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前巻はこちら薬の適正使用、キャリアへの葛藤と産科への挑戦『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』5巻【ネタバレ注意】
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第6巻では、産科でのエピソードが大きな感動を呼ぶ一方、予防接種をめぐる医療不信という現代的なテーマも正面から取り上げられています。
薬剤師・みどりが様々な価値観や事情を抱えた患者と向き合いながら、さらに成長していく姿が丁寧に描かれた一冊です。
目次
てんかんを抱えながら出産を選んだ女性と、揺れる母心
持病のてんかんを抱えながら出産に臨む向坂に対し、その母親は干渉を続けます。
薬で発作をコントロールしながら子育てができるとは思えないという不安に加え、服用中の薬が胎児に影響を与える可能性を知り、母親の懸念はさらに膨らんでいきます。
主治医・助産師・みどりの三者は連携して母親の話を聞く機会を設けることにしました。
一方、夜の病室で隣のベッドの星名と言葉を交わした向坂は、不安の中でも出産を楽しみにしている星名の姿に、わずかながら心を和らげていきます。
対立する母娘が同じ方向を向く瞬間
面談の場でも向坂の母はリスクばかりに目を向け、娘の不安をかき立てるような言動を続けます。
向坂もまた、母への反発から意固地になっていました。
助産師は選択肢の多さを示しながら、どんな育児にも困難はあること、そしてそれを良いものにするのは向坂自身の選択であることを穏やかに伝えます。
気持ちが落ち着き一時退院が視野に入った矢先、向坂は急な破水から緊急帝王切開での出産を余儀なくされます。
三十三週という早い段階で生まれたわが子に対し自責の念にとらわれる向坂の背中に、静かに手を添えたのは、ずっと否定的な態度をとり続けていた母親でした。
その後、無事に退院できるまで成長したわが子と、星名親子とともに写真に収まる向坂家の姿は、本巻の中でも特に心に残る場面です。
夏休みに訪れた「もうひとつの医療現場」
夏休みを取り実家に帰ったみどりは、父の飼い猫の体調不良をきっかけに動物病院を訪れます。
スタッフ不足で多忙を極める現場を前に、薬棚の様子が気になって仕方がないみどりは、人の薬を転用することも多い動物病院での調剤を手伝うことになります。
道具も限られた環境の中でもみどりの知識と経験は大いに役立ち、獣医師にとっても頼もしい存在となりました。
医療の知識は動物の命を守る現場でも活かせるという新鮮な発見を得た一方、休暇初日から働いてしまったみどりが「休みとは何か」と自問する姿に、思わず笑ってしまうエピソードです。
医療不信の背景にある「情報の入口」の問題
尿路感染症で高熱を出した子どもが入院してきた芳村夫妻は、予防接種に強い否定的な考えを持っています。
必要な抗生物質の投与もしぶしぶ受け入れていた芳村でしたが、途中から突然拒否するようになります。
その背景に見えてきたのは、引っ越し後の孤独な時期に出会った元薬剤師のママ友・川瀬の影響でした。
「自然派育児」を掲げるグループの中で偏った知識を身につけてしまった芳村の姿は、彼女を責める前に、正確な医療情報がいかに届きにくい現実があるかを考えさせます。
子どものためを思うがゆえに、情報の入口を誤ってしまったという事実は、現代の子育てが抱える課題として多くの読者に刺さる内容です。
予防接種は「自分だけ」のためではない
この問題を受けてみどりたちは、以前から小野塚と企画していた病院薬剤師と院外薬剤師の合同勉強会のテーマに予防接種を選び、ついに開催にこぎつけます。
薬剤師の間でも意見が分かれるこのテーマに対し、医師の久保山は自身が経験した患者の死亡事例を引きながら、集団免疫の重要性を力強く訴えます。
予防接種は自分を守るためだけでなく、免疫を持てない人を含む社会全体を守るための行為であるという視点は、改めて読者の心に響きます。
医療情報リテラシーの重要性と、薬剤師が地域社会に果たすべき役割が交差する、本巻の核心ともいえるエピソードです。
【6巻のまとめ】
『アンサングシンデレラ』第6巻は、産科での感動的なドラマから動物病院での意外なエピソード、そして予防接種をめぐる医療不信という現代的な課題まで、幅広いテーマを描いた一冊です。

第7巻への期待を高めながら、ぜひ続けて手に取ってみてください。
次巻へ続きます。
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