全巻まとめ

コロナ禍を予言していた?感染症のアウトブレイクの中で懸命に生きる人々を描く、警告の書『リウーを待ちながら』全3巻【ネタバレ注意】

富士山麓の街で起こったアウトブレイク。静かに死にゆく街で、懸命にに生きようとする人々の姿を描く!

富士の見える町、横走市にある横走中央病院の医師・玉木。 ある日、駐屯する自衛隊の隊員・滝原、肉屋・中畑の2人が重篤な状態で立て続けに担ぎ込まれる。

似たような病状であったが、滝原は安定するも中畑は死亡。そのうえ滝原は、玉木の知らぬ間に自衛隊病院へと転院させられる……。

医療サスペンスの新星が、あり得べき危機をシミュレートする、警告の書。

登場人物紹介

<網走中央病院>

玉木涼穂(たまきすずほ)
本作の主人公。網走中央病院の呼吸器内科で働く医師。
周りには美人と言われるが、愛想がない。ずぼらな性格でオペ着をパジャマにしている。
父親の形見の車で病院に出勤しているが普段は遅刻ギリギリが多く、法定速度を守らないことも多い。
鮎澤の弁当が大好き。
父親は医者でシエラレオネで亡くなった。
子供の頃は父が助けに行く遠くの人が羨ましかった。

鮎澤朋子(あゆさわともこ)
43歳。反抗期の娘がいる。作るお弁当は揚げ物が多く娘に嫌がられている。
娘が持って行かなかったお弁当を玉木に渡している。
最初の感染者滝原の体液が顔にかかったことで感染し死亡してしまう。

カルロス
病院の掃除をしている。ペストを罹患した自衛隊員が倒れているのを発見した。
インディアンズという草野球チームに入っている。
兄弟がパラグアイにいる。感染が広がらない方法で酒やタバコを密輸している。
親の死に目に会えなかったことを後悔していて、仁杉の母親の話を聞き外に出る協力をする。
初期にペストに感染していたが、貰っていた抗生物質を飲んで直ったことを黙っていた。

川島田(かわしまだ)
網走中央病院院長。自衛隊の要請を聞き入れたことでペストを持ち込んだ自衛隊員を隠蔽しようとした自衛隊に協力する形となった。
過去に病院でサルモネラ騒動が起きたことで患者が減り散々な目にあった経験から、病院は客商売だと考えるようになった。
1982年から医者になり、その年の赤ワインを医者をやめる日に飲もうと決めていた。
作中で発熱し、玉木に持ってきてほしいと願った。
ペスト終息後、横走中央病院に銅像が建てられた。

<自衛隊>

滝原(たきはら)
自衛隊員。三曹。
キルギス派遣から帰国後、具合が悪くバスで横走中央病院に来たところ倒れてしまう。
玉木によって一命をとりとめたが、感染源の発覚を恐れる自衛隊によって自衛隊新富士病院に移送される。
その後回復し意識を取り戻す。
横走市の感染の原因とされ他の自衛隊員に暴力を振るわれるが、責任を感じて甘んじて受けた。

駒野門次(こまの)
自衛隊新富士病院に勤務する医官。内科医。二佐。移送された滝原の担当医。
息子の名前はマモル。
ウズベク-キルギス大震災の海外派遣時に起こったペスト拡大の地獄を夢に見て飛び起きることもしばしば。
玉木にウイルス名は告げられないものの抗生物質を投与するようにアドバイスした。

仁杉(ひとすぎ)
横走駐屯地業務隊衛生課所属の二曹。
国際貢献がしたくて入隊したものの業務課に配属されたためウズベク-キルギスの派遣には行けなかった。
駒野にくっついて単独行動させないように上官に言われている。
駒野からペストの存在を知らされて協力する。
母子家庭で育ち、母親を大切に思っている。

<国立疫病研究所>

原神さとる(はらがみさとる)
ウイルス第一部所属。子どもサイエンス教室では「こわーいペストの話」と題してペストの説明を子供たちにしてしているが、子供たちを怖がらせてしまい部下の女性に文句を言われている。
玉木から送られてきたサンプルが肺ペストだと早い段階であたりを付けており、1926年以来のペスト菌の日本上陸にウキウキしている。
横走市の閉鎖や隔離セットの配布など提案し尽力した。
車の免許を持っていない。
自分の力を信じて努力し続ける玉木の事を好ましく思っている。
アルベールカミュの代表作『ペスト』を読んで感動し、登場人物の先生になりたかったと語っている。

助手
原神の助手。原神から言われて横走の脱走者のリストの中から医療機関を受診した者を探し出した。

<その他>

鮎澤潤月(あゆさわうづき)
看護師鮎澤の娘。高校生。両親は離婚している。
父親は東京に住んでおり鮎澤が亡くなったことで5年ぶりに会った。
コウタという彼氏がいる。
1度ペストから回復するも隣の部屋の赤ちゃんを助けたことでペストに感染してしまう。
新型ペストから生還した3人目となる。父親と東京で暮らすことになる。

中畑明雄(なかばたあきお)
66歳。中畑精肉店店主。滝原と同日に同じ症状で病院へ搬送され、亡くなった。
駐屯地の食堂に肉を卸していた。

中畑正子(なかばたまさこ)
明雄の家族。中畑精肉店で倒れていたところを発見され病院に運ばれたが、亡くなってしまう。
正子を病院まで運んだ運送トラックを探すため、玉木と原神は市中を走り回ることとなる。

中畑智美(なかばたともみ)
40代。明雄の家族。抗生物質を投与されていたが効かずに亡くなった。

小倉真結(おぐらまゆ)
30代女性。横走中央病院に息子の由翔と来たが離れ離れになってしまう。
玉木によって息子に会うことができたが、その後死亡してしまう。

小倉由翔(おぐらよしと)
5歳。母親と一緒に病院に来たが離れ離れになってしまう。
玉木によって母親の元へ行くことができた。母親と共に死亡。

コウタ
潤月の彼氏。横走市にいることでクラスメイトから差別を受ける潤月を気にかけ電話をかけ続けるが出てもらえないでいる。

板野(いたの)
コウヤマ設備で働く。新婚。
幸花が亡くなったことで現実を受け入れられず精神に異常をきたしてしまう。
現実を受け入れた後は横走中央病院で働くことにする。

板野幸花(いたのさちか)
美容師。板野の髪を中学生の頃から切っていた。
感染したが、消毒を徹底的にしたことで板野への感染は免れた。

ナカマルエリカ
横走からの脱走者。脱走者リストが公表されて家が特定されてしまう。
仕事があり隔離されると困るので検査を拒否した。
横走の外の人間が何もしてくれなかったのに、なぜ自分が外の人間の為に何かしなくてはいけないのかと怒りをあらわにした。

玉木イチロウ(たまき)
玉木涼穂の父親。医師。シエラレオネで死亡。

シモーヌ
医師団として横走市に来た。玉木の父親とはいろいろな国で一緒に活動した。娘がいる。

仲介人
横走市からの脱走を仲介していた元自衛官。
自衛隊の演習地にいるところを捕まった。
誰でも平等にかかるペストが大好きだと語っている。
家宅捜索され、脱走者のリストが見つかる。

各巻のあらすじ

感染症のアウトブレイクが発生、致死率100%の悪夢のような状況で混乱と恐怖が街を襲う
止まらない感染拡大、世間からの誹謗中傷がエスカレート、封鎖を破って脱走する者が続出…
絶望のどん底に射し込んだ光、残された者たちの未来

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