右腕が義手である寄生虫を専門とする研究者の紐倉は、内閣情報調査室健康危機管理部門の牧野からの依頼でバイオテロ事件の捜査に協力することに。
紐倉は助手の高家と共に地球から根絶されたはずの天然痘に非常によく似たウイルスをまき散らしてターゲットを次々と殺していた容疑者の動機や手法も暴き出し、事件を解決に導いた。
そんなある日、ある大学の駅伝選手が練習中に急死したことをきっかけに、その選手が通っていた深谷スポーツクリニックが絡む組織的なドーピング疑惑が浮上する。
そのクリニックの顧客リストには男子マラソンのオリンピック金メダリストで国民栄誉賞候補でもある野桐俊の名前もあり、紐倉たちは野桐のドーピング疑惑の真相解明へと動き出すのであった。
2巻のあらすじを振り返ってみましょう。
ドーピング疑惑の真相解明
高家が取得したのはドーピング・コントロールオフィサーの資格。
紐倉と高家はWADA(世界アンチドーピング機構)の抜き打ち調査を装ってアフリカでトレーニング中の野桐のもとを訪れ、各種サンプルを入手する。
紐倉は野桐の宿泊部屋のゴミ箱に点滴パックがいくつもあるのを見つけ、ドーピングで濃くなりすぎた血を薄めるために使用したものだと推理。
「インハンド」2巻©講談社/朱戸アオ
野桐の元コーチで組織的なドーピングに関与した疑惑のある東野が山登り中に死亡する事故が発生し、師弟関係を解消していた野桐の元にもその訃報が届く一方、野桐のサンプルの検査を進める紐倉たちは、野桐の造血細胞に秘密があることに気付き、野桐が遺伝子ドーピングをしている可能性が高いことを突き止めた。
検査の結果、紐倉の予想通り野桐はEPO(エリスロポエチン)受容体遺伝子に変異があり、少しのEPOで大量の赤血球を生産する体質であることを発見。
となると、問題はその体質が生来のものか、はたまた造血幹細胞移植を受けたことによる人工的なものか。
野桐の実家にまで足を運んで調査した結果、野桐のドーピングの証拠はなかったものの、野桐が遺伝子操作の失敗により彼が急性骨髄性白血病になっている事を突き止める。
「インハンド」2巻©講談社/朱戸アオ
深谷クリニックや元コーチの東野も絡んでいた野桐の遺伝子操作という秘密を解き明かした紐倉は、野桐に対し東京国際マラソンを棄権するよう説得。
「インハンド」2巻©講談社/朱戸アオ
だが野桐は自分を応援してくれる周囲のために出場を強行、途中で体調を崩して結果的に棄権することとなる。
搬送され入院した野桐は、肩の荷が降りた解放感からかこれから始まる長い闘病に備えてか、病室で15年ぶりのラーメンに舌鼓を打つのだった。
他人を自殺させるウイルス?
外務大臣の源田創子に「日米首脳会談を中止しなければ源田大臣の娘・絵凪(えな)を自殺させる」という内容の脅迫状が届いた。
「インハンド」2巻©講談社/朱戸アオ
脅迫主によれば他人に自殺を感染させることができ、既に絵凪の大学の同級生が自殺(未遂を含む)したのがその証であるという。
牧野は他人を自殺させるウイルスや感染症について紐倉に存在を否定してもらおうとアドバイスを求めるが、紐倉は未知のウイルスである可能性を排除せず、断言はしない。
寄生虫が寄生主の行動をコントロールする例もあり、紐倉たちは絵凪と自殺未遂した同級生の香織について調査することに。
紐倉と高家は絵凪から、同級会2人と共にセクメト製薬の治験に参加しており、それが自殺騒動の原因になっている可能性があることを知る。
「インハンド」2巻©講談社/朱戸アオ
独自に調査を請け負った紐倉は、そのセクメト製薬の治験を行った鍋島教授のいる大学病院に高家を潜入させ、PCから治験のデータを盗み出した。
データをひととおり確認した紐倉は、すぐに今回の騒動の解決への道筋を見つける。
問題は絵凪の安全が確保できるかどうかであり、ウイルスの存在について検証する必要はない。
もし同級生2人の自殺騒動の原因が別々とすれば、絵凪に感染するわけではないので安全。
そして原因が同じ場合はセクメト製薬の治験薬が原因の可能性が高いが、他の被験者の多くが自殺していないことから察するに投薬以外にも別の条件がトリガーとなるはず。
その条件が何であれ、治験を終えた絵凪が今後治験薬を飲むことはないため、条件が揃う可能性は低く、いずれにせよ絵凪は安全。
さらにあの脅迫状を書いたのは絵凪自身であり、その目的は友人の自殺騒動からセクメト製薬の治験を中止に追い込むことだったのである。
「インハンド」2巻©講談社/朱戸アオ
全てを読んだ紐倉は、絵凪の望み通りセクメト製薬の調査を実施して治験を中止に追い込みつつ、日米首脳会談を中止させることなく外務大臣に恩を売り、停止されていた自分のパスポートを復活させることに成功したのだった。
【2巻のまとめ】
非正規の手法で野桐のサンプルなどを入手した紐倉はそのドーピングの謎を全て解き明かし、ドーピングの副作用で野桐は既に急性骨髄性白血病になっている事を突き止める。
だが野桐は紐倉の忠告に耳を貸さず、周囲の応援に応えるために大会への出場を強行、結果としてレース途中で体調を崩してリタイアとなるのだった。
また別の日には、外務大臣のもとへ「日米首脳会談を中止しなければ娘を自殺させる」という脅迫状が届き、紐倉が他人を自殺させるウイルスや感染症の可能性について調査することに。
その中で外務大臣の娘自身が脅迫状の送り主であったことや、その狙いがあるアメリカの製薬会社の治験を中止に追い込むことだったことを暴き、見事に事件を解決に導くのであった。
次巻へ続きます。
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参考寄生虫専門の天才科学者がバイオテロ事件の解決に奔走する医療ミステリー『インハンド』全5巻【ネタバレ注意】
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