世界一のジャズプレイヤーを目指し、シアトルの街からアメリカを横断して様々なジャズを吸収して聖地・東海岸へ向かうことにした大。
ジャックの経営する自動車整備工場で働きながらシアトルの音楽に触れつつ、シアトルで手に入れた車で次の地へ向かう道中知り合ったヒッチハイカーのジェイソンと一緒に旅をするうち、ジェイソンが素人ながらマネジャーを自ら買って出てくれたため、二人での旅に。
だが音楽に関しては素人だったジェイソンは大の足手まといになるまいと途中で身を引き、立ち寄ったメキシコで出会ったピアニスト・アントニオに大と一緒に旅をしてくれることを頼んだ。
大はアントニオに、自分と組んでほしいとお願いをし、その場で返事はもらえなかったが、後にアントニオは大を追ってアルバカーキで再会を果たすこととなる。
2人はサックスを練習するレッスン生たちが先生の退院祝いのために演奏する発表会を大成功に導き、次の地・ヒューストンへ。
そこでちゃんとしたバンドを作るためメンバー候補を探すことにし、そこで出会った凄腕ドラマーのゾッドを誘うが、断られてしまう。
諦められない大は、バンド参加を賭けてゾッドとポーカーで勝負をし、結果として大とバンドを組む覚悟を決めたゾッドがメンバーに加わった。
大たちは、ジャズ発祥の地ニューオリンズで正式にバンド「Dai Miyamoto Momentum」として歩み始め、その土地のレジェンドプレーヤーにも背中を押されながら街で有名になっていく。
大は2人によりハイレベルな演奏を求め、ゾッドもアントニオもそれぞれ悩むこととなるが、それぞれちょっとしたきっかけから吹っ切れて、バンドの結束が高まっていった。
ニューオリンズでは、超一流のバンドにゲスト参加できるようにまでなった大だが、次の地・フロリダでは観客にハマらなかった。
大自身が変わらないとバンドは成長しないと考え、起爆剤としてアルコール依存症だが天才ベーシストを加入させると、観客の反応が良くなる。
そんな状況を経験し、自分を捨ててでも変わるべきなのか悩んでいる大のところに、ポートランドで知り合ったシェリルが訪ねてきて、大を救う一言を投げかけるのだった。
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。
目次
全部取り込んだ新しい大の音楽
翌日、フロリダ・タンパのライブハウスで緊張気味に客席に座りながら大のライブを初めて観るシェリル。
大は、正直何を自分に足せばいいのかまだわからず、自分を変化させようと探りながら演奏する。
特にソロパートは納得できる音が見つからず苦しんでおり、メンバーもサポートをしながら演奏を続ける。
最後にやっと、メンバーのフレーズも明るさも全部取り込んで、自由で新しいソロにたどり着き、観客も反応し始めた。
次の日、シェリルを空港まで送った大は、もっと新しいものを目指すんだ、とこれからの展望を語る。
シェリルはそんな大を尊敬し、尊敬だけじゃないことに気付き、不意にキスをした。
思わず唇を奪われた大は、しばらくその場に佇みながら飛び立つ飛行機を見送るのだった。
雪折がいる街、ボストンへ
フロリダを発ち、ボストンに行くことに決まってから、心ここにあらずといった感じの大。
ボストンは、日本で親友でありバンドを組んでいたピアニスト、沢辺 雪折(ゆきのり)がいる街だった。
雪折は日本の一流クラブ・So Blue Tokyoでのライブ直前の交通事故で右手が動かなくなり、大のためにバンドの解散を申し出てくれた。
そして大はジャズのために日本を離れ、その後連絡をとっていないことに負い目を感じていた。
大は雪折に会いたいものの、どう言葉をかけたらいいのかわからず会うのが少し怖い気もして、偶然の再会を期待していた。
ただ、雪折を避けたままボストンを出ることだけは絶対にしないと固く胸に誓う大。
アントニオはそんな大をみて、本当は雪折とバンドを組みたいのではないか、と勝手に推測するのだった。
音楽を続けていた雪折との再会
雪折は、ボストンにあるジャズで有名なバークリー音楽大学で作曲科の生徒になっていた。
右手はほとんど動かず、ピアノを演奏するときは左手だけ。
あまり他人と関わろうとしない雪折は変人扱いされていたが、そんなことはまるで気にしていない。
そんな雪折も大がボストンにやってきたことは噂で耳にしていて、連絡もなく現れたことに内心怒りながらもライブを見に行くことを決心した。
そしてライブでプレーする大も、観客席に目立たないように座っている雪折を演奏中に見つけた。
ライブ後、バーで2年ぶりに再会を果たした2人。
日本にいた頃のように接する雪折は、手術を繰り返して右手の指が少しずつ動くようになったことを明かしつつ、大の音を「やっぱいい音だな」と評価した。
一方の大は、雪折が音楽に前向きに取り組んでいることを知って号泣。
昔に戻っていろいろ話す中、大は雪折に楽曲提供の依頼をする。
雪折も、中間試験用に作った曲を演奏してくれる相手を探しており、それをカルテット用にアレンジするべく取り掛かるのだった。
雪折に敬意を表するアントニオ
雪折との再会後、また一段と大の奏でる音に強みが増す一方、アントニオはそこまで大に変化をもたらした沢辺にどこか嫉妬のようなものを覚えていた。
数日後、ライブの打ち合わせ中、雪折が訪ねてきて作曲した楽譜を大に渡す。
雪折が出ていくとき、アントニオが後を追って話しかけ、右手が動かなくても音楽をやめなかった雪折は偉大だと敬意を表する。
右手は動くのかと聞かれた雪折は、前のように弾けないのでイライラすると明かした。
そして片腕でしか演奏できないもどかしさを感じる沢辺のもとに、もらった曲をライブで演奏すると大から連絡が入るのだった。
雪折との共演、そして飛躍する大のバンド
大たちのバンドのプレーを観て、大にとってベストなメンバーだと思いつつも、心のどこかでは「もし自分の右手が動いてピアノをやっていたら」と考えてしまう沢辺。
そんな雪折が作曲した曲をライブで演奏する前、アントニオが大のマイクを奪って雪折をステージに誘い、「この曲のピアノは作曲家本人にやってもらう」と前フリなく言い出した。
雪折はゆっくりステージにあがり、左手一本で素晴らしい演奏を始め、大も手を抜かずに全力でプレーする。
強いソロプレーの流れを受け取った雪折も左手一本で弾き続け、さらにもっと良い演奏にするため、渾身の力をふり絞って右手も動かしはじめた。
大が見守り、ゾッドとジョーがサポートに回るなか、執念で右手を動かしメロディーを奏でた沢辺。
その奇跡が観客の胸を打ち、拍手喝采の嵐となる。
そんな中、会場から1人静かに去ろうとしていたアントニオを大が呼び戻し、メンバー4人で演奏を再開。
再開した4人の圧巻の演奏を聴き、さすがの雪折も驚きと共に言葉を失うのだった。
いよいよニューヨークへ
その後、場面は変わって、仕事をしているスケートボーダーのジェイソン(大の元マネージャー)。
スマホに大からニューヨークに着いたと連絡が入り、物語は続くのだった。
ボーナストラック
雪折は後にインタビューで、こう話している。
宮本大は、ニューヨークに行ってから「ジャズをプレーする」から「宮本大をプレーする」ことをし始めた、と。
【9巻(完)のまとめ】
自分を変えるために苦しんだが、自分のスタイルを捨てずに変化する突破口を見出した大。
NYに行く前にボストンを訪れて、事故で右手が動かなくなった親友の雪折と何年かぶりに再会し、雪折が前向きに作曲に取り組んでいることを知って号泣する。
大のバンドは雪折の前で素晴らしい演奏をして、NYに旅立っていく。
後の雪折のインタビューでは、NYで大が飛躍的に変わったことが語られたのだった。
次シリーズへ続きます。
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