世界一のジャズプレイヤーを目指し、シアトルの街からアメリカを横断して様々なジャズを吸収して聖地・東海岸へ向かうことにした大。
ジャックの経営する自動車整備工場で働きながらシアトルの音楽に触れつつ、あるライブハウスの閉店イベントでは 一部の観客からのブーイングをものともせず、自分の演奏を貫き通した。
そして演奏をやり切った大は、シアトルで手に入れた車で次の地へ向かう道中知り合ったヒッチハイカーのジェイソンに、プロで世界一を目指すことは古い考えだと言われる。
その言葉を受けて、ポートランドでラジオ番組やライブに出演して自分の音楽を追求しながらも、なぜプロのサックスプレイヤーになりたいかを考え続けていた。
そして、その街で出会った人とのふれあいの中で、世界一になりたい理由に自ら気付くのだった。
3巻のあらすじを振り返ってみましょう。
目次
再びジェイソンを乗せてサンフランシスコへ
大が、次の地へ向けて愛車でポートランドを出ようとすると、以前ヒッチハイクで乗せたジェイソンというスケートボーダーに偶然会い、再び一緒に旅をすることになる。
道中二人は、カーステレオでメタル、ロック、ジャズ、日本歌謡などを聞き、時々大のサックスの練習で停車したりしながら、サンフランシスコを目指す。
初めはジャズなど全く興味のないジェイソンだったが、次第に大の音楽が面白いと感じ始め、ふと大のマネージメントを自分がすると提案する。
大は冗談半分に受け止め、その日はそのままモーテルに宿泊したのだった。
素人の敏腕マネージャー
翌日、多様性の大都市・サンフランシスコに到着し、大は演奏できるライブハウスを探すが、売り込みが下手で断られる。
それを見ていたジェイソンは、別のライブハウスで、東京の一流クラブ「So Blue」でプレー経験もあり、サム・ジョーダンも推薦しているスーパープレイヤーだと豪語し、2件の出演依頼を決めてみせた。
音楽に関しては素人同然でも、交渉術はジェイソンの方が上。
大は自らを「スーパースター」と紹介されたのを大げさと感じていたものの、ジェイソンは既に大が「スーパー」だと本気で信じているのだった。
すべてはライブのため
1軒目のライブハウスが決まったあと、ジェイソンは、大の練習している姿や、寄せ集めバンドとのリハーサルを見ながら、大がシリアスに向き合っていることに緊張する。
ジェイソンはいつでも笑っていることを理想とするが、大は本番で笑うためにいつも真剣なんだと悟った。
ライブでは、大の熱量が高い演奏に、バンドメンバーも客も次第にのめり込んでいく。
大は成功しない?
2軒目のライブハウスで、中国系アメリカ人のアレックスというドラマーに出会う。
ライブ自体は成功をおさめたが、大は、どこか苛立つように演奏していたアレックスが気になり、ライブ後に声をかける。
するとアレックスはヨーロッパ―での大のプレーを知っていることを明かしながらも、「大はアメリカでは成功しないと思う」と伝え、その場を立ち去ったのだった。
人種の壁なんかに負けるな
翌日、昨日のことが気になった大は、アレックスの家を訪ねた。
アレックスは、冷めた言動で大をランチに誘い、チャイナタウンに連れていく。
食事をしながらアレックスが、アメリカのジャズには明らかに人種によるヒエラルキーがあり、アジア系の小さなコミュニティから出ることなんか所詮できない、と話す。
大は話を聞いて、明後日のライブにまた参加してほしいと頼みながらも、人種を気にしていじけているアレックスに対して、下手なんだからガタガタ言わずに練習しろ、とわざと言い放ち、店を一人で出た。
発破をかけられたアレックスは、その日からひそかにドラムの練習に打ち込むようになるのだった。
誰が演奏してもジャズはジャズ
ライブの日、言い過ぎたことを心配していた大だが、アレックスは会場に現れた。
リハーサルで周りに合わせるアレックスに、自分が引っ張るつもりでやれ、と何度も叱咤激励する大。
休憩中、地方紙のインタビューを受ける大が言った”僕が僕を信じている”という言葉にハッとしたアレックスは、本番で全身全霊をこめて演奏し、大とともに輝きを増していく。
そして、人種とは関係ないところで演奏は成立し、大もアレックスも、ジャズが人種の枠にあてはまらないということを体現した。
自分の壁を破って演奏したアレックスの目からは、コントロールできない涙が溢れるのだった。
この国の懐の深さ
翌朝、次の地へ向けて出発しようとすると、車が動かない。
通りすがりの人が何人も声をかけてくれて、あーでもないこーでもないと考えながら、車を直してくれた。
ジェイソンはその輪に加わりながらも、簡単にお礼を言うだけで特に申し訳なさそうな態度はしない。
そして手が真っ黒になるほどに助けてくれた人も、それに対して何も気にかけていない様子。
大は、誰もが他人を助けるのが当然かのようなその光景を感慨深く思うのだった。
【3巻のまとめ】
スケートボーダーのジェイソンと偶然にも再会し、一緒に旅をする中で大の凄さを認めたジェイソンが素人ながらマネジャーを自ら買って出た。
ジェイソンのアメリカ流の交渉術のおかげでライブハウスの出演が決まりやすくなった大。
サンフランシスコでは人種の壁に悩む中国系のドラマーの青年と出会うが、大はジャズに人種なんて関係ないことを演奏で示すのだった。
次巻へ続きます。
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