帝愛の兵藤会長の息子・和也と、負ければ命を落とすリスクのある大勝負に臨むこととなったカイジ。
まず会員制のレストランに連れていかれ、そこで行われる残酷なゲームショーを見せられることとなる。
人間の本質を暴くために和也が考案した友情確認ゲーム「救出」に挑むこととなったのは、債務者の光山・チャン・マリオの3人。
抽選で誰かのヘルメットのランプが光り、その救出者が制限時間内にベルトを解除して前方にある救出ボタンを押せばクリアというもの。
ただし、ヘルメットには大音量の音楽が流れているため互いに話はできず、また制限時間1分をオーバーするとヘルメットが圧縮して残り2人の頭蓋骨が粉砕、命を落とすリスクもある。
手探り状態で始まるなか冷静なチャンの機転で挙手によるカウントダウンという即席のサインが意思を繋ぎ、3人はこのゲームの攻略に希望を見出す。
一丸となってクリアを目指す3人だが、成功でも失敗でもなく失格した場合は「唯一の生存者はその時点での褒賞金の倍額を得る」というルールが明かされ、和也の罠もあって3人は疑心暗鬼の渦に引き込まれていく。
光山には裏切ろうとしたという誤解が、マリオはパニックを起こす一方、冷静なチャンは2人を信じて救おうとするが、それでもチャンに「2人に命を託せるかどうか」という迷いが生じたのは事実。
居ても立っても居られなくなったカイジは自ら乱入して3人に冷静になるように呼びかけるが、和也がまた悪魔の囁きで揺さぶってくる。
再び疑心暗鬼にかられた3人は残る3回のゲームを無事クリアすることができるのか―。
8巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
安堵と葛藤が交互に押し寄せる終盤
自分が救出者に選ばれたことを確信して安堵の涙が溢れ出るマリオ。
しかし自分が確実に生き残るには、残る2人を殺さなければならない。
安堵の後にすぐ罪悪感と困惑に襲われ、決心が固まらぬままゲームが始まる。
前の2人がカウントダウンを始めた挙手を見て、まずは自分のベルトを解除。
自分が2人を救った後に裏切られるリスクはゼロではなく、解放ボタンの前で迷うこととなる。
そんなマリオの頭に浮かんだのは、「迷ったら正しい道を選べ」という亡き兄の言葉。
迷いに迷った挙句、兄の言葉を背にマリオは解放ボタンを押し、次のゲームにつなげるのだった。
クリアはもう目前
迷ったとはいえ、この土壇場で救ったマリオに感謝する光山とチャン。
残すゲームはあと2回のみ。
完全クリアを目前にして、3人の揺るぎない団結を目の当たりにした和也のテンションはみるみるうちに下がっていく。
期待を裏切られ興味を失い、半ば投げやりの形で15回目のゲーム開始。
そして最上段の光山が救出者に選ばれる。
ところがここで再び雲行きが怪しくなってくるのだった。
救出者に選ばれた安堵を吐露する光山
より確実なクリアのために自分が救出者に選ばれることを必死に祈る最上段の光山。
これまで仲間に命を預けるゲームが続き死の恐怖と隣り合わせだった光山は、その祈りが通じたことに感極まり、自分が生き残った安堵と喜びを涙ながらにぶちまける。
「生き残った」「助かった」と連呼する光山を見て、何かを閃いた和也。
すぐさまヘルメットの音楽を切り、光山の吐露する言葉をチャンとマリオにも聞かせる。
カイジの指摘で音楽がオフになっていることに気づいた光山だったが、時すでに遅し。
チャンとマリオから見れば、光山がこのゲームで2人を裏切り1人で助かろうとしているような疑念を抱かせるのであった。
光山に迷いが生じ始める
慌てて2人への弁明を考える光山だが、そのコミュニケーションを遮るようにヘルメットの音楽を大音量で流し始める和也。
2人に誤解されたままとなった光山は、再び和也の嫌がらせによってゲーム再開までの間、考える時間を与えられる。
せっかく手にした生存確定のチャンスを2人を救うことでフイにしていいのか、次のゲームで再び命を預けるリスクを負うのが正解なのか―。
普通に考えれば最後のゲームではチャンもマリオも救出を選択するが、迷う光山はここで自分が2人を裏切ることを正当化する理由をいつの間にか考え始めていたのだった。
【8巻のまとめ】
終盤になればなるほど、救出者に選ばれた者にとっては裏切り=死のリスクから解放された安堵と、次のゲームで命を仲間に預けられるのかという葛藤に襲われていく。
それでも完全クリアまで残り2回にこぎつけた3人。
一丸となって望むはずだが、救出者に選ばれた光山は思わず「助かった」という安堵を吐露してしまう。
和也がわざとヘルメットの音量を操作したことで、ここにきてチャンとマリオは光山が1人で助かろうとしているような印象を抱いてしまった。
そのままゲームは再開、しかし再び誤解された光山はいつしか本当に自分が裏切るという選択肢について考え始めてしまうのだった。
次巻へ続きます。
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