冴えない漫画家の鈴木英雄は再デビューを目指しながら悶々とした日常を送っていた。
唯一の癒しは恋人の黒川徹子(てっこ)の存在だったが、全国的に「噛み付き事件」が多発し、街にZQNと呼称されるゾンビがあふれ出したことで状況は平穏な日常が一変する。
てっこもZQNとなって英雄に襲い掛かり、英雄はやむなく自らの手でてっこを殺した。
ZQNのパニックが拡散する中、逃げ惑う人々は、数か月前からYoutuberとして新たな時代の覇権をとるために活動している「来栖」という人物を救世主として頼り始め、熱狂的な信者が増えていく。
他方、趣味である猟銃を手に逃げる英雄は逃げ延びた富士の樹海でいじめられっ子の女子校生・比呂美と出会うも、避難した先の神社でもZQNが発生し、赤ん坊のZQNに襲われた比呂美も感染してしまった。
しかし比呂美は完全にはZQNになってはいないのか、なぜか英雄のことは襲わず、幼児のように知能が退行しているものの時々言葉を発する様子であり、うまくいけば人類の希望になる可能性を秘めていた。
移動しながら逃げ延びる英雄は、御殿場のアウトレットで小田 つぐみという元医療従事者の女性と合流し、比呂美を検査・治療できる病院を探して東京方面を目指す。
同じころ、埼玉県久喜市ではクルスが右腕的存在の毅らと共に、救助を求めるネットユーザーを助けながら勢力を拡大させていた。
実家に引きこもっていた江崎 崇も助けられクルス一派に加わった1人。
ZQNによって囲まれた実家から脱出を果たした江崎は、毅に連れられて撤収し、日の出を待つまでの間川辺の高架下で一夜を明かすこととなるのだった。
11巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
クルスのアジトに合流
毅と共に橋の下で一夜を明かした江崎。
毅はZQNたちが生活習慣に沿って動きを活発化させる前にアジトへと急ぐ。
見張り役に合図をし、感染チェックのしりとりと3時間の拘留という入念なチェックを通ってアジトにたどり着いた。
そこにはクルスのもとに集まって生きる中学生の男女(春樹とキズキ)や性同一性障害の女、参謀役の苫米地(とまべち)、家事全般担当のおばちゃんが、そして見張り小屋には羽生兄妹が身を潜めていた。
江崎を助けるために行動していた外国人のダニエリは運悪く逃亡に失敗して感染し、クルスによって殺されていた。
江崎はここでクルスたちと共同生活をすることになるのだった。
ZQNたちが大移動している?
苫米地がネットなどで情報を得ながら冷静に状況を分析し、ZQNたちが極めてゆるやかに南を目指して移動していることを発見する。
その他にも民家の中に実験用のZQNを拘束しており、苫米地はZQNの心臓は動いていないのに皮膚感覚や生殖器が生きていることなどを確かめていた。
ZQNたちが何を目的に大移動しているのか、死んでいるZQNが何を産み出すつもりなのか、それは苫米地にもさっぱり見当がつかないのであった。
東京で生き延びていた中田との無線交信
ある日、苫米地が持っていた無線に他の生き残りから交信が入った。
交信の相手は東京都豊島区の高層ビルの最上階で生き延びていたという中田(英雄と同じ漫画家の中田コロリ)。
中田からの情報で豊島区も壊滅状況にあり、さらに生きている人間の中にも暴徒化した者がおり危険な状況という。
警察や緊急車両のサイレンも止み、街は不気味な静寂とZQNの群れに支配されているらしい。
苫米地は自分たちがクルス一派であることを明かし、中田と定期的に交信して情報を交換することにするのだった。
離脱を画策する羽生兄妹と江崎
ZQNたちの活動が静かになる夜、毅は江崎にあるミッションを与える。
それは50m先の見張り小屋にいる羽生兄妹に晩飯と武器を渡して戻ること。
ZQNに見つからないよう、万が一見つかったら仲間を巻き添えにすることのないよう厳命が下り、恐怖と緊張のなか江崎が見張り小屋を目指して歩き出す。
見張り小屋に招き入れられた江崎は羽生の妹である富貴子に一目惚れしながらも武器と食糧を渡した。
しかし羽生兄妹は江崎から情報を得つつ、クルス一派から離れて東京を目指す考えているようだ。
江崎は記憶を頼りに近くに船があることを思い出し、用水路から川へ出られるかもしれないと提案。
羽生兄妹は「絶対に秘密に」と釘を刺したうえで江崎を一緒に逃げる仲間に誘う。
ひとまずアジトに戻った江崎は、毅たちに問い詰められながらも誤魔化しとおすのであった。
はぐれた家族を探し、中学校に偵察に行くことに
近くの中学校に避難した家族の安否が気になるキズキと、キズキのために行動を起こそうとする春樹。
ネットには「久喜第三中学に大勢が立てこもっており、食糧もあって安全」という書き込みがあった。
冷静な苫米地はそれ以降書き込みが無いことから既に壊滅している可能性が高いと踏むが、キズキと春樹はなかなか納得しない。
毅の提案で久喜第三中学に偵察部隊を出すこととなり、翌日の決行に向けて準備を整える。
ZQNと戦闘になったときに躊躇なく戦えるよう、江崎・春樹・キズキの3人はZQNの練習台で人体を刺す感覚を覚えこまされることになるのだった。
【11巻のまとめ】
クルスのアジトで中学生の男女(春樹とキズキ)や性同一性障害の女、参謀役の苫米地(とまべち)、家事全般担当のおばちゃん、見張り役の羽生兄妹と合流した江崎。
東京で生き残っていた中田コロリと無線で交信することに成功する一方、江崎は秘密裏に羽生兄妹と共に離脱することを画策する。
そんななか、避難した家族の安否が気になって仕方ないキズキを納得させるため、毅の提案で中学校に偵察に出ることになるのだった。
次巻へ続きます。
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