「世界一のジャズプレーヤーになる」という無謀とも思える目標に向けてひたすら真っすぐ努力する青年、宮本 大。
家族、恩師、親友、そしてジャズに関わる様々な人たちに支えられてサックスで人を圧倒する才能を開花させた大は、同年代の天才ピアニスト・沢辺、親友のドラマー玉田と10代という若さで3人のバンド「THE JASS(ジャス)」を組み、日本一のジャズバー「So Blue」への出演も決まった。
しかし夢の舞台でのライブの直前、バンドの天才ピアニスト・沢辺が不慮の交通事故に遭い、重傷に。
悲痛な思いを抱えながら玉田と2人きりで全力のライブをやり切った大は、玉田と一命をとりとめた沢辺に背中を押され、THE JASSを解散して世界へ進出することに。
愛用のサックスと最低限の荷物だけで日本を飛び出した大、恩師の勧めで向かったのはドイツだった。
そしてドイツで新たな仲間と出会い、ヨーロッパを舞台に更なる高みへと登っていく―。
何度読んでも名場面ばかりで泣けるし、それぞれの巻末には大が世界一のサックスプレーヤーになった現在から当時を振り返るインタビュー形式のオマケがまた涙を誘う。
何がスゴいって、音楽を題材にした漫画なのになぜか大迫力の音が聞こえる気がすること。
ジャズを聞いたことがなくても、きっと聞いてみたくなること間違いなしのオススメ作品です。
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
たどり着いたのはドイツ・ミュンヘン
日本を旅立った大が到着したのは、ドイツ・ミュンヘン。
〈ミュンヘンに到着 [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
カタコトの英語だけ、縁もゆかりもない土地で何とかユースホテルにチェックインし、さっそくサックスの練習場所を探して歩きまわる。
日本のように橋の上で練習できそうな場所を見つけるが、すぐさま警察に見つかって厳しく注意されてしまう大。
それでもめげずに別の川沿いにいい場所を見つけ、到着初日から練習という目標を達成。
〈練習場所を見つけた [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
ここからドイツでの新たな生活が始まる。
人種の壁に阻まれる大
翌日から早速練習を始め、ドイツのジャズバーに足を運ぶ大。
〈ジャズバーに足を運ぶ [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
日本とは全く異なり、観客は歓声も拍手もなく静かに演奏を聴いている様子。
大はジャズバーの店主に自分も演奏したいと申し入れるが、店主は腕試しすらもさせてくれず、門前払い。
〈まさかの門前払い [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
ドイツのジャズへの理解を深めるため、その後も大は自ら積極的にコミュニケーションをとろうとするが、みな「アジアのジャズは知らないから」と得体の知れないものを嫌厭するかのような態度。
人種というまさかの壁にぶつかることとなるが、そんな大でも川原で練習を続けるうちにファンができた。
〈初めてのファン [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
見知らぬおばあちゃんから曲をリクエストされ、演奏のお礼に手袋をもらった大。
どんな国でも助けてくれる人はいる、そう前向きな気持ちにさせる出来事だった。
大に手を差し伸べたクリス
同世代の若者が集うカフェで、新たな出会いを果たす大。
〈クリスとの出会い [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
クリス・ウェーバーという若者から声をかけられ意気投合した大は、「Die(ダイ=死ぬ)」という海外では不吉な名前の代わりに「D」というあだ名をつけられる。
クリスはそのまま自宅に大を招き、ビール代を負担するだけで泊めてもらえることとなった。
〈必死に助けようとしてくれる [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
さらに大が演奏できるように様々なジャズバーで熱心に説得してくれるクリス。
「なぜそこまで親身になってくれるのか」と問うと、「普通だよ。いつか世界一になる奴と、知り合えたらステキだなって。」と返す。
〈親切じゃなくて普通だ [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
そしてクリスのおかげで、とある小さなジャズバーで大が演奏させてもらえることとなった。
クリスへの感謝を音で伝える、大はそう強く決意するのだった。
異国の地で初めてのライブ
異国の地で初めてのライブだが、自分を安売りしないと決めた大はミュージックチャージを最高額の10ユーロに設定する。
クリスは必死に自分の知人たちに声をかけ、大の初ライブにはクリスの友人10名ほどが集まってくれた。
〈初めてのライブが実現 [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
ジャズも知らない、どんな考えを持っているのかもわからない観客たちを相手に、たった一人のライブが始まる。
ただひたすらに力強い演奏から入り、玉田や沢辺たちがいてくれたらという心細さも全て吹っ切ってプレー。
初めてジャズを聴いたクリスの友人たちを圧倒し、感動を与える。
〈全力のプレー [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
そしてライブの翌日も早朝から練習に励む大。
満足げな店主の顔や友人たちからの良い反響を得たクリスは、大のサックスにかける本気さを改めて知り、大からもらったビールの瓶にドイツで初めてのサインを貰うのだった。
〈最初のサインはクリスに [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
スランプを乗り越えて
ある日の夜、何もないド田舎でタクシーに乗り、ミュンヘン市街を目指す大。
不審に思うドライバーだが、車内でコミュニケーションを取るうちにその経緯がわかった。
いつも通りの練習だが、なんだか違和感を感じた大。
〈スランプになった大 [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
サックスではなく、自分の中に問題があるかのような感覚のスランプになり、その理由を知る為にただひたすら当てもなく歩き出した大。
日が暮れたころには何もないド田舎にたどり着き、「自分はただ演奏するだけだ」と頭の整理がついた。
ドライバーもまた、遠いトルコに家族を残して家族の為に出稼ぎに来ている身で、「ただ運転し続けるだけ」。
〈お互い、真っすぐ進むだけだ [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
そして目的地のミュンヘン市街のジャズバーに到着。
「今からライブなんです」と降りた大は、客で賑わう狭い店に堂々とした表情で入っていくのだった。
〈今日もライブだ [BLUE GIANT SUPREME 1巻](c)集英社/古舘春一〉
ボーナストラック
クリス・ウェーバー:大が家を出ていく際、これまでの感謝を現すかのように冷蔵庫の中がビール瓶でいっぱいになっていた思い出を語る。大にとっての世界の入り口にクリスが、そしてそれ以来ジャズを聴くようになったクリスにとっては、ジャズの世界の入り口に大がいた。
【1巻のまとめ】
日本を飛び出しドイツ・ミュンヘンの地に降り立った大。
カタコトの英語だけ、縁もゆかりもない土地で新たな生活が始まった。
アジア人という人種の見えない壁に阻まれる大だが、クリスという若者が大に手を差し伸べ、初めてのライブにこぎつけた。
「自分はただ演奏するだけ」と真っすぐ道を進むことを胸に誓い、今日も大はライブに向かうのだった。
次巻へ続きます。
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