プロ野球のスパイダースに所属する凡田夏之介は、プロ8年目で年俸1800万円の中継ぎ投手で、プロ野球選手としては決して一流とは言えない選手。
そんな凡田が「グラウンドには銭が埋まっている」略して「グラゼニ」を胸に、プロ野球選手としての生活に励む―。
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
一流でないプロ野球選手の凡田
高卒でプロ入り8年目、神宮スパイダースで左投げ中継ぎ投手の凡田夏之介は、独身で現在年収1800万円。
今日もブルペンコーチの迫田の指示で肩を作ったりしながら戦況を見る傍ら、趣味でもある選手名鑑に目を通して対戦相手のプロフィールや年棒に目を通す。
自身の年俸は一流と呼ぶには遠く、「グラウンドには銭が埋まっている」という格言のもと、凡田は現役でいるうちに稼ぐことを考えている凡田。
この日の試合、凡田の相手打者は代打の代打で出てきたノンプロからプロ入りして4年目の土井。
年俸は700万で子供は2人おり、対凡田でわざわざ代打に選ばれたことから、土井にとっては結果を出さなければならないプレッシャーが重くのしかかる場面。
それでもプロとして生きるために金を稼がなければならないのは凡田も同じ。
バントに失敗してあがったファールフライを凡田がダイビングキャッチし、この1打席で結果が残せなかった土井は翌日2軍に落とされてしまった。
それは裏を返せば、凡田程度のピッチャーが打てないなら一流のピッチャーならなおさら打てない、という評価が下されたということ。
プロの世界はかなりシビアな世界なのであった。
解説者としてギリギリの先輩・徳永
9回表、左のワンポイントで投入された凡田は年俸2億の4番打者を相手に、ヒット1本で勝ち越しを許してしまうピンチの場面を迎える。
このプレッシャーのかかる局面で打者を打ち取り、試合は9回裏にスパイダースがサヨナラ勝ち。
これが査定にプラスに働くことを喜ぶ凡田は、試合後に先輩で選手を引退し野球解説者になった徳永に声をかけられる。
選手としてはパッとしなかったものの、人当たりのよさとキャラでラジオの解説者に転身した徳永は、解説者として数字を取るために必死。
次の自分の解説の日の試合でスパイダースの先発投手が誰になるか全くわからない状況で、徳永は試合をシミュレーションすべく凡田から情報を探ろうとする。
凡田から先発投手がチーム内でもまだ決まっていないことわ知った徳永は、可能性のありそうな選手のうち1人を勘で選んで取材。
現役時代には自分に色々世話してくれた徳永が、現役時代の散財のせいでほとんど金がなく解説者として必死になっている様子を見て、引退後に向けて現役のうちにできるだけ金を稼ぐべきと再認識する凡田。
結果、徳永の先発予想は完全に外れてしまったものの、ケガの巧妙か、凡田が先発に指名された。
同郷で現役時代から凡田と深い仲だった徳永は、その日の凡田の調子を見抜いて試合の流れをバシバシ言い当て、解説者として次に繋げるのであった。
年俸を意識しすぎる凡田の悪癖
迫田コーチは、凡田が年俸が自分より下の打者にはめっぽう強いものの、自分より少し上の5000万くらいまでの打者にはことごとく打たれる傾向にあることを見抜く。
1億を越えると雲の上の存在になって開き直れるものの、格下には見下して強気に、格上には萎縮してボールのキレが悪くなる欠点があった。
迫田コーチは選手名鑑の読みすぎを指摘し、格上に打たれたらダッシュの罰を与えることを決定。
それでも凡田は格上にポテンヒットを許し、自分と同じ年俸の相手は打ち取ったゴロを巡ってアウトかセーフか両チームが大揉めする、いわば引き分けの結果に。
凡田が投手として大成するためにはこの欠点を直さなければならないのであった。
数少ない友人は同期で先発投手の渋谷
プロの世界では友人と呼べる存在は限りなく少ない。
学生時代の友人とは収入や世界の違いから話は噛み合わなくなり、同期として入団した先発投手の渋谷が価値観の合う存在。
このシーズンでは渋谷はことごとく球界を代表するエースたちと投げ合っては敗れ、3試合とも1失点完投しながらも0勝3敗という不運な入り方をしていた。
この日もまた絶対的なエースとぶつかった渋谷は、粘りながら6回を無失点に抑える。
味方打線も2点取ってリードするものの、7回にはツーアウト満塁のピンチを作ってしまった。
スパイダースはここで凡田にピッチャー交代。
友に念願の勝利を与えるために気合いが入る凡田がピンチを凌ぎ、チームも追加点をあげる。
しかし9回に守護神の瀬川が打たれて逆転を許し、その裏にチームがサヨナラ勝ち。
渋谷の勝ち星は消えてしまったが、チームの勝利を喜ぶ気持ちに嘘はないのであった。
山梨県人会の弟・大野
スパイダースの山梨県人会は、徳永と凡田、そしてレフトのレギュラーである3年目の大野の3人で構成されている。
大野は今シーズンから背番号「3」をつけ、年俸も凡田を上回るほど期待されている若手ではあるものの、最近はそれがプレッシャーになったのか、調子を落としている様子。
徳永はそんな大野にあえてさらにプレッシャーをかけ、吹っ切れた大野はホームランを狙って打つ感覚を掴んだ。
一方の凡田も防御率を改善するように発破をかけられる。
そして訪れたのは、守護神の瀬川が同点弾を食らったうえに負傷交代せざるを得なくなった9回の場面。
既に投手は全員使い切ってしまい、延長になった場合は凡田1人で投げ抜かなければならない状況。
この試合まで登板間隔が空いていた凡田は絶好調で11回まで無失点と、防御率を順調に下げていく。
そしてその裏には大野がサヨナラホームランを打ち、凡田に貴重な1勝がついた。
これで大野も凡田もしばらくは1軍で試合に出続けることができそうなのであった。
引退の瀬戸際に立つ大ベテランとの対戦
昨シーズン終盤、通算500本塁打で年俸4億の40歳・土手来と対戦した凡田は、デッドボールで土手来に怪我をさせてしまい、半年ぶりにスタメン復帰した土手来と対決が実現する。
スタメンに復帰してから土手来は未だノーヒット。
このまま復活できなければ引退かもしれないという雰囲気も感じられるなか、自分が引導を渡せるのかどうかで委縮する凡田。
結局、ホームランは免れたものの同点タイムリーを許してしまう。
その後に出てきた後続が勝ち越しを許さずチームは勝利したものの、この日を境に土手来は完全復活したのであった。
【1巻のまとめ】
プロ野球のスパイダースに所属していた凡田夏之介は、プロ8年目で年俸1800万円の中継ぎ投手で、プロ野球選手としては決して一流とは言えない選手である。
このままでは引退後は年収100万円台の生活に陥ってしまう。
「グラウンドには銭が埋まっている」略して「グラゼニ」を胸に、同郷の先輩で引退しラジオでの解説者に転身を果たした徳永、同期で先発投手の渋谷、後輩で期待の若手野手である大野らと共にプロ野球選手としての生活に励むのであった。
次巻へ続きます。
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