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前巻はこちら自分の意志で海へ向かう凪の成長と、ゴンとの別れ『凪のお暇』4巻【ネタバレ注意】
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『凪のお暇』5巻は、凪が"やらない理由を手放す"という大きな選択をする巻です。
ぬか床をめぐる母との記憶、スナックでの新しい仕事、そして慎二との偶然の再会と衝突——さまざまな出来事を通じて、凪の自己理解がさらに深まっていきます。
読めば読むほど、自分自身の人間関係や生き方を振り返りたくなる、そんな一冊です。
それでは、5巻の見どころをエピソードごとに詳しくご紹介します。
目次
ぬか床が呼び起こす、母との記憶
慎二のもとから取り戻したぬか床が無事に使えることを確認し、安堵する凪。
しかし同時に、それが実家の記憶に縛られ、過去へと容易に引き戻す存在でもあることに気づきます。
うらら親子に実家のぬか漬けをふるまう中で、幼少期から母の代わりにぬか漬けを素手で混ぜ、嫌悪感を抱きながらも続けてきた行為と、母親からの圧力を背負ってきた日々を思い出します。
ぬか床を前に揺れる凪に対し、うららの母がドライブを提案します。
人通りの少ない場所でハンドルを握ることになった凪は、立場が変わることで見える景色の違いと、自分の行動範囲の狭さをリアルに実感します。
運転を楽しいと感じる一方で、「他者に見守ってもらえているから運転できる」という思いも湧き上がります。
「行動する選択肢が増えると、万能感で胸が高まらないか」といううらら母の言葉に、理由を並べて挑戦を避けてきた自分の癖に気づく凪。
挑戦した先の自分を想像して胸が高まった凪は、実家のぬか床に引っ張られることなく、思うままに過ごしてみたいという意識を芽生えさせていきます。
やらない理由を手放す、新たな一歩
自分の意志でやりたいことを選ぶと決めた凪は、新しいぬかを買って自分の思うままにぬか漬けを楽しむべく準備を進め、母の来訪に向けて生活を整え始めます。
そんな中、以前立ち寄ったスナックから「働かないか」と声がかかります。
迷いながらも"やらない理由"を手放し、ボーイ代理として働くことを決める凪。
未知の環境に踏み出すことで、自分の可能性を試そうとするこの選択は、これまでの凪からの大きな変化を感じさせます。
スナックで気づいた、自分の弱点と強み
スナックで働き始めた凪は、開店前の簡単な作業をこなしながら、それだけで給料をもらってよいのかと困惑します。
開店してにぎわう店内では、スタッフたちの自然な接客に圧倒される一方、自分が場を盛り上げられないことに直面します。
スナックのママから「人に興味がないように見える」と指摘された凪は、これまで聞き上手だと思っていた自分の姿勢を問い直します。
周囲が話しかけてくれたから成り立っていた関係だったと気づき、自分が相手に興味を持てていないのに相手からは興味を持ってほしいと思っていた自分に自己嫌悪します。
しかし同時に、自分のダメな部分に気づけたことを前向きに捉え、雑務以外にも積極的に取り組む姿勢を見せていきます。
丁寧に雑務をこなす姿勢は周囲から評価されていますが、それが自分の強みだとはまだ自覚できていない凪の様子が、愛おしく描かれています。
新規客・桃園の振る舞いが呼び覚ます、慎二への記憶
苦手だった客に対しても自ら歩み寄る努力を続けた凪は、スナックの常連客とも少しずつ打ち解けていきます。
そんな中、新規の客・桃園のひどいいじりと振る舞いに、凪は慎二の姿を重ねます。
場を回しながら他者を下げる桃園の振る舞いに違和感を覚える一方で、慎二は仕事において他者をおとしめることはなく、利益につながらない悪口を言わないために同僚から尊敬されていたと凪は思い返します。
桃園への怒りをきっかけに過去の記憶をたどる中で、感情的に衝突していた部分とは別に、他者をおとしめない誠実さという点で慎二を尊敬していた側面があったことを、凪は静かに自覚します。
嫌いな部分と好きな部分が混在する人間関係の複雑さが、繊細に描かれているシーンです。
スナックで偶然の再会、慎二との衝突
スナックに偶然訪れた慎二と再会した凪は、初対面のような距離を保ちながら会話を交わします。
グラスが割れた片付けの最中に桃園の悪口が聞こえ、気分が悪くなる凪。
慎二と二人きりになったとき、受け身で相手に歩み寄れない凪の姿勢と、悪口を許せない性質をめぐって再び衝突し、「この仕事に向いていない」と突き放されてしまいます。
しかし業務に戻ると、慎二が店内の客を集めて会話を回している姿が目に入ります。
「社会に出ると自分たちが脇役だ」という桃園の言葉に対し、表面的な同調ではなく相手の感情に本気で寄り添う慎二の在り方を目の当たりにした凪は、自分の中に残っていた尊敬の感情を言葉にします。
しかし慎二はその言葉を素直に受け取れず、衝動的な行動に出てしまいます。
お互いの気持ちがすれ違い続けるもどかしさが、この場面でも色濃く漂います。
肩の力を抜いた関係の心地よさ
仕事終わりに同僚たちと過ごす時間の中で、凪とスナックのスタッフたちの距離が縮まっていきます。
それぞれのプライベートな話をするうちに、凪も自らのお暇生活について話すと、驚かれながらも肯定されます。
過去の女子会では、気を遣って料理を作ったり周りの雑務を引き受けたりして楽しい思い出がなかった凪。
しかし今回は、自然体での会話を楽しみ、自分を肯定してもらえる経験を得ます。
自分の話を笑い飛ばしてもらえることへの喜びを感じ、人に受け入れられる感覚を初めて素直に受け止める凪の表情は、これまでとは明らかに違います。
肩の力を抜いた関係の心地よさを実感するこの場面は、凪の人間関係が確かに変わりつつあることを感じさせてくれます。
慎二の職場に現れた新キャラ・市川
運転に慣れた凪は、他者の視点を取り入れる感覚を覚え、物事の見え方が少しずつ変わっていきます。
一方、慎二の職場では新たに異動してきた市川が加わります。
能力がありながらも周囲との関係で軋轢を生みやすい市川は、自身の在り方に悩みながら環境への適応を模索しています。
評価と嫉妬が入り混じる職場環境の中で、慎二の八方美人な在り方を肯定する言葉に影響を受けた市川は、慎二に対して特別な感情を抱き始めます。
次巻での展開が気になる、新たな人間関係の予感が漂うエピソードです。
【5巻のまとめ】
『凪のお暇』5巻は、凪が"挑戦しない自分"と向き合い、少しずつ外へと踏み出していく過程が丁寧に描かれた巻です。
スナックという新しい環境での気づき、慎二との再会と衝突、そして同僚たちとの自然体のつながり——それぞれのエピソードが、凪の変化をじっくりと積み重ねていきます。

ぜひ手に取って、凪の歩みを見届けてみてください。
次巻へ続きます。
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