試し。
〈所沢との力試し [リクドウ 10巻](c)集英社/松原利光〉
リクは8年間のすべてを乗せてパンチを放つが、所沢は容易くカウンターを合わせ、「もう数ミリ頭を下げろ」とアドバイスを送った。
リクと苗代はこうして卒業とともに施設からも退所し、所沢もまたリクの拳を受けて何かを決心したような様子なのだった。
苗代との家族生活
清掃業の会社に就職し、社員寮(事故物件)で苗代と同棲を始めたリク。
苗代もまた看護学校へ通いつつバイトでリクを助ける。
二人きりの部屋で生活することとなるが、リクの抱える性のトラウマを乗り越えるにはまだ時間がかかりそうだ。
布団の中で震えるリク。
しかし苗代といるとどこか安心する。
〈苗代との同棲が始まる [リクドウ 10巻](c)集英社/松原利光〉
リクも苗代も、家族というものを感じ始めていた。
所沢がヤクザを抜ける
所沢がヤクザから足を洗う決心を固めた。
所持品をすべて売り払って手切れ金とし、組長に土下座しながら足抜けをお願いする所沢。
〈所沢がヤクザから足を洗う [リクドウ 10巻](c)集英社/松原利光〉
組長は所沢に右手の指をすべて自分で斬り落とすよう命じる。
覚悟のうえで所沢は右手の指に小刀の刃を押し付けるが、ボクサーを育てるという自分の夢が邪魔をし、どうしても指を切ることができない。
組長はその所沢の葛藤を見抜き、親心から所沢の脱退を認めるのだった。
A級ボクサーたちが注目する神代
A級トーナメントには名だたるボクサーが名を連ねる。
タイで16歳でプロデビューし、マイナー団体とはいえアジア地域のタイトルの1つを手に入れた神代晴司(かみしろせいじ)もその候補者の一人。
〈神代晴司 [リクドウ 10巻](c)集英社/松原利光〉
神代のA級デビュー戦となるノンタイトルマッチにはリクや兵動をはじめとする他のトーナメント出場者らが招待され、1つ下の階級であるSフェザー級のOPBF王者、小森も激励の挨拶に来た。
神代の相手はWBC日本王者である林田であり、小森に挑戦するための調整試合である。
しかし、型破りな神代は激励しに来た小森にローブローをかまし、観衆をざわつかせる。
〈激励に来た王者にローブロー [リクドウ 10巻](c)集英社/松原利光〉
果たして神代の実力は―。
【10巻のまとめ】
三原は惜しくも柳に敗れ、柳が日本の王者に。
三原の先輩分の椿はOPBF王者となり、先に前へと進む。
リクは三原の敗戦に悔しさを噛みしめながらも、チャンピオンカーニバルへの挑戦権を賭けたA級トーナメントへの出場が決まった。
プライベートでは苗代と同棲をはじめ、所沢もヤクザから足を洗う。
A級トーナメントにはどんな戦いが待っているのか。
リクと同世代にしてアジアのタイトルを持つボクサー、神代の試合に注目が集まるのだった。
次巻へ続きます。
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